アルムナイという言葉を聞いたことがあるものの、具体的にどういったものなのか知らない。
本記事は上記のような方に向けてアルムナイ採用の概要やメリット、取り組みにおけるポイントなどを簡単に解説します。
最後にアルムナイ採用の成功事例もご紹介しているため、ぜひ最後までご確認ください。
アルムナイ採用とは
はじめにアルムナイ採用の概要や類似制度との違い、注目されている背景についてご紹介します。
アルムナイ採用の概要
アルムナイ採用とは、過去自社に在籍していた従業員を採用する手法のことを指します。
アルムナイは元々「卒業生」などを表す言葉であり、そこから転じて企業の退職者採用を意味する言葉として使われるようになりました。
日本においては、従来自社を退職した人材を積極的に採用するといった取り組みには消極的でしたが、時代の変化や人材不足といった背景もあり、アルムナイ採用に取り組む企業も増えてきたと言えるでしょう。
アルムナイ採用とその他の制度の違い
ここでアルムナイ採用とその他の採用制度との違いについて確認します。
アルムナイ採用と再雇用制度の違い
再雇用制度とは、主に定年退職を迎えた人材を再度雇用する制度です。
アルムナイ採用では、定年退職ではなくキャリアの途中で退職した人材が主な採用対象となります。
アルムナイ採用とリファラル採用の違い
リファラル採用とは、雇用している従業員に自社への就職を希望する知人や友人を紹介してもらう制度です。
そもそも自社に在籍したことのない人材を採用の対象とするため、アルムナイ採用と根本的に異なる手法と言えます。
アルムナイ採用とジョブリターンの違い
ジョブリターンとは、育児や介護といった家庭の事情によって仕方なく退職した元従業員を再雇用する制度です。
元々在籍していた従業員を雇用するという点においてはアルムナイ採用と同様ですが、ジョブリターンは再雇用する従業員の退職理由が限定的になっています。
アルムナイ採用が注目されている背景
アルムナイ採用が注目されている背景としては以下の二点が挙げられます。
終身雇用制度が機能しなくなった
戦後から高度経済成長期にかけての日本では、終身雇用制度が機能しており、新卒入社した企業に定年まで勤めあげることが当たり前とされていました。
しかし現在は価値観の多様化や市場変化によって、終身雇用制度は機能しなくなり、転職も当たり前となっています。
自社から他社に移籍し、その後再び自社に戻りたいと考える人材も増えてきたことから、アルムナイ採用が一般化してきたと言えるでしょう。
生産年齢人口の減少による採用難易度の高まり
日本では1995年を境に生産年齢人口が減少し続けており、様々な企業で人手不足が課題となっています。
採用母数が減少している状況下においては、新しい人材を獲得する難易度は高くなるため、過去に在籍していた従業員も採用母数として捉え、採用に取り組む企業も出てきました。
アルムナイ採用に取り組むメリット
続いてアルムナイ採用に取り組むメリットをご紹介します。
メリット①:採用確率の向上
一つ目に挙げられるメリットは、採用確率の向上です。
先ほど述べたように生産年齢人口が減少し続けている状況では、新規人材を採用する難易度は高まり、費用をかけても採用できないといった事態に陥りかねません。
その点アルムナイ採用では過去に在籍していた従業員を対象にアプローチしていくため、新規人材にアプローチするよりも、採用できる確率が高くなると言えるでしょう。
メリット②:採用コストの削減
採用コスト削減もメリットの一つとして挙げられるでしょう。
アルムナイ採用制度においては、既に保有している退職者とのコネクションを利用して採用活動を行います。
そのため求人媒体や人材紹介会社などを活用した採用と比較して、採用コストを削減しやすいという特徴があります。
メリット③:ミスマッチの防止
次に挙げられるのはミスマッチの防止です。
アルムナイ採用では、既に自社で一度働いたことがある人材にアプローチするため、お互いのことを理解した状態で採用できます。
そのため新規人材を採用するケースと比較して、ミスマッチを最小化でき、早期離職などのリスクも低減できるでしょう。
メリット④:即戦力としての活躍が見込まれる
続いて挙げられるのは、即戦力としての活躍が見込まれるという点です。
元々自社で働いていた人材であるため、育成などに工数をかけることなく、即戦力としての活躍が期待できます。
もちろん採用ポジションや退職理由などにもよりますが、新規人材と比較して、短期間で採用コストに見合った成果を挙げてくれる可能性も高いでしょう。
メリット⑤:新しいスキルや知識の獲得
メリットの最後にご紹介するのは新しいスキルや知識の獲得です。
アルムナイ採用に取り組むことで、別企業が保有しているスキルや知識を、採用した人材を通じて獲得できます。
自社内で育成や教育のコストを追加投入することなく、新たなスキルなどを獲得できる点は、アルムナイ採用の大きなメリットと言えるでしょう。
アルムナイ採用を活用するデメリット
メリットを確認いただいたところで、デメリットについても押さえておきましょう。
デメリット①:条件調整が必要
デメリットとしてまず挙げられるのは、条件調整が必要であるという点です。
過去に在籍していた際の雇用条件と、別企業での雇用条件は基本的に異なり、年収なども上がっているケースが多くなります。
そのため前職での条件は勿論、在職時の条件も考慮した調整を行う必要がある点は留意しておきましょう。
デメリット②:募集職種にフィットするとは限らない
次に挙げられるデメリットは、募集職種にフィットするとは限らないという点です。
アルムナイ採用に取り組んだとしても、現在募集している職種にマッチするとは限りません。
その場合、新たなポジションを設置してでも採用するのか、あるいは別ポジションで採用するのかといった検討が必要になるケースもあります。
デメリット③:既存従業員のモチベーション低下
既存の従業員のモチベーションが低下する可能性がある点も留意しましょう。
アルムナイ採用で雇用した人材の処遇やポジションによっては、既存従業員のモチベーションが大きく低下し、最悪の場合退職に繋がる可能性があります。
そのため既存従業員の条件も考慮した上で、採用に取り組むことが重要になります。
デメリット④:多様性を担保しにくい
デメリットの最後にご紹介するのは、多様性を担保しにくいという点です。
アルムナイ採用には、自社にはないスキルや知識を得られるという利点がありますが、その人材の持つ価値観や考え方自体は根本的に変わりません。
そのためアルムナイ採用に取り組んでも、価値観や考え方といった多様性までは担保できない点は留意してください。
アルムナイ採用制度を構築する際のポイント
ここからはアルムナイ採用の制度を構築する上でのポイントをご紹介します。
ポイント①:社内理解と受け入れ体制の構築
一つ目のポイントは、社内理解と受け入れ体制の構築です。
アルムナイ採用は企業側にとっては利点が多いと言えますが、状況次第で従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。
そのためアルムナイ採用に取り組む場合は、あらかじめ社内に説明し、既存の従業員の理解を得ておかなければなりません。
現場の従業員がアルムナイ採用への取り組みに対して納得することで、はじめてアルムナイ人材の受け入れ体制が構築できるため、しっかりと説明しましょう。
ポイント②:採用基準の明確化
二つ目のポイントは採用基準の明確化です。
過去に在籍していた従業員だからといって、すべて受け入れていてはきりがありません。
そのためアルムナイ採用に取り組む場合は、アルムナイ人材として受け入れる際の基準を明確にしておく必要があります。
採用基準を明確にした上で、アルムナイ採用に関わるメンバー全員で共通認識を持つことで、優秀なアルムナイ人材の確保に繋げることができるでしょう。
ポイント③:従業員エンゲージメント向上に取り組む
続いて挙げられるポイントは、従業員エンゲージメント向上に取り組むという点です。
アルムナイ採用に取り組む場合は、既存の従業員が将来自社を退職し、アルムナイ人材として戻ってくる可能性を考慮する必要があります。
そのため既存の従業員とは日頃から良好な関係性を構築し、エンゲージメント向上に取り組まなければなりません。
ポイント④:アルムナイ人材との連絡手段の確保
アルムナイ人材との連絡手段の確保も重要なポイントになります。
アルムナイ採用の取り組みの成否は、退職者とのネットワークを構築できるかにかかっていると言っても過言ではありません。
あらかじめ継続的に連絡を取れる手段や仕組みを構築し、退職者からの応募を待つだけの受け身のアルムナイ採用ではなく、能動的で効率のよいアルムナイ採用を実現しましょう。
アルムナイ採用の成功事例
最後にアルムナイ採用に取り組んでいる企業の成功事例をご紹介します。
成功事例①:トヨタ自動車株式会社
事例の一つ目にご紹介するのは、トヨタ自動車株式会社によるアルムナイ採用です。
トヨタはアルムナイ採用に積極的に取り組んでおり、アルムナイ採用専用の応募フォームを設けています。
退職者同士の交流や情報提供を行うためのアルムナイコミュニティサイトを運営しており、アルムナイ人材との継続的な接点を維持しながら、効率的な採用に繋げている事例と言えるでしょう。
成功事例②:株式会社みずほフィナンシャルグループ
続いてご紹介するのは、株式会社みずほフィナンシャルグループの事例です。
みずほフィナンシャルグループもアルムナイ採用に取り組んでおり、トヨタと同じくアルムナイ同士のネットワークを構築しています。
アルムナイ採用によって再入社した社員インタビューを掲載することで、採用の流れなどの情報を提供し、アルムナイ人材が再入社を考える際に抱くだろう不安を払しょくしている点も見逃せません。
成功事例③:富士通株式会社
事例の最後にご紹介するのは、富士通株式会社です。
富士通はカムバック採用として、アルムナイ採用専用の応募フォームやコミュニティ運営に取り組んでいます。
Webサイト上で明確に応募資格を示しており、アルムナイ採用における基準を明確にしている点が推察できます。
他にも採用基準が設けられているはずですが、最初の窓口として明確に提示することで、効率的なアルムナイ採用を実現できている好事例と言えるでしょう。
まとめ
今回はアルムナイ採用をテーマに、概要やメリット、取り組みにおけるポイントなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
アルムナイ採用は人材不足が慢性化している状況において、有効な採用手法となります。
正社員だけでなく、アルバイトやパート社員といったように、雇用形態に関わらず幅広い人材採用に活用できる手法であるため、ぜひこの記事を参考に取り組んでみてください。
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