- 優良派遣事業者とは?
- 優良派遣事業者になるにはどうすればいいのか?
- 優良派遣事業者になるメリットや注意点は?
この記事は上記のような疑問を抱かれている方に向けて、優良派遣事業者の概要や認定メリットを解説しつつ、申請条件や注意点なども解説していきます。
優良派遣事業者の基本を押さえたいという方は、ぜひ最後までお読みください。
優良派遣事業者の概要
はじめに優良派遣事業者の概要や目的、メリットについて確認します。
優良派遣事業者とは
優良派遣事業者とは、派遣労働者のキャリア形成や労働環境の整備などにおける一定基準を満たしている派遣元事業者のことです。
優良派遣事業者認定制度において、厚生労働省から認定を受けることで、優良派遣事業者になることができます。
派遣元事業者が優良派遣事業者認定申請を行い、厚生労働省の指定した審査機関が審査を実施し、認定される仕組みとなっています。
3年ごとの更新が必要であり、その都度審査を受けなければなりません。
優良派遣事業者認定制度の目的
優良派遣事業者認定制度が設けられた目的として、主に派遣労働者の処遇改善と安定したサービス提供が挙げられます。
派遣労働者は定期的に派遣先が変更になる可能性も高く、長期的なキャリア形成が難しいと言えます。
また雇用している企業と実際に労働力を提供している企業が異なるため、適正な評価や処遇を確保することも難しいと言わざるを得ません。
こういった現状を改善し、派遣労働者・派遣先企業へ安心したサービスを提供するために設けられた制度と言えるでしょう。
優良派遣事業者認定制度のメリット
優良派遣事業者認定制度のメリットについては以下のようなものが挙げられます。
【派遣元事業者にとってのメリット】
- 社会的信用が向上する
- コンプライアンス意識が強化される
- 雇用管理体制の適正化を実現できる
- 悪質な事業者を排除し、業界健全化を促進できる
【派遣労働者にとってのメリット】
- 安全で適正な管理をしてくれる派遣元事業者を選定できる
- 希望するキャリアや能力開発を実現できる
- 適切な評価や待遇を確保できる
【派遣先企業にとってのメリット】
- 優良な派遣元事業者を選定できる
- 優秀な人材を獲得できる
- コンプライアンス意識が強化される
優良派遣事業者の認定を受けるには
ここからは優良派遣事業者の認定を受けるためのスケジュールや申請条件、認定基準について解説します。
認定を受けるまでの大まかなスケジュール
まずは認定を受けるまでのスケジュールについて確認していきましょう。
優良派遣事業者の認定は毎年前期と後期に分かれて実施されており、それぞれ以下のようなスケジュールで実施されます。
【前期認定のスケジュール】
- 5月~6月:審査認定機関の公募・公表
- 7月上旬:申請受付
- 7月(受付後)~8月:現地審査・オンライン審査
- 9月:認定事業者の公表
【後期認定のスケジュール】
- 6月~7月:審査認定機関の公募・公表、チェックリストの公開
- 8月下旬~9月:全国説明会・申請準備セミナー
- 10月下旬~11月上旬:申請受付
- 11月(受付後)~1月:現地審査・オンライン審査
- 3月:認定事業者の公表
申請するための条件
優良派遣事業者認定の申請を行うには特定の条件を満たす必要があります。具体的には以下の9つの条件が設けられています。
- 申請時に労働者派遣事業の認可を受けている事業主であること
- 直近5年間、労働基準法などの労働関連法令について、重大な違反をしていないこと
- 労働者派遣事業の許可・届出後、3年以上の事業実績があること
- 直近過去3年間、税金を滞納したことがないこと
- 直近過去3年間、派遣労働者への給与支払いが遅れていないこと
- 直近過去3年間、社会保険料及び労働保険料を滞納していないこと
- 直近過去3年間、厚生労働省から以下の命令を受けておらず、且つ3年より以前に以下の命令を受けた場合でも申請時点で命令を解除されていること
・労働者派遣事業改善命令
・労働者派遣事業停止命令 - 認定日の属する月の前月から遡る12か月間、違法な法定時間外労働及び休日労働がないこと
- その他、本制度の趣旨に照らして問題となる事実が認められないこと
認定を受けるための基準
先に挙げた条件を満たして申請を行った後は、以下の4つのカテゴリに属する基準に照らし合わせて審査が実施されます。
事業体に関する基準
まず挙げられる認定基準は、事業体に関する基準です。
事業体に関する基準では、事業健全性や社内監査体制、情報管理・保護の3つの観点で審査が実施されていきます。
具体的には以下のような項目が設けられています。
- 経営の安定性・健全性を確保するための経営方針や社内体制が整備されているか
- 安定した財務状況での事業運営が行われているか
- 各種労働関連法令に関する社内教育が行われているか
- 派遣先に関する情報を管理・保護する仕組みがあるか
派遣社員の適正就労とフォローアップに関する基準
次に挙げられるのは派遣社員の適正就労とフォローアップに関する基準です。
派遣社員の募集・採用、安定就労とフォローアップ、雇用管理の3つの観点から基準が設けられており、具体的には以下のような項目が挙げられます。
- 労働条件や必要なスキルを具体的に説明し、適正な内容で募集活動を行っているか
- 派遣社員の雇用安定のための取り組みをしているか
- 派遣社員の満足度や要望などを把握し、改善の取り組みをしているか
- 派遣社員の健康状況や安全衛生へ配慮しているか
派遣社員のキャリア形成と処遇向上の取り組みに関する基準
続いて挙げられるのは、派遣社員のキャリア形成と処遇向上の取り組みに関する基準です。
派遣社員のキャリア形成に関する基準、処遇向上に関する基準の2つの観点で基準が設けられています。
具体的には以下のような項目を審査されることになります。
- 派遣社員の仕事に対する適性を正しく判別する仕組みがあるか
- 派遣社員の働きぶりやスキルなどを適正に評価し、フィードバックを行っているか
- キャリア形成に配慮した仕事を紹介したり、派遣先へ働きかけたりしているか
- 派遣社員の処遇改善のための活動に取り組んでいるか
派遣先へのサービス提供に関する基準
最後に挙げられるのは、派遣先へのサービス提供に関する基準です。
派遣先ニーズへの対応や就業環境の整備、トラブル予防・是正措置という3つの観点で各基準が設けられており、具体的には以下のような項目を審査されることになります。
- 派遣先の職種や事情に応じ、ニーズを満たすための仕組みがあるか
- 派遣依頼内容を適正に管理しているか
- 派遣先に対して、派遣社員に対する安全配慮を求め、連携を取っているか
- 派遣先が適正に派遣サービスを受けられるよう、法令などの情報を周知しているか
その他、詳細については以下のページも併せてご確認ください。
優良派遣事業者認定の注意点
最後に優良派遣事業者認定を受ける上での注意点を押さえておきましょう。
注意点①:申請費用と更新費用がかかる
一つ目に挙げられるのは、申請時と更新時に費用がかかる点です。
審査を行う機関によって詳細は異なりますが、認定申請には30〜40万円ほどの費用がかかります。
また3年ごとに行われる更新時にも、30〜40万円ほどの費用が必要となる点は留意しておきましょう。
注意点②:認定を受けることが目的にならないようにする
続いて挙げられる注意点は、認定を受けること自体が目的にならないようにすることです。
優良派遣事業者認定制度は派遣労働者の処遇改善や、派遣先への適正なサービス提供のために設けられています。
そのための環境や体制、仕組みを整備していくことが目的であり、認定を受けることがゴールではないため、その点を理解した上で取り組む必要があるでしょう。
注意点③:情報収集やスケジュール管理を徹底する
情報収集やスケジュール管理を適切に行う点も押さえておくべきです。
優良派遣事業者の認定を受けるための審査は、毎年前期・後期の2回に分かれて行われています。
そのため各スケジュールを把握し、それに合わせて情報収集や準備などを進めていく必要があるでしょう。
注意点④:認定後も基準は満たし続ける必要がある
認定後も基準を満たし続ける必要がある点も押さえておきましょう。
認定が付与されても、途中で申請条件を満たさなくなった場合や法令違反といった取り消し事由が発生すると、取り消されてしまいます。
そのため認定を受けた後も、申請条件を満たし続けるための努力や工数が必要である点は押さえておいてください。
まとめ
今回は優良派遣事業者をテーマとして概要や申請条件、注意点などを解説してきましたが、いかがでしたか。
優良派遣事業者の認定を受けることで、派遣労働者や派遣先企業からの信頼度が向上し、選んでもらえる機会も増えるでしょう。
ぜひこの記事を参考にしつつ、優良派遣事業者の認定に取り組んでみていただければ幸いです。
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