人材を確保する方法として、人材派遣と人材紹介のどちらを利用すべきか迷う企業も多いのではないでしょうか。

人材派遣と人材紹介では、雇用契約の当事者や指揮命令権、料金体系などに違いがあります。それぞれの仕組みを理解せずに利用すると、自社の採用課題に合わないだけでなく、法律上のルールに抵触するおそれもあるため注意が必要です。

本記事では、人材派遣と人材紹介の違いをわかりやすく比較して解説します。利用時の注意点や、自社の課題・期間・予算に応じた選び方もまとめているので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

【一覧表】人材派遣と人材紹介の違い

人材派遣と人材紹介の主な違いは、以下のとおりです。

比較項目人材派遣人材紹介
雇用契約の当事者派遣会社紹介先企業
指揮命令権派遣先企業紹介先企業
費用発生のタイミング派遣スタッフの稼働に応じて発生採用決定・入社時に発生
面接・選考の実施原則不可可能
雇用期間の上限原則3年制限なし

人材派遣では、派遣会社が派遣スタッフと雇用契約を結びますが、実際の業務に関する指示は派遣先企業が行います。一方、人材紹介では、紹介された人材を企業が採用し、直接雇用する仕組みです。

また、人材派遣と人材紹介では、費用が発生するタイミングや選考の可否、雇用期間の制限にも違いがあります。短期的な人員確保なのか、長期的に活躍する人材の採用なのかなど、自社の目的を明確にしたうえで選ぶことが大切です。

人材派遣と人材紹介の根本的な4つの違い

人材派遣と人材紹介は、どちらも企業の人材確保を支援するサービスですが、仕組みは大きく異なります。ここでは、人材派遣と人材紹介の違いを、以下の4つのポイントに分けて解説します。

  • 雇用契約の当事者(誰と契約を結ぶか)の違い
  • 指揮命令権の所在(誰が業務指示を出すか)の違い
  • 契約期間の制限(最長3年ルールの有無)の違い
  • 自社による選考・履歴書回収(面接)の可否の違い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.雇用契約の当事者(誰と契約を結ぶか)の違い

人材派遣と人材紹介では、雇用契約を結ぶ当事者が異なります。

人材派遣の場合、派遣スタッフと雇用契約を結ぶのは派遣元である派遣会社です。派遣先企業と派遣スタッフの間に直接の雇用関係はなく、給与の支払いなどは派遣会社が行います。

一方、人材紹介では、紹介された求職者と紹介先企業が直接雇用契約を結ぶ仕組みです。採用後は紹介先企業が雇用主となり、給与の支払いや福利厚生、労務管理、安全衛生などを担います。

つまり、人材派遣は「外部企業が雇用する人材を受け入れる仕組み」、人材紹介は「自社で雇用する人材の採用を支援してもらう仕組み」と整理できます。

2.指揮命令権の所在(誰が業務指示を出すか)の違い

人材派遣と人材紹介で異なる点の一つが、業務上の指揮命令権の所在です。

人材派遣の場合、派遣スタッフの雇用主は派遣会社ですが、日々の業務に関する指示は派遣先企業が行います。派遣先企業が、現場で業務内容や作業手順などを直接指示する点が特徴です。

一方、人材紹介では、紹介先企業が人材を直接雇用し、既存の従業員と同様に業務上の指揮命令も行います。人材派遣では雇用主と指揮命令を行う企業が異なるのに対し、人材紹介ではどちらも紹介先企業となる点が大きな違いです。

3.契約期間の制限(最長3年ルールの有無)の違い

人材派遣では、労働者派遣法によって派遣期間に制限が定められています。有期雇用の派遣スタッフを受け入れる場合、同一の事業所・組織で働ける期間は原則として最長3年です。そのため、同じ派遣スタッフに長期間継続して働いてもらうことを前提とした人材確保には注意が必要です。

一方、人材紹介には、人材派遣のような法的な期間制限がありません。紹介した人材は企業と直接雇用契約を結ぶため、長期的なキャリア形成や将来の中核人材の育成を見据えた採用にも適しています。

参照:派遣期間制限について|厚生労働省

4.自社による選考・履歴書回収(面接)の可否の違い

人材派遣と人材紹介では、受け入れる人材を自社で選考できるかどうかにも違いがあります。

通常の人材派遣では、派遣先企業が派遣スタッフを特定する目的で、事前面接を行ったり履歴書の提出を求めたりする行為は原則として認められていません。派遣先企業が人材を選考する仕組みではないためです。

一方、人材紹介では、紹介された求職者について自社での選考が可能です。書類選考や面接、適性検査などを実施し、自社が求めるスキルや経験、適性などを確認したうえで採用を判断できます。

参照:派遣受け入れ前の面接は禁止ですか|厚生労働省

人材派遣と人材紹介のコスト比較と料金システム

人材派遣と人材紹介では、料金が発生するタイミングや支払い方法も異なります。人材派遣はスタッフの稼働時間に応じて料金を支払うのに対し、人材紹介は採用が決定した際に紹介手数料を支払うのが一般的です。

それぞれの料金システムについて、詳しく見ていきましょう。

人材派遣:実働に応じた時間精算制

人材派遣では、一般的に求人広告費などの採用時にかかる初期コストを抑えやすく、「実労働時間×合意した時間単価(派遣料金)」を月ごとに支払います。

派遣スタッフの給与形態が時給・日給・月給のいずれであっても、派遣先企業が負担するコストは実際の稼働実績に応じて決まります。残業や欠勤なども反映して精算されるため、コストを把握しやすい点が特徴です。

また、必要な期間や稼働時間に応じて人材を確保できるため、期間限定のプロジェクトや季節による繁閑への対応にも適しています。固定的な人件費の負担を抑えながら必要な人員を確保でき、キャッシュフローの効率化にもつなげられます。

人材紹介:採用決定時の完全成功報酬制

人材紹介では、採用が決定し、求職者が入社したタイミングで紹介手数料を支払う完全成功報酬制が一般的です。手数料は、採用した人材の想定年収の30〜35%程度が目安になります。

採用に至らなければ基本的に紹介手数料は発生しないため、採用不成立時のコストを抑えやすい点がメリットです。一方、採用決定時にはまとまった手数料を一括で支払う必要があり、一時的なコスト負担は大きくなります。

ただし、採用後は人材紹介会社への継続的な手数料が発生しません。数年単位で長く働く中核人材を確保する場合は、長期的に見るとコストを抑えやすい採用手法といえます。

人材派遣や人材紹介を利用する際の注意点とコンプライアンス

人材派遣や人材紹介を利用する際は、料金や契約内容だけでなく、関連する法律や制度についても理解しておく必要があります。特に人材派遣では、派遣先企業にも守るべきルールがあるため注意が必要です。

ここでは、人材派遣や人材紹介を利用する企業が押さえておきたい注意点とコンプライアンスについて解説します。

事前面接・履歴書選考(特定目的行為)の禁止

通常の人材派遣では、派遣先企業が派遣スタッフを特定する目的で、事前面接を実施したり履歴書の提出を求めたりする行為は原則として禁止されています。「顔合わせ」や「職場見学」という名目であっても、派遣先企業が採否を判断するなど実質的な選考を行うと、労働局の指導対象となる可能性があるため注意が必要です。

就業開始前に履歴書を確認したり面接を実施したりしたい場合は、事前選考が認められている「紹介予定派遣」を活用する方法があります。通常の人材派遣との違いを理解し、適切な仕組みを利用することが重要です。

参照:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-GOV法令検索

人材派遣・紹介に必要な国への許可制度

人材派遣事業と人材紹介事業を行うには、いずれも厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。人材会社を選ぶ際は、公式Webサイトなどで以下の許可番号が明示されているか確認することが大切です。

許可の種類許可番号の表記例
人材派遣労働者派遣事業許可派13-××××××
人材紹介有料職業紹介事業許可13-ユ-××××××

※許可番号の2桁の数字は管轄の都道府県労働局を示しており、「13」は東京労働局を表します。

無許可の事業者から人材を受け入れた場合、企業側も行政指導などの対象となる可能性があります。また、違法派遣に該当するケースでは、労働契約申込みみなし制度が適用されるリスクもあるため、契約前に許可の有無を確認しておきましょう。

参照:労働契約申込みみなし制度の概要|厚生労働省

特定技能外国人の雇用ルール

特定技能外国人を受け入れる場合は、原則として企業による直接雇用が必要です。例外として、季節による作業の繁閑が大きく、複数の産地間で労働力を融通する必要がある「農業」と「漁業」の2分野では、派遣形態での受け入れが認められています。

一方、製造・建設・サービス・流通など、そのほかの産業分野では、特定技能外国人を派遣スタッフとして受け入れられません。外国人材の活用を検討する際は、人材紹介などを通じて求職者を紹介してもらい、自社で直接雇用契約を結ぶ必要があります。

参照:特定技能制度に関するQ&A|出入国在留管理庁

紹介予定派遣とは?人材派遣と人材紹介以外の選択肢

紹介予定派遣とは、派遣先企業での直接雇用を前提として、一定期間は派遣スタッフとして働く仕組みです。派遣期間は最長6か月で、期間中に企業と派遣スタッフの双方が適性や相性を確認し、合意に至った場合に直接雇用へ切り替えます。

通常の人材派遣では、派遣先企業による事前面接や履歴書を用いた選考は原則として認められていません。一方、紹介予定派遣は直接雇用を前提としているため、派遣開始前の面接や履歴書の確認、適性検査などの選考が認められています。

実際の働きぶりやスキル、職場との相性を確認してから採用を判断できる点が、紹介予定派遣のメリットです。履歴書や面接だけでは判断しにくい適性も見極めやすく、採用後のミスマッチや早期離職を防ぐ手段として活用できます。

参照:紹介予定派遣の概要|厚生労働省

人材派遣と人材紹介の使い分け|課題・期間・予算別のポイント

人材派遣・人材紹介・紹介予定派遣のどれを選ぶかは、自社が抱える課題や必要な期間、予算を踏まえて判断することが大切です。

比較項目人材派遣人材紹介紹介予定派遣
解決したい課題・急な欠員
・繁忙期の人員不足
長期的な人材不足採用後のミスマッチ
雇用期間・短期
・期間限定
長期派遣期間を経て長期雇用
予算必要な期間・時間に応じて調整しやすい採用時にまとまった予算が必要になる派遣料金と紹介手数料の両方を見込む必要がある

急な欠員や繁忙期など、一時的な人員不足には人材派遣が適しています。一方、将来のリーダーや中核人材など、長期的な人材確保を目的とする場合は人材紹介が有効です。また、採用後のミスマッチや早期離職を抑えたい企業には、紹介予定派遣が向いています。

それぞれ特徴が異なるため、自社の課題や人材が必要な期間、予算を整理したうえでサービスを選びましょう。

まとめ

人材派遣と人材紹介では、雇用契約の当事者や指揮命令権、契約期間、選考の可否などに違いがあります。人材派遣は一時的な人員不足への対応、人材紹介は長期的な人材確保に適したサービスです。また、利用する際は事前面接の禁止や事業者の許可制度など、法律上のルールを理解しておく必要があります。

本記事では、人材派遣と人材紹介の違いを解説しました。それぞれの特徴を理解し、自社の課題や人材が必要な期間、予算に合ったサービスを選び、今後の採用活動に活かしましょう。

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