特定技能外国人を受け入れる際、企業が必ず行わなければならない業務の一つに「定期面談」があります。定期面談は特定技能外国人が日本で安心して働き、生活するために欠かせないプロセスです。しかし、「誰と、いつ面談する必要があるのか」「報告書の提出義務はあるのか」といった疑問を抱く担当者も多いはずです。
本記事では、特定技能外国人の定期面談の目的や確認すべき内容を詳しく解説します。2025年の法改正で新たに認められたオンライン面談の要件や、罰則リスクなど実務に必要な情報をまとめているので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
特定技能の定期面談とは?実施の義務と頻度

特定技能外国人の定期面談は、外国人材が適切な環境で就労し、生活できているかを確認するために実施するものです。ここでは、定期面談の頻度や、面談を実施すべき対象者・実施者に関する基本的なルールを解説します。
3か月に1回以上の実施義務
特定技能外国人の定期面談は、3か月に1回以上の頻度で実施する義務があります。1号特定技能外国人に対する義務的な支援の一つとして位置づけられているためです。特定技能外国人が業務の悩みや生活の不安を抱えていた場合、定期的な面談を実施することで、問題を早期に発見し解決へと導けるようになります。
注意すべきは、2025年4月の法改正によるスケジュールの変更です。出入国在留管理庁への定期届出は年4回から年1回へと変更されましたが、定期面談の頻度は引き続き、3か月に1回以上で変わりません。届出の頻度が減っても、面談の義務は継続している点に注意が必要です。
面談の対象者と実施者
定期面談の対象者は、特定技能外国人本人だけではありません。「監督をする立場にある者(直接の上司など)」も対象になります。双方から話を聞くことで、客観的に状況を把握するためです。
また、面談を実施する者は、中立的な立場である支援責任者、または支援担当者でなければなりません。直属の上司が面談実施者になることは、対象者が不満を言い出しにくくなる可能性があるため不適切です。なお、支援業務を登録支援機関にすべて委託している場合を除き、第三者への面談委託は認められていません。適切な実施者を選定し、実効性のある面談を行いましょう。
関連記事:【特定技能とは】概要やメリット、受け入れの流れまでわかりやすく解説
特定技能の定期面談で確認すべき内容

定期面談では、単なる雑談ではなく、法令で定められた項目を確認する必要があります。具体的には、以下の5つの観点からヒアリングを行います。
- 業務内容
- 待遇(労働条件)
- 保護(人権保護)
- 生活
- その他
それぞれ詳しく見ていきましょう。
業務内容に関する事項
業務内容に関する事項では、特定技能外国人が自身の担当業務を正しく理解し、問題なく遂行できているかを確認します。業務のミスマッチを防ぎ、本人のモチベーションを維持するために重要な事項です。具体的には、以下のような質問をします。
- 現在の業務に不安はないか
- 指示内容が理解できているか
- 今後の目標や挑戦したいことはあるか など
業務上の課題を放置せず、面談を通じてクリアにすることで安定した就労支援につながります。
待遇(労働条件)に関する事項
待遇に関する事項では、雇用契約の内容と実際の就労状況に齟齬がないかを確認することがポイントです。具体的には、以下のような内容を確認します。
- 給与や各種手当が正しく支給されているか
- 労働時間や残業時間が適切か
- 有給休暇が取得できているか など
また、契約内容に変更があった場合は、本人の同意を正しく得ているか、現在の待遇に対して満足しているかも確認が必要です。労働条件の相違は大きなトラブルに発展しやすいため、念入りな確認を心がけましょう。
保護(人権保護)に関する事項
保護に関する事項では、職場でハラスメントやいじめなどの違反行為が発生していないかを確認します。人権保護に関する確認は、外国人が安心して働ける安全な環境を守るために欠かせません。具体的には、以下のような内容を慎重にヒアリングします。
- 上司や同僚との人間関係にトラブルがないか
- 差別的な扱いを受けていないか など
なお、万が一面談において労働関係法令の違反(不当な扱いや資格外活動や賃金未払いなど)が発覚した場合は、労働基準監督署や出入国在留管理局といった関係行政機関へ通報する義務があります。
生活に関する事項
生活に関する事項では、日本での日常生活において不便やトラブルを抱えていないかを確認することがポイントです。生活の安定は、仕事へのパフォーマンスにも直結します。具体的には、以下のような内容を確認します。
- 住居環境に問題はないか
- 通勤のための交通手段は確保できているか
- 病院や買い物などのインフラ利用で困っていないか など
また、地域イベントへの参加や日本人との交流状況を確認し、日本社会での孤立を防ぐことも重要です。面談実施後は、必要に応じて生活支援策を検討・実施します。
その他の事項
その他の事項に関しては、生活や業務全般の悩みごとの有無に加えて、職場に不法就労者が働いていないかどうかを確認します。具体的には、特定技能外国人の身の回りで、在留資格を持たない者や、在留期限が切れたまま就労している者がいないかをヒアリングしましょう。
不法就労を助長・放置する環境は、企業にとって入管法違反に問われる重大なリスクとなります。適正な受入れ体制を維持するためにも、ほかの4つの項目とあわせて、職場に不法就労者がいないか確認することが重要です。
特定技能のオンライン面談が認められる要件

従来、定期面談は対面での実施が原則でしたが、2025年4月の制度改正により一定の条件下でオンラインのビデオ通話や電話での面談が可能になりました。利便性が向上した一方で、満たすべき要件が具体的に定められています。
以下で、オンライン面談を実施するための3つの必須要件を解説するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
参照:特定技能外国人受入れに関する運用要領改正のポイント|出入国在留管理庁
同意書の取得
特定技能外国人の定期面談をオンラインで実施するためには、事前に対象者の同意を得る必要があります。対象者本人が対面を希望する場合、企業はオンラインによる実施を強要できません。
特定技能外国人本人の同意は、「支援計画書(参考様式第1-17号)」の該当欄と署名欄にて確認します。一方、監督者(直属の上司など)の同意については、任意の様式で確認することが可能です。もし事前の同意がない場合や、本人が「直接会って話したい」と希望した場合には、必ず対面で実施する必要があります。
面談の録画
オンライン面談を実施する場合、様子を録画することが義務付けられています。定期面談が適切に実施されたか事後的に確認できるようにするためです。
録画にあたっては、不正がないよう配慮が必要です。例えば、周囲に面談対象者以外の人がいないか、第三者の影響(イヤホンなどを通じた不当な指示)を受けていないかを確認するため、開始前にカメラで部屋全体を映してもらうといった対策が求められます。オンライン面談は、適切な録画環境を整えたうえで実施する必要があります。
1年以上の保管義務
録画したオンライン面談のデータは、適切に保管しなければなりません。具体的には、特定技能外国人の雇用契約の終了日から「1年以上」の保管が必要です。
録画データは、後日トラブルが発生した場合や、出入国在留管理庁から確認を求められた際のエビデンスになります。例えば、地方出入国在留管理局から録画記録の閲覧・提出を求められた場合には、速やかに応じる必要があります。データの紛失や漏洩を防ぐためにも、セキュリティが確保された環境で保存・管理する体制を整えることが大切です。
対面での定期面談が必須・推奨される具体的なケース
オンライン面談が解禁されたとはいえ、すべてのケースで認められるわけではありません。特定技能外国人に関する正確な状況を把握するため、対面での実施が求められる場面もあります。対面での定期面談が必須、または推奨されるのは以下のようなケースです。
- 事前の同意がない場合
- 受入れ後「初めて」の面談を実施する場合
- 問題や不当な介入が疑われる場合
法務省出入国在留管理庁の運用要領において、オンライン面談を併用する場合であっても、少なくとも年1回は対面での面談を行うことが推奨されています。すべての面談をオンライン化できるわけではないと理解し、状況に応じて適切に使い分けましょう。
参照:特定技能外国人受入れに関する運用要領改正のポイント|出入国在留管理庁
特定技能の定期面談報告書を提出するまでの実務の流れ

定期面談は実施して終わりではなく、面談内容を正確に記録し、年1回の定期届出として出入国在留管理庁へ提出する義務があります。面談の実施から報告書の作成、提出に至るまでの実務の流れを3つのステップで解説するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
1.定期面談を実施する
まずは、定期面談の実施です。前述のとおり、3か月に1回以上(年4回以上)の頻度で、特定技能外国人本人および監督者に対して面談を実施します。派遣形態で特定技能外国人を受け入れている場合は、派遣先の監督者も面談の対象です。
定期面談では、労働条件や生活環境に問題がないかをヒアリングします。限られた時間で漏れなく確認できるよう、あらかじめ質問項目をまとめたアンケートを実施しておくことをおすすめします。面談中は、「いつ、誰が、何を確認したか」を正確にメモし、記録に残しておくことがポイントです。
2.定期面談報告書を作成する
定期面談の実施後は、ヒアリングした内容をもとに報告書を作成します。具体的には、1号特定技能外国人用の「定期面談報告書(参考様式第5-5号)」および、監督者用の「定期面談報告書(参考様式第5-6号)」をそれぞれ作成します。
定期面談のたびに内容を記録し、適切に保管してください。面談の結果、労働基準法違反や人権侵害などの何らかの問題が認められた場合には、通常の報告書とは別に「1号特定技能外国人支援計画の実施困難に係る届出書」または「特異事案報告書」を速やかに提出する必要があります。
3.年1回の定期報告として提出する
最後は、記録をまとめた定期報告の提出です。2025年4月の制度改正により、四半期ごとの届出が廃止され、前年の4月1日から当年の3月31日までの1年間の実績データを集計して提出書類を準備します。提出時期は毎年4月1日〜5月31日の2か月間に設定されており、期間内に前年度1年分の実績をまとめて報告します。
| 対象期間の実績 | 提出期間 | 提出頻度 |
|---|---|---|
| 4月1日〜翌年3月31日 | 翌年4月1日〜5月31日 | 年1回 |
なお、登録支援機関へ支援をすべて委託している場合でも、提出主体はあくまで受入れ企業です。連名で提出するため、提出時期が近づく前に支援機関から面談データを受領するなどの連携フローを事前に整えておく必要があります。
関連記事:特定技能の定期報告マニュアル|必要書類と提出方法を徹底解説
特定技能の定期面談の未実施が招く罰則リスク

特定技能外国人の定期面談は法的義務であり、未実施や虚偽報告があった場合、改善命令や罰則の対象となるリスクがあります。定期面談を行わないことは、企業に課された義務的支援の不履行とみなされるためです。不履行が発覚した場合、出入国在留管理庁から行政指導や改善命令を受ける対象となります。
具体的には、以下のような罰則リスクがあるため注意が必要です。
- 入管法違反として30万円以下の罰金
- 受入れ企業に対する特定技能外国人の新規受入れ停止
- 委託先である登録支援機関の登録取消
- 外国人本人の特定技能の在留資格取消
特定技能外国人を受け入れる際は、コンプライアンスを守り、必ず期日どおりに定期面談を実施・報告しましょう。
まとめ
特定技能の定期届出は年1回に集約されましたが、定期面談は引き続き3か月に1回以上、外国人本人と監督者の双方に対して実施する必要があります。また、オンライン面談の実施には事前の同意取得や録画データの1年以上保管が必須であり、最低でも年1回は対面で行うことが推奨されています。
定期面談の未実施や虚偽報告は、罰金や受け入れ停止といったリスクを伴うため注意が必要です。定期届出が年1回になり、面談内容の記録とデータ保管がこれまで以上に重要になります。
本記事では、特定技能における定期面談の義務や確認内容、報告書提出までの流れを解説しました。定期面談を実施するための管理体制を整え、特定技能外国人に対する適正な支援と確実な報告を心がけましょう。



