時代のニーズに合わせて自社でも副業OKとしたものの、従業員がスキマバイトなどの副業を行った場合に確定申告の対象となるのか、正直理解できていない。

この記事は上記のような思いをお持ちの方に向けて、確定申告の概要をおさらいした上で、スキマバイトなどの副業でも確定申告の対象となるケースをご紹介します。

確定申告の手続き方法も併せて解説しているため、ぜひ最後までご確認ください。

確定申告とは

まずはそもそも確定申告とは何かについて簡単におさらいしましょう。

確定申告の概要

確定申告とは1月1日から12月31日までの所得と所得税の額を計算し、納税すべき所得税額を確定させる手続きのことです。

日本では申告納税制度を採用しているため、所得税の納税に際しては自ら納税額の計算や納税までを行う必要があり、確定申告という手続きが設けられています。

確定申告は義務であるため、実施しない場合はペナルティが課されるため注意が必要です。

確定申告の方法やペナルティについては、後ほど解説します。

【補足】所得税と源泉徴収

ここで補足として、確定申告と密接に関わる所得税と源泉徴収についても簡単に確認しておきましょう。

所得税とは個人の所得に対して課税される税金であり、1年間の総所得から所得控除を差し引いた課税所得に、一定の税率を適用して計算されます。

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

企業に雇われている従業員の場合、毎月の給与から一定率の金額を天引きすることで、所得税を納付します。これがいわゆる源泉徴収です。

ただ源泉徴収は一定の率で差し引かれるため、実際に収めるべき所得税額と誤差が生じます。

この誤差を解消し、正しい納税額を確定させるために行われるのが確定申告や年末調整と言えるでしょう。

年末調整との違い

確定申告と年末調整はいずれも、正しい所得税額を計算し納付するための手続きですが、手続きの実施者が異なります。

確定申告は報酬を受け取った本人が行い、年末調整は企業側が実施します。

基本的に企業に務めている場合は年末調整が実施されるため、確定申告を行うケースはそこまで多くないと言えるでしょう。

ただしスキマバイトといった副業収入がある場合は、確定申告を行わなければならないケースがあります。

スキマバイトでも確定申告の対象になる4つのケース

ここからはスキマバイトでも確定申告の対象になるケースとして、雇用されているケースと業務委託のケースに分けて確認していきましょう。

企業に雇用されている場合で対象になるケース

企業に雇用される形でスキマバイトに従事した場合で、確定申告の対象となるケースとしては、以下の2つのケースが挙げられます。

ケース①:年収103万円超で源泉徴収されていない

スキマバイトによる年収が103万円を超えており、かつバイト先企業で源泉徴収されていない場合は確定申告が必要となります。

ケース②:年収103万円超で複数の企業でバイトしている

複数の企業でスキマバイトをして、年収103万円を超えた場合も確定申告の対象となります。

たとえバイト先で源泉徴収されていても、各バイト先の所得税を合算する必要があるため、確定申告を行わなければなりません。

業務委託によるバイトで対象になるケース

続いて業務委託(雇用契約ではなく、成果物や役務を提供する契約)によるスキマバイトで、確定申告の対象となるケースをご紹介します。

ケース③:事業所得・雑所得が20万円を超える

業務委託としてスキマバイトや副業を行い、給与以外の事業所得や雑所得が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。

給与所得を得ている従業員が業務委託で副業を行う場合は、基本的には雑所得として扱われますが、副業の規模や事業性が認められる場合は事業所得として扱われるケースもあります。

【補足①】20万円以下の場合でも住民税の申告は必要

仮にスキマバイトによる副業収入が20万円以下であっても住民税の申告は必要です。

国民健康保険料や保育料の算定といった他の制度で、正確な所得情報を把握する必要があるためです。

そのため仮に確定申告が不要になっても、住民税の申告は忘れずに行うようにしましょう。

【補足②】医療費控除などを受けたい場合は確定申告しよう

年末調整では医療費控除やふるさと納税の適用を受けることができません。

そのためスキマバイトの収入が20万円以下であっても、医療費控除やふるさと納税の適用を受けたい場合は、確定申告をする必要があります。

ケース④:雑所得のみを受け取っている

確定申告の対象となる最後のケースは、雑所得のみを受け取っているケースです。

そもそも給与所得や事業所得がなく、収入が雑所得(ECショップやFX収入など)のみである場合、金額に関係なく確定申告が必要となります。

雑所得には確定申告が不要となる制度がないため、所得が発生した時点で確定申告の対象となる点は理解しておきましょう。

確定申告の方法

最後に確定申告の方法として、実施タイミングや必要書類などについてご紹介します。

確定申告を行うタイミング

確定申告を行うタイミングは毎年決められており、毎年2月16日〜3月15日に前年度の所得税に関する確定申告を行います。

申告期間自体は1か月ほどありますが、準備しなければならない書類なども多いため、確定申告に向けて、日頃から収支などを整理しておく必要があるでしょう。

確定申告に必要なもの

確定申告に必要なものとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 確定申告書
  • 銀行口座
  • 源泉徴収票
  • 領収書やレシート
  • マイナンバー
  • 本人確認書類
  • 社会保険の控除証明書
  • 生命保険の控除証明書
  • 医療費控除の明細書

確定申告書は手続きを行うタイミングで手配すれば問題ありませんが、源泉徴収票や領収書、レシートなどは紛失しないようにファイリングしておきましょう。

源泉徴収票が手元にない場合は、バイト先に発行を依頼する必要があるため、スケジュールには余裕を持って準備しなければなりません。

確定申告書の提出方法

確定申告書の提出方法としては以下の3つのパターンがあります。

  • 郵送
  • 税務署への持ち込み
  • 電子申告

このうち、電子申告は源泉徴収票や控除証明書などの添付書類を省略できるため、効率的に確定申告を行いたい方におすすめです。

ただし電子申告を行う際はマイナンバーカードや利用者識別番号が必要となるため、もし電子申告を希望する場合は、あらかじめ取得しておきましょう。

確定申告をしない場合の罰則

確定申告をしない場合、罰則として無申告加算税が課されます。

納付すべき所得税額に対して、50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%加算された金額となります。

令和5年分以降の確定申告については、300万円を超える部分はさらに30%の割合を乗じて計算された金額が無申告加算税として課されるため、注意しましょう。

ただし「期限後の申告が申告期限から1か月以内に自主的に行われている」といった条件を満たしていれば、無申告加算税は課されません。

<参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

まとめ

今回はスキマバイトでも確定申告の対象となるケースを中心に解説してきましたが、いかがでしたか。

副業者は増加傾向にあり、今後スキマバイトに従事する方も増えることが予想されます。

雇用している従業員もスキマバイトを行う可能性があるため、企業側としては従業員に対して正しい知識を提供し、適切な形で副業に従事してもらう必要があるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、スキマバイトを希望する従業員の方に情報提供を行っていただければ幸いです。

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