ユニット派遣という言葉を聞いたことがあるものの、「具体的にどういったサービスなのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事ではユニット派遣の概要を踏まえつつ、メリット・デメリットや導入におけるポイントなどを解説します。
最後にユニット派遣サービスを提供する企業も紹介しているため、ぜひご確認ください。
ユニット派遣の概要
まずはユニット派遣の内容や注目されている背景、BPOとの違いについて解説します。
ユニット派遣とは
ユニット派遣とは、リーダーとなる派遣スタッフ(以下、リーダースタッフ)の下に複数名の派遣スタッフ(以下、メンバースタッフ)が付いた、ユニット体制で派遣するサービスのことです。
通常の派遣サービスの場合は、派遣先企業の担当者が就業している派遣スタッフ全員に対して指揮命令や管理を行います。
対してユニット派遣の場合は、リーダースタッフに対して指揮命令を行い、リーダースタッフがメンバースタッフに対して業務指示などを実施します。
ユニット派遣が注目されている背景
ユニット派遣サービスが注目されている背景としては、以下の2点が挙げられます。
背景①:人材雇用のリスク上昇
市場が急速に変化する現代においては事業の盛衰を予測しづらく、万が一事業が傾いたとしても簡単に解雇できない正社員を雇用するのはリスクです。
しかしユニット派遣では業務ニーズに合わせて多数の人材を確保できるため、雇用リスクを抑えた人材活用の方法として注目されています。
背景②:タスクやプロジェクト単位での人材活用の浸透
今や終身雇用の時代は終わり、「タスクやプロジェクト単位で必要な人材を集めるタスク型雇用」といった雇用の在り方も登場しました。
一般的なタスク型雇用では有期契約かつ直接雇用が中心ですが、ユニット派遣では直接雇用のリスクを背負うことなくタスク型雇用のように人材を活用できるため、多くの企業がユニット派遣に注目していると言えます。
ユニット派遣とBPO・業務委託の違い
ユニット派遣はBPO・業務委託と混同されがちですが、契約形態や指揮命令系統が異なるという点は理解しておきましょう。
ユニット派遣で締結する契約は労働者派遣契約であり、雇用契約自体は派遣元企業が締結し、対象スタッフへの指揮命令は派遣先企業側が行います。
対してBPOや業務委託は請負契約、もしくは準委任契約を締結します。
指揮命令権はBPO・業務委託サービスを提供する企業側が有するため、委託を依頼した企業は業務指示などをすることはできません。
ユニット派遣のメリット
続いてユニット派遣を活用するメリットについてご紹介します。
メリット①:管理や育成工数の削減
一つ目に紹介するのは、管理や育成工数が削減できるという点です。
ユニット派遣では、リーダースタッフがメンバースタッフの業務指示や管理、業務に必要な教育などを行うことになるため、通常の派遣サービスに比べて管理・育成の工数を削減できます。
特に多数の派遣スタッフを雇用している場合は、ユニット派遣に切り替えることで大きな工数削減が見込まれるでしょう。
メリット②:通常の派遣よりも広い単位で業務を任せられる
続いて挙げられるメリットは、通常の派遣サービスよりも広い単位で業務を任せられるという点です。
通常の派遣では各派遣スタッフに対して、それぞれ決まった範囲の業務を任せ、一人ひとりに対して細かな業務指示を行う必要があります。
対してユニット派遣では、一人ひとりに業務指示を行うことなく、より広い単位・複数の業務をまとめて任せることができるでしょう。
メリット③:派遣スタッフの定着率の向上
派遣スタッフの定着率が向上する点も見逃せません。
通常の派遣サービスでは、派遣先担当者との人間関係に起因して離職してしまうケースも多く見られます。
しかしユニット派遣では、ユニットという閉じた環境の中で業務を遂行するため、派遣先担当者とのコミュニケーションも少なくなり、メンバースタッフの精神的な負荷は軽減されます。
またリーダースタッフや他メンバースタッフによるフォローもあるため、通常の派遣よりも定着しやすいと言えるでしょう。
ユニット派遣のデメリット
ユニット派遣のデメリットについてもご紹介します。
デメリット①:リーダーのコストが比較的高くなる
デメリットとしてまず挙げられるのは、リーダースタッフのコストです。
ユニットをまとめるリーダースタッフの派遣料金は、管理や業務指示などを行う分、一般的な派遣スタッフのコストよりも高く設定されることが多くなります。
そのためユニットと同じ人数を通常の派遣サービスで確保した場合よりも、コストが高くなりやすいと言えるでしょう。
デメリット②:業務遂行状況を把握しづらい
続いて挙げられるデメリットは、業務遂行状況を把握しづらいという点です。
ユニット派遣では業務がユニット内である程度完結する上、コミュニケーションの対象がリーダースタッフに限定されることが多くなります。
そのため自社担当者が直接管理・監督する通常の派遣よりも、業務の遂行状況が把握しにくくなる点は注意しましょう。
デメリット③:サービス品質はリーダーに大きく左右される
サービス品質がリーダーに大きく左右される点もデメリットと言えます。
ユニット派遣では、メンバースタッフに対する業務指示や進捗管理はリーダースタッフが主となって行うことになります。
そのためリーダースタッフのプロジェクトマネジメントスキルや、業務に関する専門性・スキルの程度によって、業務品質が大きく変わるという点は留意しておくべきです。
ユニット派遣サービスを選ぶ際のポイント
次にユニット派遣サービスの提供会社を選ぶ際のポイントとして、以下の3点をご紹介します。
ポイント①:採用力と提案までのスピード
ポイントとしてまず挙げられるのは、採用力と提案までのスピードです。
ユニット派遣は通常の派遣とは異なり、複数名からなるユニットとして派遣するサービスとなるため、それだけの人材を確保できる採用力の高さが求められます。
また提案までのスピード感も重要なポイントになるでしょう。
そのためサービスを選ぶ際は、どういった採用活動をしているのかは勿論、提案スピードにも大きく関わってくる登録スタッフ数などを確認することをおすすめします。
ポイント②:ユニット派遣の実績
続いてのポイントは、ユニット派遣の実績です。
これまでのユニット派遣の実績や事例を確認し、自社と同じような職種や業務範囲で対応した経験があるのかを確認しましょう。
また職種や業務が同じでも、業界が異なれば業務進行の流れなどに違いが生じる可能性もあるため、同一業界での実績の有無も確認しておけば安心と言えます。
ポイント③:営業担当者との相性
営業担当者との相性も選定における重要なポイントになります。
営業担当者との相性が悪ければコミュニケーションの精度が低くなり、派遣スタッフの悩みごとや要望といった重要な情報を聞き出せない可能性が生じます。
正確な相性は派遣契約が開始してからしか把握できませんが、事前に「どういった形や頻度でフォローしてくれるのか」といった点を確認しておくことで、ある程度の相性を測ることが可能です。
ユニット派遣導入におけるポイント
ここからはユニット派遣の導入のポイントとして、以下3点をご紹介します。
ポイント①:リーダーを見極める
ユニット派遣におけるサービス品質はリーダースタッフに大きく左右されます。
そのためユニット派遣を導入する際は、リーダースタッフをしっかりと見極めなければなりません。
派遣元企業から送られてくるスキルシートを細部まで読み込み、業務経験やスキルの詳細について知りたい場合は、派遣元企業を通じて質問するとよいでしょう。
ただし年齢や居住地といった個人情報や業務経験には関係ない情報を確認することは、派遣において禁止されている面接行為に該当するため、辞めておきましょう。
ポイント②:リーダーとのコミュニケーションを密に図る
続いて挙げられるポイントは、リーダースタッフとのコミュニケーションを密に図るという点です。
ユニット派遣を導入すると、リーダースタッフにメンバースタッフへの業務指示などを任せることができるため、どうしても放任しがちになります。
しかし放任してしまえば業務状況も確認できず、期待する業務品質に達していない可能性も出てくるでしょう。
そのためリーダースタッフに対しては各種要望やフィードバックなど、定期的なコミュニケーションを図り、ユニットにおける業務状況を確認していくことが求められます。
ポイント③:派遣元企業の営業担当と良好な関係を築く
ポイントの最後にご紹介するのは、派遣元企業の営業担当者と良好な関係を構築するという点です。
派遣元企業の営業担当と良好な関係を築くことで、リーダースタッフに対して直接言いづらい事なども、営業担当を通じて伝えてもらうことができます。
また派遣スタッフが抱えている悩みなどを上手く聞き出し、派遣先担当者に共有するといった対応もしてくれるでしょう。
派遣スタッフの退職防止にも繋げられるため、派遣元企業の営業担当者と良好な関係を築く努力を忘れないようにしてください。
ユニット派遣サービスを提供している企業
最後にユニット派遣サービスを提供している企業を3社ご紹介します。
ランスタッド
はじめにご紹介するのはランスタッド株式会社です。
引用:ランスタッド株式会社
ランスタッドは1960年にオランダで創設された世界最大級の総合人材サービス会社です。
ユニット派遣サービスを含めた派遣事業や人材紹介事業、その他アウトソーシングサービスなどを提供しており、日本全国に97拠点を構えています。
ランスタッドのユニット派遣の最大の特徴は、リーダースタッフの業務範囲をカスタマイズできる点です。
基本プランでは業務指導や日々の報告などが含まれており、オプションを加えることで入社時の受け入れやスタッフフォロー、業務改善提案などまで対応してもらうことができます。
パソナ
次にご紹介するのは株式会社パソナです。
引用:株式会社パソナ
パソナは1976年に創業した国内大手の総合人材サービス会社であり、日本全国に66拠点を構えて派遣や人材紹介などの事業を展開しています。
パソナではユニット派遣をチーム派遣として提供しており、3名などの小規模プロジェクトから100名規模の大型プロジェクトまで、幅広いチーム派遣実績があります。
チーム派遣からBPO・業務委託への切り替えなどもできるため、状況に応じて柔軟な人材活用ができるでしょう。
綜合キャリアオプション
最後にご紹介するのは株式会社綜合キャリアオプションです。
綜合キャリアオプションは2001年に創業した総合人材サービス会社です。
人材サービス会社の中では比較的若い部類に入る企業ですが、着実に事業を発展させ、2023年3月時点で日本全国に169拠点(グループも併せて)を展開しています。
綜合キャリアオプションのユニット派遣サービスは、コールセンターの新規立ち上げや倉庫内のライン作業などが実績として挙げられています。
リーダー枠には綜合キャリアオプションのマネージャーやSV(スーパーバイザー)が参画するケースもあり、より安定した業務推進が期待できるでしょう。
まとめ
今回はユニット派遣について、サービス概要からメリット・デメリットなどをまとめてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
ユニット派遣は通常の派遣サービスよりも管理工数がかからず、現場社員の負担軽減にも繋がります。派遣スタッフの定着率も高い傾向にあるため、より安定した人材活用が可能と言えるでしょう。
ぜひこの記事を参考に、ユニット派遣のご利用を検討してみてください。