採用課題を解決したいと考え、色々調べている中でタレントプールという言葉を聞いたものの、正直よく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事ではタレントプールの基本として、概要からメリット、運用方法、ポイントまで分かりやすく解説していきます。
タレントプールの基本を押さえたいという方は、ぜひ最後までご一読ください。
タレントプールとは
まずはタレントプールとは何かについて、その概要や対象者、注目されている背景などを解説します。
タレントプールの概要
タレントプールとは、採用候補者となる人材のデータベースのことを指します。
人材と人材の持つ才能を意味する「タレント」と、蓄えることを意味する「プール」という言葉が組み合わさった造語となっています。
タレントプールという概念は、1997年にアメリカのコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーが発表した、「The War for Talent」の中で最初に取り上げられました。
タレントプールを導入すれば、自社にとって優秀な人材との繋がりを維持し、その情報を適切に管理できるため、採用活動を効率化することが可能です。
タレントプールの対象者
先ほどタレントプールは採用候補者となる人材のデータベースであるとお伝えしましたが、具体的にどういった人材が対象となるのでしょうか。
タレントプールの対象者は企業によって当然異なってきますが、代表的な対象者は以下のようになるでしょう。
- 中途採用辞退者
- 内定辞退者
- 退職者
- 自社開催のセミナーやイベントなどの参加者
- 業務委託しているフリーランス
- 自社運用のSNSフォロワー
他にも過去に選考を受けて不合格としたものの、違うポジションなら採用可能な人材なども対象者として挙げられます。
タレントプールが注目される背景
タレントプールは先ほど1997年に提唱されたものであるとお話しましたが、なぜ20年以上の時を経て、注目を集めているのでしょうか。
それには以下の4つの背景があります。
背景①:生産年齢人口の減少
日本では1995年をピークに、生産年齢人口が減少し続けています。
そのため採用シーンにおいても限られた人材との接点を重視していく考え方が浸透し始め、それに伴いタレントプールも注目を集めているのでしょう。
背景②:働き方の多様化
日本では従来一つの企業に長年勤務することを良しとする価値観が根付いていました。
しかし近年働き方も多様化し、転職文化も発展したことに伴い、タレントプールという考え方も注目され始めたと言えるでしょう。
背景③:人的資本経営の考え方の浸透
2020年に人的資本経営を取り上げた人材版伊藤レポートが発表されて以降、人材を資本と見なし、積極的に投資していくという考え方が企業に浸透し始めたことも背景と言えます。
背景④:ミスマッチという採用における課題
採用シーンにおいては必ずミスマッチという課題が付きまといます。この大きな課題への対策としてタレントプールは期待されています。
タレントプール活用の5つのメリット
続いてタレントプール活用のメリットを5つご紹介していきます。
メリット①:採用活動の効率化
タレントプールを運用すれば、自社にとって優秀な人材の情報を蓄積できるため、一から母集団を形成する必要がありません。
また一定の基準を設けて、その基準をクリアした人材とコンタクトを取り、情報を蓄積していくため、スキルや人物像を確認する一次面接などを省略することも可能です。
メリット②:採用活動の質の向上
効率だけでなく質の向上が見込める点もメリットとして挙げられます。
タレントプールでは、事前に要件を定めて、自社との相性が良い人材に絞って情報を集めていきます。
そのため自社にとって質の高い求職者に関する情報が蓄積され、それを基にした訴求力の高いアプローチも可能となります。
メリット③:採用コストの削減
採用コストの削減が見込める点も見逃せません。
通常の採用活動の場合、求人媒体や人材紹介会社などを利用して母集団を形成していくことになりますが、そこには莫大な費用が掛かります。
その点タレントプールでは既に接点のある人材に対してアプローチしていくため、新たに接点を作る必要がなく、その分費用なども掛かりません。
メリット④:転職潜在層との接点を持てる
転職潜在層との接点が持てるという点はタレントプールの大きなメリットと言えます。
タレントプールでは今すぐ転職がしたいという人材だけでなく、むしろ将来的に転職する可能性のある人材の情報を集めていくことになります。
そのため顕在的な母集団に加え、潜在的な人材との接点を持つことが可能です。
メリット⑤:優秀な人材への再アプローチも可能
タレントプールでは先述した通り過去の選考参加者の情報も管理し、継続的なアプローチを実施していくことになります。
そのため能力や人格面で申し分がなかったものの、状況やタイミングで入社には至らなかった優秀な人材への再アプローチも可能です。
求職者から見たメリットとは?
求職者から見たタレントプールのメリットとしては、企業理解が進む点が挙げられます。通常の採用では、選考が終わればその企業に対する理解は大抵止まります。
その点タレントプールを活用している企業と関係を持っていれば、継続的にその企業に関する情報を取得できるため、企業に対しての理解もより深まると言えるでしょう。
タレントプール活用の3つのデメリット
タレントプール活用のメリットを見ていただいたところで、デメリットについても押さえていきます。
デメリット①:データベースの構築や更新作業の工数が掛かる
デメリットとしてまず挙げられるのは、データベースの構築や更新のための工数が掛かる点です。
タレントプールを新たに導入する場合、データベースの設計や構築が必要となることは言うまでもありません。
またデータベースに入っている人材とのコンタクトが増えれば、その分情報の更新作業も必要となります。
デメリット②:タレントプールを含めた採用フローの構築が必要
採用フローを改めて構築する必要がある点もデメリットとして挙げられるでしょう。
タレントプールはここまで説明してきたように、従来の採用の考え方とは異なる形で人材に対してアプローチしていくことになります。
そのためそれを踏まえた採用フローの構築をしなければなりません。
デメリット③:中長期的な視点で運用する必要がある
また中長期的な視点が必要であるという点もデメリットと言えます。
先に述べた通り、タレントプールでは転職潜在層を中心に接点を持ち、コミュニケーションを重ねていくことになります。
そのため短期的に採用できるという類のものではなく、中長期的な視点を持って運用する必要があり、会社全体としてこの点を理解しておかなければなりません。
タレントプールの基本的な運用方法
ここからはタレントプールの作り方や基本的な運用方法を、6つのステップに分けて解説していきます。
ステップ①:ターゲット人材の要件定義
まずはターゲット人材の要件を定義するステップとなります。どのような人材を対象とするのかを具体的にすることは、タレントプールの成否を決めます。
とりあえず接点のある人材を全て対象者としてしまえば、結局効率や質の悪い採用にしかなりません。
そのためデータベースを構築する前に、ペルソナやタレントプールに含める際の基準を明確化し、採用に関わるメンバー全員で共有しておく必要があります。
ステップ②:データベースの構築
続いてのステップはデータベースの構築です。先に決めたターゲット人材の要件を基に、データベースの項目などを策定していきましょう。
データベースの項目が決まれば、実際に構築していくことになります。
あまりに複雑な項目にしてしまえば運用面で支障が出るため、管理する情報を絞り、できるだけシンプルなデータベースにすることが運用を継続していくためのポイントです。
ステップ③:候補となる人材をデータベースに追加する
データベースが構築できれば、候補となる人材を選定し、その情報を追加していくステップへと入ります。
データベースを構築した時点で、まずは既に接点のある対象者の情報を格納します。
また要件に合致する人材との接点が新たに生まれた場合、忘れずにデータベースに追加しましょう。
ステップ④:コンタクトや情報配信の実施
続いてのステップは、データベースに入っている採用候補者へのコンタクトや情報配信の実施です。
タレントプールを運用する際、ただ採用候補者の情報をデータベース化しておき、管理するだけでは何の意味もありません。
そのデータベースに基づき、採用候補者に対して定期的な面談を設けたり、メールやツールを通じて有益な情報を提供したりすることが重要になります。
ステップ⑤:データベース更新・情報の分析
次にデータベースの更新と情報分析のステップに入ります。
採用候補者に対してコンタクトや情報提供を実施した後は、コンタクトの内容や相手の反応などを含めて、情報を更新していく必要があります。
またこれらの更新した情報を分析し、採用候補者の転職意欲などを分析することも重要になるでしょう。
ステップ⑥:アプローチ・オファー
最後のステップはアプローチ・オファーの実施です。
採用候補者にコンタクトや情報提供を重ね、その反応などを分析した上で、適切なタイミングを計りながらアプローチやオファーを実施していくことになります。
まだまだ転職意欲が高まっていない候補者に対してアプローチしても、逆効果になりかねないので、候補者の情報をどれだけ分析できるかがカギとなるでしょう。
タレントプール活用のポイント
最後にタレントプール活用のポイントとして以下の5点を紹介します。
ポイント①:採用候補者との継続的な接点を持つ
一つ目のポイントは採用候補者と継続的な接点を持つという点です。
先ほども軽く触れましたが、タレントプールを運用する場合、データベースを作って終わりというわけではありません。
採用候補者との継続的な接点を持ち、転職意欲や自社への理解度を深めてもらう必要があります。
とはいえ毎日コンタクトしてしまうと候補者から疎ましがられてしまうため、候補者の状態や転職意欲に合わせて、月一回や週一回などといったように調整すると良いでしょう。
ポイント②:情報更新や分析を欠かさない
一つ目のポイントにもあるように、タレントプールの運用においては、採用候補者と定期的なコンタクトを図ることになります。
そのため都度情報を更新し、データベースの鮮度を保つ必要があります。
また情報の分析を行い、そこから採用候補者の状態や転職意欲に関する示唆を得ることも重要になるでしょう。
この更新と分析という作業を徹底できるかも、タレントプール運用の成否に大きく影響します。
ポイント③:質の高いコンテンツを用意する
続いてのポイントは、提供する情報やコンテンツを質の高いものにするという点です。
定期的にコンタクトを取ると言っても、ただ面談するだけであったり、企業に関する情報を配信したりするだけでは効果が出ません。
面談をするにしても情報を提供するにしても、採用候補者の視点で、質が高く有益な内容にする必要があります。
ポイント④:適切なタイミングでオファーを実施する
オファーを適切なタイミングで実施することも大きなポイントです。
採用候補者と一口に言っても、現在の状況や心理状態は三者三様となっています。
そのため先に触れた通り採用候補者の情報を徹底的に分析し、オファーすべきタイミングを見極める必要があります。
もし十分に転職意欲が高まっていない状況でオファーしてしまうと、逆に信用を失う結果になりかねないので注意しましょう。
ポイント⑤:ツールやサービスを活用する
最後のポイントはツールやサービスを活用するという点です。
昨今、TalentCloudやMyTalentといったタレントプールに役立つサービスが多数登場しており、これらを活用することでデータベースの構築や情報の更新・分析作業を効率化できます。
またWantedlyやLinkedInなどのビジネス系SNSを活用すれば、採用候補者との定期的なコンタクトや情報配信もしやすくなるでしょう。
まとめ
今回はタレントプールとは何かについて、メリットや作り方を含めた運用方法、ポイントも併せてお話してきましたが、いかがでしたか。
あらゆる業界で人手不足が加速している中、多くの企業は採用活動の見直しを迫られ、どうすれば優秀な人材を確保できるかに頭を悩ませています。
そういった状況において、タレントプールを運用した採用活動は効果を出しやすいでしょう。
ぜひこの記事をきっかけに、タレントプールの運用にチャレンジしていただければ幸いです。
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