日本で働く外国人労働者数は年々増加しています。少子高齢化が加速するなか、人手不足を補うために外国人採用を検討している企業も多いのではないでしょうか。しかし、外国人採用には、効果的な求人の出し方や広告媒体の選定など、適切な採用プロセスの構築が不可欠です。
本記事では、外国人採用のための求人の出し方を解説します。具体的な採用ステップや求人票の書き方もまとめているので、外国人人材の活用を考えている方はご一読ください。。
外国人採用のための求人の出し方

外国人採用のための求人を出す際は、以下のステップで採用プロセスを構築する必要があります。
- 採用計画を立てる
- 広告媒体を決める
- 求人票を書く
- 求人を出す
- 選考を実施する
外国人採用における求人の出し方は、基本的に日本人採用の流れと同じです。しかし、在留資格に関する手続きを必要としたり、求職者に伝わりやすい求人票を作成したりするなど、各ステップにおいて注意すべき点があります。
まずは外国人採用の目的や求める人物像を明確にし、採用計画を立てましょう。広告媒体選びや求人票の作成など、ポイントを押さえて各ステップを順番に進めることで、外国人採用をスムーズに進められます。
外国人採用の求人を出せる広告媒体と費用

外国人採用の求人を出す際は、どの広告媒体を選ぶかによって期待できる効果が異なります。そのため、自社の予算やターゲット層を考慮して、適切な広告媒体を選ぶことが大切です。
外国人採用の求人を出せる主な広告媒体は、以下の通りです。
種類 | 特徴 | 費用目安 |
---|---|---|
求人情報サイト | 幅広い外国人人材にアプローチしやすい | 10万〜100万円 |
ハローワーク | 公的サービスのため、求職者が安心して利用しやすい | 0円 |
自社のWebサイト | アピールの自由度が高い | 0〜数百万円 |
留学生向け合同企業説明会 | 一度に多くの外国人人材と接点を持てる | 0〜50万円 |
自社の公式SNSアカウント | 求職者と双方向のコミュニケーションを取れる | 0〜数十万円 |
大学・専門学校への求人掲載 | ターゲットを絞って求人を出せる | 無料 |
外国人向け情報紙・フリーペーパー | 国や地域を絞って周知を図れる | 2〜10万円 |
人材紹介会社 | 効率良く外国人人材を進めやすい | 10万〜100万円(新卒) 年収の30〜40%(中途) |
以下で、それぞれ詳しく解説するので、自社に適した広告媒体を見つけるための参考にしてください。
求人情報サイト
外国人採用のための広告媒体として、外国人人材向けの求人情報サイトがあります。求人情報サイトの利用には10万〜100万円ほどの費用がかかりますが、ユーザー数が多い求人情報サイトを活用できれば、高い費用対効果が期待できます。
また、募集地域や職種ごとに特化したサイトや、日本人向けの求人情報サイトに外国人採用の求人を出すことも可能です。
ハローワーク
ハローワークを利用すると、採用コストを抑えつつ効果的に求人情報を公開できます。
ハローワークとは、厚生労働省が管轄する公共職業安定所のことです。無料の求人掲載サービスを提供しているほか、東京・名古屋・大阪・福岡には外国人雇用サービスセンターがあり、企業と求職者の双方が安心して利用できる環境が整っています。
自社のWebサイト
外国人採用のために、新たな採用サイトを作成したり、自社のWebサイトに求人情報を掲載したりする方法もあります。自社のWebサイトを活用するメリットは、アピール方法の自由度が高く、採用ブランディングに適している点です。
新たに採用サイトを作成する場合は、数十万〜数百万円の制作費がかかりますが、既存のWebサイトに求人情報を掲載するだけであれば追加のコストはかかりません。求職者の反応を見ながら繰り返し施策を見直せるため、求人情報の最適化にもつながります。
留学生向け合同企業説明会
外国人採用のためには、留学生向けの合同企業説明会への参加も効果的です。留学生向けの合同企業説明会に参加することで、一度に多くの外国人人材と接点を持てるメリットがあります。
イベントによって異なりますが、合同企業説明会に参加するためには数万円〜50万円かかるケースが一般的です。なかには、自治体主催の合同企業説明会があるほか、独自の補助金制度を設けている自治体もあります。
自社の公式SNSアカウント
自社の公式SNSアカウントも、外国人採用で活用できる広告媒体の一つです。
FacebookやInstagramなどのSNSを通じて求人を出し、国内の外国人人材に広くアプローチできる方法です。求職者が気になる企業の投稿にコメントしたり、メッセージで直接問い合わせたりして、双方向のコミュニケーションを図れる特徴があります。
また、自社でアカウントを運用する場合には、コストをかけずに認知拡大を図れるメリットもあります。必要に応じてSNS運用代行会社に依頼すると、より効果的な活用につながるでしょう。
大学・専門学校への求人掲載
新卒の外国人人材を採用するためには、大学や専門学校、日本語学校と連携して求人情報を掲載すると効果的です。大学や専門学校への求人掲載は、求職者の専門性を事前に把握したうえで、ターゲットを絞って求人を出せる特徴があります。また、長期的な連携体制を構築できると、安定した人材確保にもつながるでしょう。
なお、求人情報は基本的に無料で掲載してもらえますが、申込方法は各教育機関によって異なります。まずは大学や専門学校の公式Webサイトを確認し、必要に応じて求人の出し方や費用について問い合わせてみてください。
外国人向け情報紙・フリーペーパー
外国人採用のための広告媒体として、外国人が利用する駅や飲食店に置かれている情報紙やフリーペーパーなども挙げられます。エリアや読者層を加味して求人を出せるほか、特定の言語の情報紙やフリーペーパーなら、国や地域を絞って周知を図れる点が特徴です。
情報紙やフリーペーパーの場合、数万円程度の掲載料で済むため、比較的コストを抑えて求人を出せます。自社のニーズに合った媒体があれば、ターゲットを絞って効果的なアプローチが可能です。
人材紹介会社
外国人採用にあたっては、人材紹介会社の利用も方法の一つです。人材紹介会社への依頼はコストがかかる一方で、採用活動に必要な社内の工数を減らし、効率良く外国人人材を確保できるメリットがあります。
また、人材紹介会社であれば、候補者スクリーニングや面接日の調整なども任せることが可能です。人材紹介会社を通した採用活動は、即戦力となる外国人人材を確保しやすく、長期的な視点で高い費用対効果が期待できる方法だといえます。
外国人採用の求人票の書き方

外国人人材向けにわかりやすい求人票を書くためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 英語を使用する
- 具体的な募集要項を書く
- 求める日本語のレベルを記載する
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
英語を使用する
外国人人材向けの求人票は、読み手を意識して英語で作成すると効果的です。なかには、日本語が堪能な外国人人材もいますが、日本語の読み書き能力には差があることが一般的です。
また、日本語を使用・併記する場合は、難しい漢字や文章表現を避けて外国人求職者にわかりやすい言葉を使いましょう。応募者の理解度が高まると、より多くの外国人人材への認知を図れるほか、顕在層への効果的なアプローチにつながります。
具体的な募集要項を書く
外国人人材向けの求人票には、日本人採用の場合と同様に、以下の詳細を明記することが大切です。
- 募集する職種
- 業務内容
- 求めるスキル
- 給与
- 勤務地
- 勤務時間 など
曖昧な募集要項は、外国人求職者に不安を与えるだけではなく、入社後のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。求人票に詳細を明記することで、求職者の志望度を引き上げるだけではなく、入社後のミスマッチも防げます。
求める日本語のレベルを記載する
求人票には、外国人求職者に対して求める日本語レベルを明確に記載しましょう。日本語レベルの目安として、日本語能力試験(JLPT)をはじめとする認定や資格などを明記すると、語学力の客観的な判断に役立ちます。
「日常会話レベル」や「ビジネスレベル」といった表現を使う場合、企業と応募者の間で認識のズレが生じるケースも少なくありません。求める日本語のレベルを具体的に明記することで、ターゲット層の人材に出会える可能性が高まります。
日本の外国人労働者数は約230万人
日本の外国人労働者数は年々増加しており、厚生労働省が公表している調査データによると、2024年には約230万人を超えました。製造業やサービス業をはじめ、人材不足が深刻な産業で多くの外国人人材が活躍している現状です。

引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)|厚生労働省
また、国籍別の外国人労働者の割合を見ると、ベトナムが24.8%で最も多く、中国が17.8%、フィリピンが10.7%で全体の半数以上を占めています。

引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)|厚生労働省
過去の外国人労働者数の推移を見ると、今後も日本で働く外国人の数は増えていくと予測できます。外国人人材を効果的に活用していくためには、今後の動向を見据えたうえで、採用戦略を立てることが重要です。
外国人採用における注意点
外国人採用においては、いくつかの注意すべき点があります。以下をはじめとする注意点は、外国人人材特有のものがほとんどです。事前に対応のポイントを押さえておくと、よりスムーズに外国人採用を進められます。
注意点・リスク | 対応のポイント |
---|---|
在留資格の申請・変更 | 入社時期が遅れないよう、事前に必要な手続きについて理解を深めておく信頼できる人材紹介会社や行政書士にサポートを依頼する |
労働環境の整備 | 職場の習慣やルールを周知するためのオリエンテーションを実施する日本語教育の機会を用意する |
労務管理の複雑化 | 事前に行政への報告義務について把握しておく社員の法的理解を深めるための研修を実施する |
離職リスク | 適正な待遇と労働環境を整備するキャリアパスを明示する |
特に、在留資格に関連する手続きや労務管理については、専門家にサポートを依頼することでトラブルの回避につながります。
まとめ
外国人採用は、企業にとって人手不足の解消につながる方法の一つです。
しかし、通常の採用活動と同じ方法で外国人採用を進めても、うまくいかない可能性があります。特に、過去に外国人採用の経験がない企業は、求人の出し方や広告媒体の選定など、ポイントを押さえて採用活動を進めることが大切です。
本記事では、外国人採用の求人の出し方について詳しく解説しました。外国人採用における特有の注意点を考慮しながら、自社に適した広告媒体を選定し、効果的な外国人採用を実現しましょう。
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