従業員の金銭的な悩みを解消してくれる福利厚生に「給与前払いサービス」があります。導入している企業も多くなり、うちもそろそろ……と検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。でもいざ導入しようと思っても、一体どういったサービスがあって、どのような特徴があるのか、はじめはわかりませんよね。

そこで今回は、導入前に知っておきたいポイント、給与前払いサービスの中から「直接払い型」「立替型」の代表的な6サービスをご紹介します。

導入前に知っておきたいポイント

給与前払いサービスに関連する法律について

給与前払いサービスは従業員に支払う給与に関わる福利厚生ですので、関連する法律として労働基準法についてもしっかり把握しておく必要があります。

労働基準法では「給与」という言葉ではなく、従業員(労働者)側からみた「賃金」という言葉が使用されており、労働基準法の11条では “ 賃金 = 使用者が労働者に支払うもの ” とされています。

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

引用元:【総務省】電子政府の総合窓口 e-gov 労働基準法 第十一条

賃金の「支払い」に関連する部分も確認しておきましょう。

(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならない

引用元:【厚生労働省】賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい

この(1)~(5)を賃金支払いの5原則といいます。「一文だけ読んでもよくわからない…」という方は、以下の記事でも詳細を解説していますのでぜひ参照してみてください。

給与前払いサービスの費用・手数料について

給与前払いサービスの導入を検討する際に気になるのが、導入や運用にかかるコストだと思います。企業には初期導入費用・月額費用がかかりますし、従業員にはサービス利用の手数料のほか、銀行の振込手数料やシステム利用料がかかる場合もあります。

どうしても企業負担に目が行きがちにはなってしまうと思いますが、目先の負担だけではなく、従業員の負担がどの程度になるのか、従業員が使いやすい制度にできそうか、というところまで考えておくことも重要となります。

▽従業員がサービスを利用した際にかかる手数料について、詳しくはこちら
給与前払いサービスの手数料は誰の負担?手数料の仕組みについて徹底解説

社内の運用負担について

あまり調べずに導入してしまうと、給与前払いサービスの運用に想定外の人的コストがかかってしまう場合もあります。運用に必要な従業員データ・勤怠データの連携や、利用を希望する従業員からの問い合わせ対応など、サービス提供会社によって自社内で対応しなければならない範囲が異なるため、しっかり確認した上で導入することをおすすめします。

▽あわせて確認したい「よくある誤解」についてはこちら
給与前払いの導入は『面倒』?よくある誤解と必要な準備について

チェックしておきたい大手6サービスを比較

※本記事の記載内容は、サービス提供会社のホームページと当社の独自調査に基づくものです。

A.「直接払い型」の給与前払いサービス

1.「前給」きらぼし銀行

出典:https://www.kiraboshibank.co.jp/hojin/fukurikousei/maekyuu/

「前給」は、きらぼし銀行が提供する給与前払いサービスです。
これまでの契約社数は800社以上、登録者数は105万人と多くの実績を持ち、特に大手ファミリーレストランなど飲食チェーンの導入実績に強みを持ちます。導入企業の従業員は携帯電話やPCから申込ができ、最短で翌営業日の受取りが可能です。

料金プラン

初期導入費用:無料
月額費用、サービス手数料、振込手数料:要問合せ

ユーザー(従業員)サポート

導入企業にて対応が必要

専用口座開設の要否

「きらぼし銀行」での専用口座の開設が必要(※所定の審査あり)

導入にあたっての与信審査

なし

サービス名:前給
提供会社:きらぼし銀行
URL:https://www.kiraboshibank.co.jp/hojin/fukurikousei/maekyuu/

2.「即給 byGMO」GMOペイメントゲートウェイ株式会社

出典:https://www.gmo-pg.com/service/sokkyu/

「即給 byGMO」は、国内のキャッシュレスシーンを牽引するGMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供する給与前払いサービスです。2007年のサービス開始以降、これまでに1,000社以上の企業に導入されています。
提供プランは、「直接払い(デポジット)型」と、「立替型」の両方を用意しており、従業員は申請から24時間365日リアルタイムでの受取りが可能です。

料金プラン

初期導入費用:無料
月額費用:要問合せ
サービス手数料、振込手数料:要問合せ

ユーザー(従業員)サポート

導入企業にて対応が必要

専用口座開設の要否

デポジット型の場合、所定の金融機関での貴社口座の開設が必要(※所定の審査あり)
立替型の場合、口座開設は不要

導入にあたっての与信審査

あり

サービス名:即給 byGMO
提供会社:GMOペイメントゲートウェイ株式会社
URL:https://www.gmo-pg.com/service/sokkyu/

3.「希望日受取りサービス(フレックスチャージ)」三菱UFJ銀行

出典:https://www.bk.mufg.jp/houjin/it/keihi/kibou/index.html

三菱UFJ銀行が提供する「希望日受取りサービス(フレックスチャージ)」は、従業員ごとに設定された限度額の範囲内で必要な金額を希望日に、指定口座への振込により受け取れるサービスで、従業員への「給料日前の仮払い」に関するお悩みを解決します。大手銀行の提供するサービスということで導入にあたっての安心感もあります。

料金プラン

初期導入費用、月額費用、サービス手数料、振込手数料:要問合せ

ユーザー(従業員)サポート

導入企業にて対応が必要

専用口座開設の要否

「三菱UFJ銀行」での専用口座の開設が必要(※所定の審査あり)

導入にあたっての与信審査

なし

サービス名:希望日受取りサービス(フレックスチャージ)
提供会社:三菱UFJ銀行
URL:https://www.bk.mufg.jp/houjin/it/keihi/kibou/index.html

4.「速払いサービス」株式会社エーピーシーズ(マイナビグループ) 

出典:https://www.apseeds.co.jp/sokubarai/

「速払いサービス」は、マイナビグループの株式会社エーピーシーズが運営する給与前払い福利厚生サービスです。
大手3銀行をはじめPayPay銀行など複数の提携銀行での送金プランを選べ、24時間365日受け取れるモアタイムシステムにも対応していることで、従業員は申込から最短で当日中の受取りが可能です。
24時間対応可能なチャットサポートを含めたユーザーサポートはもちろん、業務委託形式で運営企業の前払いに関わる業務をまるごとお任せでき、インターネット調査で3年連続3部門のNo.1を獲得しています。

料金プラン

初期導入費用:50,000円
月額費用:5,000円
サービス手数料:要問合せ(導入企業の銀行口座による)

ユーザー(従業員)サポート

サポートセンターでの対応あり(メール・チャットで24時間受付)
※ユーザーサポートだけでなく、業務委託サービスとして導入企業側の運用業務を丸ごと任せられます。

専用口座開設の要否

選択プランにより異なる
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、PayPay銀行など、複数プランから選択可能

導入にあたっての与信審査

なし

サービス名:速払いサービス
提供会社:株式会社エーピーシーズ(マイナビグループ)
URL:https://www.apseeds.co.jp/

B.「立替型」の給与前払いサービス

5.「アドバンストペイ セゾン」株式会社クレディセゾン

出典:https://www.saisoncard.co.jp/adpay/

クレディセゾンが提供する「アドバンストペイ セゾン」は、従業員への振込資金をクレディセゾンが立て替える立替型の給与前払い受取りサービスです。
必要な資金はいったんクレディセゾンが立て替え、給与支給日に清算するため、導入企業のキャッシュフローを圧迫しません。従業員が受取口座をセブン銀行かゆうちょ銀行に指定する場合は、24時間365日、申請後すぐに受取ることができます。従業員からの問い合わせ用のコールセンターも完備しています。

料金プラン

初期導入費用、月額費用:無料
サービス手数料、振込手数料:利用状況に応じた従量制(詳細は要問合せ)

ユーザー(従業員)サポート

コールセンターでの対応あり

専用口座開設の要否

不要

導入にあたっての与信審査

あり

サービス名:アドバンストペイ セゾン
提供会社:株式会社クレディセゾン
URL:https://www.saisoncard.co.jp/adpay/

6.「前払いできるくん」株式会社Payment Technology

出典:https://pay-tech.co.jp/

「前払いできるくん」は、株式会社Payment Technologyが提供する立替型の給与前払いサービスです。
企業の導入費用・月額費用は完全無料で、前払い資金はPayment Technologyが立て替えをおこないます。また、別プランの「前払いできるくんLITE」では、業界初のクレジットカード決済を採用し、無審査かつ即日導入を実現。従業員1名からの導入も可能で、導入企業数は700社以上となっています。

料金プラン

初期導入費用、月額費用:無料
サービス手数料:前払い申請額の6%
振込手数料:210円

ユーザー(従業員)サポート

サポートデスクでの対応あり

専用口座開設の要否

不要

導入にあたっての与信審査

あり
※別途提供条件あり(設立2期以上)
※ただし、「前払いできるくんLITE」のクレジットカードプランは与信審査不要

サービス名:前払いできるくん
提供会社:株式会社Payment Technology
URL:https://pay-tech.co.jp/

まとめ

いかがでしたか?今回は、給与前払いサービスの導入前に知っておきたいポイントとともに、代表的な6サービスの比較をご紹介しました。

外部サービスをうまく利用すれば、自社内に大きな負担をかけずに給与前払いを導入・運用することができます。企業と従業員、双方の利便性や負担なども考慮しながら、自社にあったサービスを探してみてください。

https://www.apseeds.co.jp/service/sokubarai/