働き方の多様化やICT(情報通信技術)の発達により、勤務時間と私生活の境界があいまいになり、勤務時間外でも業務連絡に対応せざるを得ない状況が広がっています。
この課題に対して近年注目されているのが「つながらない権利」です。つながらない権利とは、勤務時間外に仕事から物理的・心理的に切り離される権利のことで、従業員の心身の健康につながると考えられます。
本記事では、つながらない権利とは何か、人材派遣会社が実現するためのポイントとあわせて解説します。勤務時間外の連絡を防ぐための情報共有プロセスについてもまとめているので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
つながらない権利とは

「つながらない権利」とは、勤務時間外に業務から離れて、仕事に関する連絡や対応を拒否できる権利のことを指します。2025年12月時点において日本では明確な法律上の定義はないものの、一般的には勤務時間外に仕事上のメール・電話・チャット等を遮断する状態を意味します。
近年はスマートフォンやチャットツールの普及によって時間や場所に関係なく業務連絡が届くようになり、仕事と四六時中つながっている状況が常態化していることが課題です。このような背景から、勤務時間外の業務連絡を制限し、心身の回復や労働環境の改善を目的とした「つながらない権利」が注目されているのです。
つながらない権利に関する実態
つながらない権利に対する関心が高まるなかで、実際の勤務時間外の連絡状況や、それに対する労働者のストレス実態はどうなっているのでしょうか。ここでは、日本労働組合総連合会の調査データを参考に、つながらない権利に関する実態を詳しく見ていきましょう。
参照:”つながらない権利”に関する調査2023|日本労働組合総連合会
7割以上が勤務時間外に業務連絡を受けている
日本労働組合総連合会の調査によると、「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある」と回答した人の割合は72.4%に達しています。この割合はコロナ禍前よりも増加しており、多くの働き手が勤務時間終了後も仕事とつながっている実態が浮き彫りになりました。

引用:”つながらない権利”に関する調査2023(4p)|日本労働組合総連合会
さらに、「勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることがある」と回答した人の割合も44.2%に達しており、社内外からの連絡が勤務時間外でも発生していることがわかります。

引用:”つながらない権利”に関する調査2023(5p)|日本労働組合総連合会
このように、約7割以上の労働者が勤務時間外に仕事関連の連絡を受けていることは、ワークライフバランスの実現にとって大きな障壁になっています。職場環境によっては、勤務時間外の連絡がほぼ毎日届くケースもあり、働く人が休息の時間を十分に確保できていない状況が起きているのが現状です。
6割以上が勤務時間外の業務連絡にストレスを感じている
同調査からは、勤務時間外の業務連絡が多くの人にとってストレス要因となっている実態も明らかになっています。実際に、「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくるとストレスを感じる」と回答した人の割合は62.2%に達しました。

引用:”つながらない権利”に関する調査2023(7p)|日本労働組合総連合会
また、「勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくるとストレスを感じる」と回答した人の割合も60.9%と半数を超えています。さらに、勤務時間外に届いた業務連絡を確認しなければならないと感じる人も多く、単に連絡が来るだけでなく、常に仕事を意識せざるを得ない状況が心理的な負担につながっていることがわかります。

引用:”つながらない権利”に関する調査2023(7p)|日本労働組合総連合会
これらの結果から、勤務時間外の業務連絡は不便さの問題にとどまらず、心理的な負担や健康面への影響も示唆しているといえるでしょう。
人材派遣会社|つながらない権利を実現するためのポイント

人材派遣会社がつながらない権利を実現するためには、単に勤務時間外の連絡を禁止するだけでは不十分です。人材派遣会社として、社内ルールの整備や企業文化づくり、派遣先との協議など、具体的なプロセスを踏む必要があります。
ここでは、人材派遣会社向けにつながらない権利を実現するためのポイントを解説するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
つながらない権利を明文化した社内ルールの整備
人材派遣会社がつながらない権利を実現するためには、勤務時間外の連絡に関する基準を社内ルールとして明文化することが不可欠です。ルールがあいまいなままだと、「どの時間帯に、どの程度の連絡が許容されるのか」といった判断が個人に委ねられ、結果的に勤務時間外の連絡が発生しやすくなります。
具体的には、派遣元社員が対応義務を負わない時間帯を明確にし、「勤務時間外における派遣先企業・派遣スタッフからのメールや電話への対応は原則不要」「真に緊急性がある場合のみ例外とする」といった方針を、就業規則や社内ハンドブックに明記することが重要です。
これにより、勤務時間外の連絡対応が当然視される状況を防ぎ、派遣元社員の過度な負担を抑制できます。
つながらない権利を尊重する企業文化づくり
つながらない権利を定着させるためには、ルールだけではなく企業文化として根付かせることが重要です。どれほど体制を整えても、現場の意識が変わらなければ、暗黙の了解として勤務時間外の連絡が続いてしまう可能性があるからです。
まずは経営層や管理職が率先して勤務時間外の連絡を控える姿勢を示すと、従業員や派遣スタッフも安心して自分の時間を守る意識を持てるようになります。また、研修やミーティングを通じてつながらない権利の概念や目的を共有したり、派遣先企業にも理解と協力を求めたりすることが大切です。
人材派遣会社としてつながらない権利を実効性のあるものにするためにも、継続的な啓発を通じて企業文化を育てていきましょう。
クライアントや派遣スタッフへの対応時間・ルールの周知
つながらない権利を守るためには、業務範囲や連絡体制、対応時間を明確にし、派遣先企業および派遣スタッフに周知しておくことが重要です。契約内容や運用ルールがあいまいなままだと、勤務時間外の問い合わせや調整対応が常態化し、派遣元社員の過度な負担や長時間労働につながるおそれがあります。
そのため、業務内容や勤務時間、残業の有無や対応範囲を契約書に具体的に記載し、派遣先企業・派遣スタッフ・派遣元の三者間で認識を一致させることがポイントです。あわせて、勤務時間外の連絡については原則対応しないことを明確にし、やむを得ず例外とする「緊急時」の定義や連絡手段、対応主体を事前に取り決めておきましょう。
これらのルールを事前に共有・周知しておくことで、派遣元社員を守りつつ円滑な業務運営が可能になります。
連絡ツールの活用
連絡ツールを活用することも、つながらない権利を守る有効な手段です。多くの人は無意識のうちに勤務時間外の連絡をしてしまう傾向にあり、ツールの導入や運用ルール次第で不要なやり取りを防げるケースも考えられます。
たとえば、チャットやメールの送信予約、通知オフ、自動返信機能を活用することで、勤務時間外の連絡を抑制できます。また、連絡手段を一本化し、「どのツールを何の目的で使うのか」を明確にすることで、不要な連絡の分散を防ぐことも可能です。
連絡ツールの使い方を見直すことは、つながらない権利を無理なく実現するポイントになります。
人材派遣会社|勤務時間外の連絡を防ぐための情報共有プロセス
勤務時間外の連絡を減らすためには、社内の情報共有プロセスを整備することが重要です。具体的には、次の4つのステップを順に実施しましょう。
- 業務範囲・勤務時間の明確化
- 連絡ツールの一本化
- 情報共有ルールの整備
- 緊急連絡フローの事前策定
まずは、業務内容や勤務時間を関係者全員で共有し、誰がいつ対応すべきかを明確にします。次に、社内外の連絡ツールを統一し、勤務時間外の通知を制限することで無駄な連絡を減らせます。
そのうえで、情報を共有するタイミングや取扱方法を明文化し、社員と派遣スタッフに周知徹底しましょう。また、緊急時の連絡フローをあらかじめ決めておき、誰がどのように対応するかを明確にしておくことで、不要なやり取りを防ぎつつ連絡頻度を適正化できます。
これらのステップを順に実施することで、社員と派遣スタッフ双方の負担を減らせます。
つながらない権利の実現には「apseedsポータル」がおすすめ

人材派遣会社がつながらない権利を実現するには、勤務時間外の不要な連絡を減らす仕組みが欠かせません。
「apseedsポータル」のメッセージ機能を活用すれば、社内外の連絡を一元管理できるため、プライベートアカウントを使わず安全に業務連絡が行えます。また、一斉送信や未読・既読管理機能によって連絡状況を可視化できれば、無意識の時間外連絡も防ぎやすくなります。
さらに、閲覧制限を設けることができる問合せ受付機能を利用すれば、相談窓口やホットラインとしても利用できるため、派遣スタッフも安心して連絡できる環境を整えることが可能です。
つながらない権利の実現に向けて連絡ツールを活用したいと考えている方は、ぜひ「apseedsポータル」の導入をご検討ください。
サービスページ:apseedsポータル付加サービス|apseeds(エーピーシーズ)
まとめ
つながらない権利とは、勤務時間外の業務連絡から労働者を解放し、心身の健康やワークライフバランスの向上につなげるための考え方です。日本ではまだ法的な定義がないものの、働く人の多くが勤務時間外の連絡にストレスを感じているという調査結果もあります。
人材派遣会社としてつながらない権利を実現するには、社内ルールの整備や企業文化づくり、連絡ツールの活用といった具体的な体制構築が不可欠です。本記事で紹介したポイントを実践しながら、社員と派遣スタッフの双方が安心して働ける職場環境の実現を目指しましょう。
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