2026年度も最低賃金の引き上げが進み、アルバイトを多く雇用する企業では、人件費の増加への対応が求められています。最低賃金の改定に合わせて時給を見直すだけでなく、既存のアルバイトとの賃金バランスや人手不足への対策も必要です。

本記事では、2026年度の地域別最低賃金や改定の動向について解説します。アルバイトの人件費負担を軽減する業務改善助成金や、企業が取り組みたい具体策も紹介するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

【2026年10月】全国の最低賃金一覧

2026年度の地域別最低賃金について、47都道府県すべての改定額が答申されました。改定後の全国加重平均額は1,177円で、前年度の1,121円から56円引き上げられる見込みです。

最低賃金額や引き上げ幅、発効予定日は都道府県によって異なります。2026年度は54~65円の引き上げが答申され、10月1日から12月2日にかけて順次発効される予定です。

以下に、2026年度の地域別最低賃金をまとめました。

地域都道府県最低賃金額引き上げ額(円)改定日
改定前(円)改定後(円)
北海道北海道1,0751,131+562026/10/1
東北青森県1,0291,090+612026/10/29
岩手県1,0311,090+592026/12/1
宮城県1,0381,098+602026/10/1
秋田県1,0311,090+592026/10/14
山形県1,0321,092+602026/10/30
福島県1,0331,094+612026/10/16
関東茨城県1,0741,136+622026/10/18
栃木県1,0681,125+572026/10/1
群馬県1,0631,120+572026/10/3
埼玉県1,1411,196+552026/10/1
千葉県1,1401,195+552026/10/1
東京都1,2261,280+542026/10/1
神奈川県1,2251,279+542026/10/1
北陸・甲信越新潟県1,0501,108+582026/10/1
富山県1,0621,119+572026/10/1
石川県1,0541,113+592026/10/3
福井県1,0531,112+592026/10/4
山梨県1,0521,113+612026/11/1
長野県1,0611,117+562026/10/2
東海岐阜県1,0651,121+562026/10/1
静岡県1,0971,154+572026/10/15
愛知県1,1401,195+552026/10/1
三重県1,0871,143+562026/10/1
関西滋賀県1,0801,136+562026/10/3
京都府1,1221,180+582026/11/16
大阪府1,1771,231+542026/10/1
兵庫県1,1161,172+562026/10/1
奈良県1,0511,107+562026/10/4
和歌山県1,0451,101+562026/10/3
中国鳥取県1,0301,090+602026/10/3
島根県1,0331,092+592026/10/10
岡山県1,0471,104+572026/10/2
広島県1,0851,141+562026/10/11
山口県1,0431,101+582026/10/8
四国徳島県1,0461,103+572026/11/1
香川県1,0361,092+562026/10/1
愛媛県1,0331,093+602026/11/1
高知県1,0231,086+632026/10/29
九州福岡県1,0571,114+572026/10/4
佐賀県1,0301,095+652026/11/15
長崎県1,0311,087+562026/11/2
熊本県1,0341,092+582026/12/1
大分県1,0351,096+612026/11/1
宮崎県1,0231,085+622026/10/24
鹿児島県1,0261,090+642026/10/25
沖縄沖縄県1,0231,086+632026/12/2
全国加重平均1,1211,177+56–

最低賃金は、都道府県ごとに定められた発効日以降の労働に適用されます。複数の地域で店舗や事業所を運営している企業は、各地域の改定額だけでなく、発効日も確認しておくことが大切です。

特に、アルバイトの時給を最低賃金に近い水準で設定している場合は、改定後の金額を下回らないよう注意が必要です。対象となる従業員の時給や給与テーブルを確認し、発効日に間に合うよう見直しを進めておきましょう。

参照:令和8年度地域別最低賃金答申状況|厚生労働省

【2026年10月】最低賃金改定の動向とアルバイトへの影響

2026年度も、全国各地で最低賃金の引き上げが進んでいます。一方で、引き上げ幅や発効時期には地域差があり、改定による影響も一様ではありません。

ここでは、全国加重平均の推移と主要地域の状況から、2026年度の最低賃金改定の特徴を解説します。

参照:全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました|厚生労働省

全国加重平均1,177円へ過去最大級の引き上げ

2026年度の最低賃金は、全国加重平均で1,177円となる見込みです。前年度の1,121円から56円上昇し、1978年度に目安制度が始まって以降、2番目に高い引き上げ額となりました。

全国加重平均は、2023年度に初めて1,000円を超えて以降も上昇が続いています。近年の推移は以下のとおりです。

2022年度2023年度2024年度2025年度2026年度
全国加重平均額961円1,004円1,055円1,121円1,177円
前年度からの引き上げ幅+31円+43円+51円+66円+56円
引き上げ率3.33%4.48%5.07%6.25%5.00%

2026年度は前年度より引き上げ幅が縮小したものの、依然として大幅な引き上げが続いています。最低賃金の上昇が継続している点を踏まえ、アルバイトの賃金設定を中長期的に検討する必要があります。

主要地域の答申状況と順次発効スケジュール

2026年度は、主要地域でも50円を超える最低賃金の引き上げが答申されました。主な地域の改定額と発効予定日は、以下のとおりです。

  • 東京都:1,280円(10月1日)
  • 神奈川県:1,279円(10月1日)
  • 大阪府:1,231円(10月1日)
  • 愛知県:1,195円(10月1日)
  • 京都府:1,180円(11月16日)
  • 福岡県:1,114円(10月4日)

発効日は全国一律ではなく、10月1日から12月2日にかけて地域ごとに異なります。給与の締め日をまたいで最低賃金が改定される場合は、発効日前後の労働時間を区分して確認する必要があります。

発効日以降の労働には新しい最低賃金が適用されるため、給与計算や時給設定への反映漏れがないよう注意しましょう。

アルバイト人件費の負担軽減策!業務改善助成金の要件と申請手順

最低賃金の引き上げに伴う負担を軽減する方法の一つに、国の「業務改善助成金」があります。中小企業・小規模事業者が賃金を引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行った場合、最大600万円が助成される制度です。

以下で、業務改善助成金の支給対象要件や特例事業者の条件をまとめているので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

参照:令和8年度業務改善助成金のご案内|厚生労働省

主な支給対象要件

業務改善助成金の対象となるには、事業場内で最も低い時間給である「事業場内最低賃金」を50円以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行う必要があります。

2026年度は、賃金の引き上げ額に応じて「50円コース」「70円コース」「90円コース」の3つが設けられています。さらに、引き上げる労働者数によって助成上限額が異なり、一定の要件を満たす場合は最大600万円です。

助成率は、事業場内最低賃金に応じて3/4または4/5になります。アルバイトを含め、対象となる労働者数や引き上げ額を確認したうえで、自社に適したコースを検討しましょう。

特例事業者の適用要件

特例事業者に該当すると、通常より幅広い設備投資を助成対象にできます。対象になるのは、原材料費の高騰など外的要因の影響を受け、申請前6か月間の平均利益率が前年度と比べて3%ポイント以上低下している事業者です。

「物価高騰等要件」を満たす場合、通常は対象外となるPCやスマートフォン、タブレットなどの端末と周辺機器も、新規導入であれば助成を受けられる場合があります。

例えば、店舗業務の省力化を目的としたタブレット端末の導入などが挙げられます。設備投資の選択肢を広げるためにも、まずは自社が特例事業者に該当するか確認しておくことが大切です。

賃金引き上げの完了と申請の流れ

業務改善助成金を利用する際は、申請と賃金引き上げのタイミングに注意が必要です。2026年度は、交付申請後から各地域の最低賃金発効日の前日までに、事業場内最低賃金を引き上げなければなりません。

基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 賃金引き上げや設備投資の計画を立てる
  2. 交付申請を行う
  3. 申請後、発効日前日までに賃金を引き上げる
  4. 交付決定後に設備を導入する
  5. 事業完了後、実績報告と支給申請を行う

なお、申請期限は「地域別最低賃金の発効日前日」または「2026年11月30日」のいずれか早い日です。賃上げ後の申請や交付決定前の設備導入は対象外となるため、順序を確認して手続きを進めましょう。

アルバイト雇用企業が取り組むべき4つの最低賃金対策

最低賃金の改定に対応するには、時給を引き上げるだけでなく、人材を確保しながら生産性を高める取り組みも欠かせません。シフト管理や従業員への説明、DXによる業務効率化など、複数の視点から対策を進めることが大切です。

ここでは、アルバイトを雇用する企業が取り組みたい4つの最低賃金対策を紹介します。

1.シフト管理で手取りの減少を防ぐ

アルバイトの就業調整を防ぐには、社会保険への加入による手取り額の変化を踏まえ、本人の希望に沿ってシフトを管理することが大切です。

2026年10月には、いわゆる「106万円の壁」の要因となっていた月額8.8万円以上の賃金要件が撤廃される予定です。対象となる事業所では、週の所定労働時間が20時間以上になると、学生ではないなどの要件を満たすアルバイトが社会保険の加入対象となります。

例えば、社会保険料の負担による手取り額の減少を懸念し、勤務時間を抑えたいと考えるアルバイトが出てくる可能性があります。一方で、一律に週20時間未満へ調整すると、人手不足をさらに招きかねません。

アルバイトごとに希望する収入や勤務時間を確認し、社会保険加入後の負担やメリットも説明したうえで、適切な働き方を提案することが重要です。

参照:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省

2.個別面談で年収125万円以上のメリットを伝える

社会保険への加入を理由とした働き控えを防ぐには、個別面談を通じて収入を増やすメリットを伝えることが大切です。社会保険に加入すると保険料負担が生じ、一時的に手取りが減少する場合があります。

厚生労働省の試算では、年収106万円で社会保険に加入するケースでは、年収が125万円程度まで増えると手取り収入が加入前の水準に戻るイメージが示されています。さらに、厚生年金への加入によって将来受け取る年金が増えるなど、手取り額以外のメリットもあります。

企業側は一律に勤務時間を増やすのではなく、本人が希望する働き方や収入を確認することが重要です。社会保険加入後の手取り額や保障の変化を具体的に説明し、納得できる働き方を検討しましょう。

参照:第7回社会保障審議会年金部会(議事録)|厚生労働省

3.職場のDX化と省人化を進める

最低賃金の上昇による人件費負担を抑えるには、DX化や省人化によって、少ない人数でも業務を回せる環境を整えることが大切です。定型業務を効率化し、従業員を接客やサービス提供など、人の対応が必要な業務へ配置する方法もあります。

例えば、飲食店ではセルフオーダーシステムや自動釣銭機、勤怠・シフト管理システムなどの導入が選択肢です。業務にかかる時間を短縮できれば、従業員一人あたりの生産性向上にもつながります。

業務改善助成金では、生産性向上に役立つ設備投資などが助成対象です。人件費を単純に削減するのではなく、現場の負担を減らしながら効率的に運営できる体制を目指しましょう。

4.役割や等級に応じて評価制度を再構築する

最低賃金の引き上げに合わせて、アルバイトの評価制度や賃金体系も見直すことが大切です。最低賃金に近い従業員だけを昇給すると、経験やスキルのあるアルバイトとの時給差が縮まり、待遇に対する不公平感につながる可能性があります。

例えば、業務内容やスキル、責任の範囲に応じて等級を設定し、それぞれの時給水準を明確にする方法が有効です。新人アルバイトと教育を担当するリーダーでは賃金に差を設けるなど、役割に応じた評価基準を整えることで、納得感を高められます。

最低賃金の改定を単なる時給変更で終わらせず、既存従業員を含めた賃金バランスを確認しましょう。評価と賃金が連動する仕組みを整えることは、従業員の定着や意欲の向上にもつながります。

まとめ

2026年度の最低賃金は、全国加重平均で1,177円となり、前年度から56円引き上げられる見込みです。アルバイトを多く雇用する企業では、改定後の時給への対応に加え、就業調整や既存従業員との賃金バランスにも目を向ける必要があります。

業務改善助成金の活用やシフト管理、評価制度の見直しなどを組み合わせ、自社の状況に合った対策を進めることが大切です。最低賃金の上昇を人件費の問題だけで捉えず、働きやすさと生産性を両立できる職場づくりにつなげましょう。

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