「入社書類の内、どの書類が保管対象で、どのくらい保管しないといけないのかわからない」

人事労務に携わっている方の中には、上記のようなお悩みを抱えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では入社書類をおさらいした上で、保管が必要な書類やそれぞれの保管期間を解説します。

保管方法や効率化のポイントも併せてご紹介しているため、ぜひご確認ください。

従業員の入社時に必要な書類のおさらい

まずは従業員が入社する際に必要な書類を簡単におさらいしておきましょう。

入社時に必要な書類

従業員が入社する際に法的に必要な書類は大きく雇用関連、社会保険関連、税務関連の3つのカテゴリに分かれます。

各カテゴリに含まれる書類は以下の通りです。

【雇用関連の書類】

  • 労働条件通知書

【社会保険関連の書類】

  • マイナンバー
  • 年金手帳
  • 雇用保険被保険者証
  • 健康保険被扶養者(異動)届け

【税務関連の書類】

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 源泉徴収票
  • 特別徴収への切り替え申請書

上記のほか、法的に必要ではないものの企業側の手続きとして必要な書類としては、以下のような書類が挙げられます。

【企業側の手続き上必要な書類】

  • 雇用契約書
  • 待遇差に関する説明書
  • 入社誓約書
  • 秘密保持誓約書
  • 給与振替口座の登録申請書
  • 交通費・通勤経路に関する申請書
  • 住民票記載事項証明書
  • 健康診断書

外国人の場合に必要な書類

ここまで従業員が入社する際に必要な書類をおさらいしてきましたが、外国人が入社する場合は別途必要な書類があります。

具体的には以下の2点が挙げられます。

・在留カード

不法滞在者などを誤って雇用してしまうことを防止するとともに、その外国人がどういった業務に従事できるかを確認するために必要となります。

・資格外活動許可書

留学生として来日している外国人をアルバイトとして雇用する場合、在留カードと併せて資格外活動許可書も確認しなければなりません。

留学生は本来就業が認められていませんが、資格外活動許可を得ていれば週28時間までの就業が認められます。

入社書類の保管期間

ここからは入社書類の保管期間について解説します。

入社書類の内、保管が必要な書類

入社書類と一口に言っても、保管が必要なものとそうでないものに分かれます。

保管が義務付けられている書類については以下の通りです。

【保管が必要な入社書類】

  • 労働条件通知書兼雇用契約書
  • 健康保険被扶養者(異動)届け
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 源泉徴収票をまとめた源泉徴収簿

各入社書類の保管期間

それでは具体的に各入社書類の保管期間について確認していきましょう。

労働条件通知書兼雇用契約書従業員の退職後5年
健康保険被扶養者(異動)届け従業員の退職後2年
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間
源泉徴収簿提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間

マイナンバーは番号そのものの保管は禁止されていますが、マイナンバーが記載された扶養控除等(異動)申告書などを保管することで、結果保管しているという扱いになります。

【補足】人事労務において保管が必要なその他の書類

補足として入社時の書類以外で保管が必要な人事労務関連の書類をご紹介します。

労働者名簿従業員の退職後5年
解雇に関する書類従業員の退職後5年
賃金台帳最後の記入日から5年
タイムカードなどの労働時間の記録に関する書類最後の記録から5年
災害補償に関する書類補償が終わった日から5年
36協定完結の日から5年
雇用保険に関する書類完結の日から2年
雇用保険の被保険者に関する書類完結の日から4年
健康保険・厚生年金に関する書類完結の日から2年
労災保険に関する書類完結の日から3年
労働保険の徴収・納付などの関係書類完結の日から3年
派遣元管理台帳・派遣先管理台帳契約完了日から3年
安全衛生委員会議事録作成日から3年

入社書類の管理方法

続いて入社書類の管理方法として、紙媒体で保管する場合とデータで保管する場合に分けて紹介します。

紙媒体で保管する方法

紙媒体で保管する場合は、ファイリングが基本となります。従業員ごとにインデックスを付けて、それぞれクリアファイルにファイリングしていきましょう。

さらに同じカテゴリに属するクリアファイルを格納するボックスファイルを用意しておけば、キャビネットなどに収納する際もわかりやすくなります。

キャビネットについては施錠できるものを選んだ上、開錠・閲覧できる従業員を限定するなど、情報セキュリティ上のルールも設けておく必要があるでしょう。

データで保管する方法

データで保管する際は、まずファイル形式やファイル名の付け方といった保存におけるルールを策定しましょう。ルールが定まった後は格納用のフォルダを作成します。

その後スキャナーなどを用いて、該当書類を電子化していき、それぞれあらかじめ決めておいたフォルダに格納します。

データで保管する場合も情報セキュリティの観点から、担当者しか閲覧・編集できないようにするといったアクセス制限をかけるべきでしょう。

保管期間が過ぎた後は

保管期間が過ぎた書類は適切な方法で廃棄処理する必要があります。

入社書類の多くは個人情報が含まれているため、雑に処理すれば情報漏えい事故に直結してしまいます。

そのため以下のような方法で廃棄しましょう。

  • 細かく裁断できるシュレッダーにかける
  • 廃棄業者に処理を依頼する
  • データを完全消去できるツールを使用する

廃棄業者に委託する場合は、機密保持誓約書を締結した上で、消去証明書を受領するようにしましょう。

入社書類の保管を効率化するには

最後に入社書類の保管を効率化するためのポイントをご紹介します。

ポイント①:電子化に取り組む

まずご紹介するポイントは電子化に取り組むという点です。

雇用契約書などを電子化できれば、ファイリングの工数やキャビネットに移動する時間などを削減できます。

情報セキュリティのルールや体制は強化する必要がありますが、入社書類の多くを電子化することで保管業務全体を効率化できるでしょう。

ポイント②:人事・労務を効率化させるツールを導入する

また人事労務を効率化させるためのツールを導入することもポイントとなります。

入社手続きそのものをWeb化できる労務管理システムやポータルツールなどを導入すれば、システム上で契約などの手続きを行うことが可能です。

そのため「入社書類を作成して保管」といった一連の作業工数を大幅に削減できるでしょう。

ポイント③:電子帳簿保存法を理解する

書類などを電子化する場合、電子帳簿保存法を理解しておく必要があります。

例えば雇用契約書をデータ上でやり取りしている場合は電子取引に該当するため、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。

電子帳簿保存法の要件については以下の国税庁のページをご確認ください。

※参考:法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))関係|国税庁

まとめ

今回は入社書類の保管期間について解説してきましたが、いかがでしたか。

入社書類は勿論、人事労務関連の書類には保管が義務付けられたものが多く、それぞれ必要な保管期間も異なるため、それらを正確に把握して対応していかなければなりません。

また保管にあたっての作業工数も相応にかかるため、できれば労務管理システムなどを導入して電子化させた方がよいでしょう。

ぜひこの記事を参考に、入社書類の保管や電子化に取り組んでみてください。

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