スポットワーカーを活用する際、どういった点に注意すべきかを知りたい。
この記事は上記のような思いを抱かれている方に向けて、スポットワーカーの概要や現状をおさらいしつつ、注意点をご紹介します。
スポットワーカー活用のメリットやデメリットも併せて解説しているため、ぜひ最後までご確認ください。
スポットワーカーとは
まずはスポットワーカーの概要や現状についてご紹介します。
スポットワーカーの概要
スポットワーカーとは、一時的な労働に従事する労働者のことを指し、単発アルバイトや日雇い労働者などが代表例として挙げられます。
契約社員やアルバイトのように、数か月から数年といったある程度の期間にわたって働く労働者は、スポットワーカーには含まれません。
また数週間から一か月などの短期労働に従事する短期ワーカーと区別する場合もありますが、短期ワーカーもスポットワーカーとして解釈する場合もある点は押さえておきましょう。
スポットワーカーの現状
それではスポットワーカーとして働いている労働者は、現状どの程度いるのでしょうか。
2023年6月の日本経済新聞では、スポットワーカーは1000万人を超えたと報じる記事が出ていました。
副業解禁の流れやフリーランスの増加などに伴い、スポットワーカーとして働く労働者も年々増加している傾向にあり、特に飲食業などを中心に活躍しています。
スポットワーカー活用のメリット
続いてスポットワーカーを活用するメリットについて確認しましょう。
メリット①:急な人手不足に対応できる
スポットワーカーは急な人手不足に対応できるという強みがあります。
病気や事故などが原因で急な欠員が出た際、正社員やアルバイトを採用しようと考えると、募集から採用に至るまで数週間程度かかるため、人手不足の状態が長く続いてしまいます。
しかしスポットワーカーであれば、数日で確保できることも多く、すぐに人手不足に対応することが可能です。
メリット②:人件費を削減しやすい
スポットワーカーの多くは社会保険や手当てなどの対象とならないため、人件費は就労時間分の給与額が大半を占めます。
そのため、給与以外にも様々な手当てや社会保険負担などが発生する正社員などに比べ、人件費の削減に繋げやすいと言えるでしょう。
メリット③:柔軟な人材活用が可能
正社員の場合、採用までに時間がかかるケースが多いため、採用すべき事由が生じたタイミングと実際に雇用できるタイミングに大きなずれが生じます。
しかしスポットワーカーは、必要なタイミングですぐに確保しやすく、現場の状況などに応じた柔軟な人材リソースの調整・活用を実現できるという強みがあります。
メリット④:長期採用へ切り替え可能
スポットワーカーであっても、双方の合意が得られれば長期採用への切り替えが可能です。
スポットワーカーの場合、通常の選考フローとは異なり、実際の働きぶりによって仕事へのスタンスや適性などを把握できます。
そのためスポットワーカーから長期採用へ切り替える場合、ミスマッチが発生しにくいという利点があると言えるでしょう。
スポットワーカー活用のデメリット
次にスポットワーカーを活用する際のデメリットについて解説します。
デメリット①:当日キャンセルの可能性がある
スポットワーカーは、正社員やアルバイトよりも企業との繋がりが薄いため、責任感などが欠如している人材も散見されます。
そういった人材は当日にいきなり就業をキャンセルする可能性もあり、現場が混乱してしまう事態も起こりかねません。
デメリット②:人材見極めが不十分
スポットワーカーを採用する際は、正社員やアルバイトを採用する場合とは異なり、面接などが行われないケースも多いと言えます。
そのため、事前の見極めは十分にできず、当日になってはじめて人柄などがわかることも多くなり、ミスマッチなどが生じる可能性も高いでしょう。
デメリット③:人材の質のばらつきが生じやすい
スポットワーカーは十分な選考を行うケースが少ないため、人材の持つスキルや業務レベルなども把握しづらいという難点があります。
そのため採用したものの、想定していたような成果やパフォーマンスを得ることができない可能性がある点は、留意しておきましょう。
デメリット④:マニュアルなどの整備が不可欠
スポットワーカーは、一日や数日といった短期間の就業を前提としているため、教育や研修といった時間を十分に設けることができません。
そのためスポットワーカーでもすぐに業務に従事できるように、マニュアルや業務フローなどの整備が欠かせないと言えるでしょう。
スポットワーカー活用時の注意点
最後にスポットワーカーを活用する際の注意点をご紹介します。
注意点①:労働時間の適正な把握
労働時間は使用者である企業の指揮命令下に置かれている時間を指し、実質的な業務時間以外にも、準備や片付けなどの時間も業務時間に含まれるケースがあります。
たとえば事業場において作業服への着替えがルール化されている場合、着替え時間も労働時間に含まれます。
また就業に際して、事前に先輩従業員の業務を見学する必要がある場合、見学時間も原則労働時間として扱わなければなりません。
注意点②:適正な賃金の支払い
スポットワーカーであっても労働基準法の対象となるため、当然最低賃金や割増などの規定が適用されます。
最低賃金は都道府県別に定められているため 、事務所の所在地に合わせて、最低賃金を下回らないように報酬を設定しましょう。
1日8時間を超える場合や深夜(22時〜5時)に就業する場合は、25%増の割増賃金を支払う必要がある点も押さえておいてください。
注意点③:労働条件を通知する
企業が労働者を雇用する場合、業務内容や始業時間、賃金などの労働条件について、明示することが求められます。
労働者の希望や同意が得られた場合はメールやファックスによる交付でも構いませんが、原則は紙資料として交付しなければなりません。
2024年4月から労働条件明示事項が追加されるため、しっかりと内容を把握し、スポットワーカーに対しても忘れずに交付しましょう。
<参考:2024年4月から労働条件明示のルールが変わります|厚生労働省>
注意点④:安全衛生教育の実施
企業が労働者を雇用した際、業務内容に関する安全衛生について教育を実施しなければなりません。
たとえば機械設備を操作する業務や危険な薬品などを使う業務である場合は、その危険性や取扱い方法、作業手順などをしっかりと教育する必要があります。
就業時間や日数が少ないスポットワーカーであっても、忘れずに安全衛生教育を実施しましょう。
注意点⑤:労災保険加入を実施
スポットワーカーは短時間や短期間の勤務となるため、基本的に雇用保険や健康保険の対象にはなりません。
ただし労災保険については適用対象となるため、加入手続きを行う必要があります。
スポットワーカーの労働災害が発生した場合は、労災保険の請求手続きとともに、労働者死傷病報告の提出を忘れないようにしましょう。
まとめ
今回はスポットワーカーの活用における注意点をテーマに、活用のメリットやデメリットと併せて解説してきましたが、いかがでしたか。
人材不足が過酷化する社会においては、正社員や契約社員などのフルタイム勤務だけでなく、スポットワーカーをはじめとする多様な働き方を受け入れていく必要があります。
事前に人材を見極めることが困難であるという難点はあるものの、必要なタイミングで早急に確保できるという強みもあるため、柔軟な人材活用を実現できるでしょう。
この記事を参考にスポットワーカーの活用に取り組んでいただければ幸いです。
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