「労災保険はアルバイトにも適用されるのか知りたい」という思いを抱かれている方に向けて、この記事では労働災害の概要を踏まえつつ、労災保険の対象者や給付内容、手続き方法などをわかりやすく解説します。
労働災害が起きた場合に必要な対応なども併せてご紹介しているため、ぜひ最後までご確認ください。
労働災害の概要
まずは労働災害の概要や事例など、基本的な内容を確認しましょう。
労働災害とは
労働安全衛生法第2条による労働災害の定義は以下のとおりです。
“労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること”
労働災害は発生状況に応じて以下の二つの種類に分かれます。
業務災害
業務上発生した事故などによる傷病や死亡など
通勤災害
通勤途中で発生した労働者の傷病や死亡など
労働災害の事例
ここで労働災害として認定されるケースについて、確認しておきましょう。
- プレス機械の金型交換時に、プレス機械と金型に挟まれて死亡
- パレットに積まれているダンボールを下ろそうとしたとき、足を滑らせて転倒
- 荷下ろし作業中にトラックの荷台から転落して死亡
- 工事現場での作業中、熱中症によって呂律が回らなくなり痙攣
- 送迎用マイクロバスを運転中、スリップにより道路わきに横転
- 通勤途中に駅の階段を踏み外して転倒 など
その他の事例も確認したい方は以下のサイトをご確認ください。
労災保険の概要
ここからは労災保険について、概要や加入条件などをご紹介します。
労災保険とは
労災保険とは労働者災害補償保険の略称であり、労働保険の一つです。
業務災害や通勤災害によって負傷や死亡、病気になった場合に、被災した労働者や遺族に対して保険金が給付されます。
また労災保険は業務災害と通勤災害だけでなく、交通事故や建設現場における落下物との接触といった、第三者の行為に起因する災害(第三者行為災害)も給付対象となります。
労災保険の加入条件
労災保険の加入条件は以下のとおりです。
- 企業の加入条件:労働者を一人でも雇用した時点で加入
- 労働者の加入条件:雇用形態・雇用期間などに関係なく加入
労働者側は雇用形態に関わらず加入義務があるため、正社員は勿論、アルバイトやパート、日雇い労働者なども加入対象となります。
労災保険加入を怠った場合のペナルティ
労災保険の加入条件を満たしているにも関わらず加入を怠った場合は、遡って保険料を徴収される上、追加の保険料支払いも求められます。
また労働災害が生じた際の労災保険給付額の全部、あるいは一部を徴収されることになるため注意しましょう。
労災保険の計算方法
労災保険料の金額は以下の数式で算出できます。
労災保険料=年度内の全従業員の賃金総額×労災保険率 |
労災保険の対象となる賃金として含められるものは、以下の表のとおりです。
労災保険率については以下のように業種によって異なります。
例えば食料品製造業で従業員を30人抱えており、従業員の賃金が350万円だった場合、労災保険料は以下のように計算できます。
労災保険率(上記表の41に該当):5.5/1,000賃金総額:30人×350万円=10,500万円 10,500万円×5.5/1000=労災保険料577,500円 |
労災保険の対象者はアルバイトも含めた全ての労働者
労災保険は、先述したようにアルバイトやパートなどの短時間労働者も含め、全ての労働者が加入・給付対象となります。
ただし経営者や役員、個人事業主などは労働者として扱われないため、労災保険の対象外です。
雇用保険との違い
労災保険とともに労働保険に含まれる雇用保険は、労働者の失業や就業が困難になった場合に、生活や雇用の安定を図るための給付を行う保険です。
被災労働者や遺族の保護を目的とした労災保険とは、そもそも保険料の使い道が異なります。
また雇用保険は以下の条件を満たした場合にのみ加入義務が生じます 。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- かつ31日以上の雇用見込みがある
労災保険は仮に雇用保険未加入であっても、加入対象となる点は留意しておきましょう。
労災保険給付の種類と手続き方法
続いて労災保険における給付の種類と手続き方法についてご紹介します。
労災保険給付の種類
労災保険給付の種類としては、以下の種類が挙げられます。
療養(補償)等給付 | 労災に起因する傷病によって療養を受ける場合に支給 |
---|---|
休業(補償)等給付 | 労災によって労働できず、賃金を受けられない場合に支給 |
障害(補償)等年金 | 労災による傷病によって障害が残った場合に支給 |
障害(補償)等一時金 | 労災による傷病によって障害が残った場合に支給 |
遺族(補償)等年金 | 労災によって労働者が死亡した場合に給付 |
遺族(補償)等一時金 | 遺族(補償)等年金を受給する遺族がいない場合に給付 |
葬祭料等(葬祭給付) | 労災によって死亡した労働者の葬祭を行う際に給付 |
傷病(補償)等年金 | 労災による傷病が、療養開始後1年6ヶ月経過しても治癒していない場合に給付 |
介護(補償)等給付 | 障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金の受給者で、精神障害や胸腹部の障害などによって、介護を受けている場合に給付 |
二次健康診断等給付 | 血圧検査や血糖検査などの項目で、異常の所見があると診断された場合などに支給 |
労災保険を申請する際の流れ
労災保険を申請する場合、大きく以下のような流れを取ります。
- 労働災害の発生
- 医療機関への受診
- 医療機関から診断書を受領し、労災保険給付の請求書に証明をもらう
- 企業が労災保険給付の請求書に対して証明を実施
- 医療機関と企業が証明した請求書を労働基準監督署へ提出
- 厚生労働省もしくは労働基準監督署から支給決定通知を受ける
- 労災保険が支払われる
上記はあくまで基本的な流れであり、医療機関から請求書を労働基準監督署に提出するケースがあるなど、給付の種類によって異なる場合があります。
詳しくは以下のページをご確認ください。
労災保険が適用されないケース
ここで労災保険が適用されないケースについても確認しておきましょう。
以下のような場合は、労災保険の対象外となります。
- 業務とは関係のない行為によって発生した災害
- 定められている手順・方法とは異なるやり方をしたことによる負傷など
- 自然災害に起因する負傷など
- 私用で出かけた先で生じた災害
- 通勤経路から逸脱した道中で発生した災害
上記のように業務との関連性が低かったり、合理的な通勤経路から外れていたりする場合は、労災保険は適用されません。
労働災害が生じた際に必要な企業側の対応
最後に労災保険の手続きと関連して、労働災害発生時に企業が取るべき対応をご紹介します。
必要な対応①:労働者死傷病報告の提出
一つ目に挙げられる対応は、労働者死傷病報告の提出です。
労働者が労働災害によって死亡、あるいは休業した場合、労働者死傷病報告を管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
労災による労働者の休業が4日以上となる場合は、速やかに労働基準監督署に提出しましょう。
休業が4日未満の場合は、以下のスケジュールでまとめて報告を行います。
- 1〜3月分:4月末日までに報告
- 4〜6月分:7月末日までに報告
- 7〜9月分:10月末日までに報告
- 10〜12月分:1月末日までに報告
必要な対応②:労働災害の再発防止策の策定と実施
次に挙げられる対応は、労働災害の再発防止策の策定と実施です。
労働災害が生じた原因を探り、再発防止策を検討・策定した上で、対策を実施していかなければなりません。
労働災害の状況や内容によっては、労働基準監督署から労働災害再発防止書などの作成や提出を求められるケースがある点は留意しておきましょう。
労災防止対策における自主点検方法について、厚生労働省から資料が提供されているため、併せてご参照ください。
<労働災害再発防止のための自主点検の方法について|厚生労働省>
労災隠しのペナルティ
労働災害が発生した場合、企業は労働安全衛生法に基づいて、安全衛生管理責任を果たさなければなりません。
それにも関わらず、労災保険の申請や労働者死傷病報告を提出しないなどの労災隠しを行った場合、労働安全衛生法120条第5号の規定により50万円の罰金が科されます。
仮に企業側が労働災害発生の事実を隠蔽しても、労働者側が労災申請を行うことで事実が発覚することになるため、必ず適切な対応を取るようにしましょう。
まとめ
今回は労災保険をテーマに、加入条件や対象者、手続きなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
労災保険はアルバイトやパートであっても加入対象となり、給付内容も正社員と同様のものとなります。
しかしアルバイトを労災保険の対象外だと勘違いして、労災保険への加入を怠ったり、意図せず労災隠しを行ったりすれば、大きなペナルティが課されてしまうでしょう。
ぜひこの記事を参考に、労働災害や労災保険について適切に対応していただければ幸いです。
オリジナルのインセンティブ制度で
従業員のやる気アップ!
勤務や成果に応じてポイントが貯まる
オリジナルの社内ポイント制度/インセンティブ制度を
作成・管理できるサービスです