特定技能外国人を雇用し、初めての定期報告に戸惑っている、あるいは自社支援で対応していてルール変更に不安を感じている担当者も多いのではないでしょうか。

特定技能の定期報告は、外国人の適正な受け入れを示す重要な手続きです。万が一提出を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、今後の受け入れ停止といったペナルティが科されるおそれがあります。

本記事では、2025年4月の制度改正をふまえ、特定技能の定期報告に必要な書類や提出方法を解説します。確実な手続きを行うための体制構築のポイントもまとめているので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

特定技能の定期報告とは

特定技能外国人の受入れ企業(所属機関)は、出入国在留管理庁に対して定期的に状況を報告する法的義務があります。定期報告は単なる事務作業ではなく、制度を適切に運用していることを示す重要な手続きです。

ここでは、定期報告の目的やスケジュール、罰則について解説します。

特定技能の定期報告の目的と報告義務

定期報告の目的は、特定技能外国人が日本人と同等以上の適切な環境(報酬・労働条件など)で就労しているか、活動状況に問題がないかを国が把握・管理することです。

従来は、受入れ企業と登録支援機関が、それぞれ期限までに別々に届出書を提出する必要がありました。しかし、制度変更により、現在は受入れ企業が登録支援機関作成分を含めて各種書類を取りまとめ、一括して提出する仕組みとなっています。

そのため、支援業務を登録支援機関に委託している場合であっても、最終的な取りまとめや報告義務は受入れ企業にある点に注意が必要です。

【2025年4月改正】年1回の提出スケジュール

企業の事務負担を大幅に軽減するため、2025年4月以降は法改正により従来の四半期ごと(年4回)の報告から年1回に集約されました。提出期間は、対象年の翌年4月1日から5月31日までに変更されています。

例えば、2026年4月1日から2027年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況は、2027年4月1日から5月31日の間に提出する必要があります。提出回数は減りましたが、対象となる期間のデータを1年分まとめて提出する必要があるため、情報の適切な管理が欠かせません。

参照:特定技能制度における届出のルールが変わります!|出入国在留管理庁

提出忘れや虚偽報告の罰則・ペナルティ

特定技能の定期報告は法的義務です。そのため、提出を忘れたり虚偽の報告を行ったりした場合、入管法違反として30万円以下の罰金が科される可能性があります。加えて、特定技能外国人の受け入れ継続が認められなくなったり、在留資格の更新申請において不利に働いたりするリスクもあります。

定期報告の提出を怠ると、外国人の適正な受け入れができない企業とみなされるため、コンプライアンスの観点からも極めて重要な業務です。定期報告は期限内の提出を徹底しましょう。

【一覧】特定技能の定期報告に必要な提出書類

特定技能の定期報告には、指定のフォーマットである基本書類と、内容を証明するための添付書類が必要です。各企業の状況によって必要な書類が異なるため、提出前に確認し、漏れがないように準備を進めましょう。

特定技能の定期報告に必要な基本書類

定期報告において、すべての企業に提出が求められている基本書類は以下のとおりです。

  • 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)
  • 特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況(参考様式第3-6号別紙1)

また、状況に応じて以下の書類も提出する必要があります。

  • 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(署名欄)(参考様式第3-6号別紙2)
  • 報酬支払証明書(参考様式第5-7号)
  • 理由書(任意様式)

「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(署名欄)」は、複数の登録支援機関に支援を全部委託している場合に必要です。また、「報酬支払証明書」は、現金手渡しなど報酬支払方法が口座振込以外の場合に提出する書類です。提出期限に遅れてしまった場合は、理由書で遅延の経緯や理由を説明する必要があります。

参照:特定技能所属機関(受入れ企業・事業主の方)による定期届出提出資料一覧表|出入国在留管理庁

特定技能所属機関に関する添付書類

定期報告では、基本書類に加えて、特定技能所属機関に関する添付書類の提出が必要です。提出書類は、受入れ企業が以下の一定の基準を満たすか否かによって異なります。

  • 過去3年間に指導勧告書の交付や改善命令処分を受けていないこと
  • 在留諸申請のオンライン申請、および各種届出の電子届出を行っていること
  • 一定の受入れ実績があり、適正な受入れが行われると見込まれること

特定技能所属機関に関する主な添付書類は、以下のとおりです。

  • 誓約書(参考様式第5-16号/17号) ※一定の基準を満たすかどうかで様式が異なる
  • 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)
  • 中長期在留者の受入れ実績等に関する資料 ※自社支援の場合のみ
  • 登記事項証明書 ※法人のみ
  • 業務執行に関与する役員又は個人事業主の住民票の写し
  • 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式第1-23号)※法人のみ
  • 労働保険料の納付に係る資料
  • 社会保険料の納付に係る資料
  • 納税証明書(その3)
  • 直近1年度分の法人住民税又は個人住民税の納付に係る資料
  • 書類省略に当たっての誓約書(参考様式第1-29号)※一定の基準を満たす場合のみ

一定の基準を満たしている企業は一部の書類提出を省略できますが、受入れ企業の形態や登録支援機関への委託状況によっても必要書類が異なります。書類の不備や漏れを防ぐためにも、準備する際は必ず法務省や出入国在留管理庁のWebサイトで提出書類や様式を確認しましょう。

参照:特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領|法務省

特定技能の定期報告の提出先と提出方法

定期報告に必要な書類が揃ったら、期限内に管轄の出入国在留管理局へ提出します。提出は自社に合った方法を選択できます。以下で、特定技能の定期報告の提出先と提出方法について解説するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

参照:特定技能所属機関(受入れ企業・事業主の方)による定期届出提出資料一覧表|出入国在留管理庁

提出先:管轄の出入国在留管理局

特定技能の定期報告は、企業の所在地(法人の場合は登記上の本店所在地)、または特定技能外国人が実際に就業している場所を管轄する地方出入国在留管理局(または支局)へ提出します。複数の事業所がある場合でも、本社がまとめて1件の届出として報告します。

なお、管轄がわからない場合は、出入国在留管理庁の公式ホームページ内にある「組織・所在地」や「管轄一覧」のページから、自社の都道府県を選択して該当する管理局・支局を検索可能です。

提出方法:窓口・郵送・オンライン

特定技能の定期報告は、「窓口持参」「郵送」「オンライン」の3つ提出方法があります。それぞれの詳細と注意点は以下のとおりです。

提出方法詳細
窓口・管轄の地方出入国在留管理官署へ直接持参する
・窓口の受付時間に注意する
郵送・簡易書留やレターパックなど追跡できる方法で送付する
・受付印が押された「控え」が必要な場合は「返信用封筒(切手貼付)」を同封する
オンライン・出入国在留管理庁の「電子届出システム」を利用する
・利用開始には、事前のID取得申込み(利用者情報登録届出書の提出)が必要になる

オンラインの場合、24時間いつでも提出可能で、郵送費の削減やペーパーレス化といったメリットがあります。オンライン提出は、一定の基準を満たす企業が添付書類の省略特例を利用するための前提条件にもなるため、積極的に活用を検討しましょう。

特定技能の定期報告に向けた体制構築の3つのポイント

定期報告漏れによるペナルティを回避し、担当者の負担を減らすためには、日頃からの社内体制づくりが不可欠です。ここでは、特定技能の定期報告に向けた体制構築のポイントを3つ紹介します。

1.年間スケジュールを立てる

特定技能の定期報告を確実に行うためには、年間スケジュールを立てることがポイントです。年1回(4月1日〜5月31日)の提出期日直前に1年分の給与データや面談記録を集めようとすると、担当者の負担が大きくなるためです。

具体的には、毎月の給与計算のタイミングで賃金台帳や出勤簿を特定のフォルダに整理しておくなどして、1年を通したスケジュールを立てましょう。年間スケジュールを立てておくことで、「毎年3月に事前準備を開始する」といったタスクを組織全体で共有できるようになり、提出間際になって慌てる事態を防げます。

2.チェックリストを作成して運用する

政府が公表している提出前のチェックリストに加えて、「誰が」「いつまでに」「何の書類を」揃える必要があるのか、社内用のリストも作成して管理体制を整えることがポイントです。

期日遅れや書類不備がある場合には「理由書」の提出を求められるなど、無駄な作業が増えてしまいます。提出準備をスムーズに行うためにもチェックリストを活用し、提出前のダブルチェックを徹底しましょう。また、チェックリストの活用は、業務の属人化を防ぎ、担当者の引き継ぎを円滑にするうえでも役立ちます。

参照:特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領|法務省

3.専門家やシステムの活用を検討する

自社支援における業務負担が大きい場合は、外国人材管理システムの導入や、行政書士・登録支援機関への部分的な外部委託を検討しましょう。

定期報告に必要な書類のなかには専門的な知識が求められるものもあります。専門家の知見を頼ることは、事務負担の軽減だけでなく、コンプライアンス違反による特定技能外国人の受け入れ停止という深刻な事態を防ぐための対策としても有効です。自社のリソースを見極め、適切なサポートを活用しましょう。

まとめ

2025年4月の法改正により、特定技能の定期報告のタイミングが年1回に集約されました。しかし、1年分の記録を一度にまとめて報告する必要があるため、毎月の継続的なデータ管理がこれまで以上に重要となります。また、提出遅れや虚偽報告は、企業にとって重いペナルティにつながるおそれがあるため注意が必要です。

本記事では、特定技能の定期報告における必要書類や提出方法について解説しました。年間スケジュールの策定やチェックリストの運用など、確実な社内体制を構築し、次回の定期報告に向けて早めの準備を進めましょう。

多言語対応のスタッフ向けマイページアプリ

人材派遣・業務請負に特化した
​apseedsの決定版アプリ

貴社専用のスタッフマイページを管理画面から簡単に作成できます。メニューアイコンも事業所ごとに出し分けたりと自由自在。
貴社のスタッフはアプリをインストールしたら本人認証するだけで、社内のさまざまな情報やツールにアクセスできます。

さあ、貴社のDXの第一歩をはじめましょう。