• 採用KPIとは何か?
  • 採用KPIの具体的な例は?
  • 採用KPIの設定方法は?

この記事は上記のような疑問を抱かれている方に向けて、採用KPIの概要や具体例を踏まえつつ、設定のメリットや手順をわかりやすく解説します。

採用KPIを設定・運用する際のポイントも併せてご紹介しているため、ぜひ最後までご確認ください。

採用KPIの概要

まずは採用KPIの概要として、そもそものKPIの意味や具体例などについてご紹介します。

採用KPIとは

KPI(Key Performance Indicator)とは重要業績評価指標と訳され、最終的な目標に対する進捗度を把握するための指標を指します。

元は営業やマーケティング領域において活用される指標でしたが、昨今採用マーケティングなどの手法の登場に伴い、採用領域においてもKPIという考え方が取り入れられました。

採用KPIは応募者数や書類選考数といった、定量的な数値として把握できる指標を設定します。

採用KGIとの関係性

KPIは最終的な目標値に対する進捗度を把握するための指標と述べましたが、この最終的な目標値となるものがKGI(Key Goal Indicator)です。

KGIは重要目標達成指標と訳され、採用領域においては採用人数が設定されることが多くなります。

採用人数と併せて期間や時期についても設定されることが多く、たとえば「3か月で4名の新規採用を実現する」などの形で設定されることになるでしょう。

この採用KGIを実現するために、「どれくらい応募が必要なのか」「どれくらい面接を設定する必要があるのか」といった点を具体化したものが採用KPIとなります。

採用KPIの具体例

ここで採用KPIとして設定される主な指標について、いくつか確認しておきましょう。

  • 応募数
  • 書類選考通過数/率
  • 面接設定数
  • 面接実施数/率
  • 内定数/率
  • 内定承諾数/率
  • 内定辞退数/率

上記のように、採用プロセスにおける重要なイベントの実施数などをKPIとして設定することが多くなります。

その他、採用サイトへの流入数や滞在時間といった、前段階の指標も併せて設定するケースもあるでしょう。

採用KPIを設定するメリット

続いて採用KPIを設定するメリットについてご紹介します。

メリット①:採用活動の精度を高められる

一つ目のメリットは採用活動の精度を高められるという点です。

採用KPIを設定することで、採用活動において何をすればいいかが明確になり、KGIに結びつかない無駄な行動を取るリスクを削減できます。

結果として各採用担当者の生産性が高まるとともに、採用活動全体の精度向上が期待できるでしょう。

メリット②:採用活動の進捗状況を把握できる

次に挙げられるメリットは、採用活動の進捗状況を把握できるという点です。

採用KPIがなければ、採用活動の進捗や成果の達成具合を確認できず、どこに課題があるのかも把握できません。

その点採用KPIを設定し、実際の活動成果と比較することで、採用活動の進捗状況を正確に把握したり、関係者で共有したりすることが可能です。

メリット③:問題把握と課題設定を速やかに行える

問題の把握と課題設定を速やかに行える点も大きなメリットと言えます。

採用KPIと実際の成果を比較分析することで、採用活動においてどの部分の進捗が芳しくないかをタイムリーに把握することが可能です。

その問題に対して「どういった改善策を打つべきか」も速やかに検討でき、採用活動におけるPDCAを適切に回していくことができるでしょう。

メリット④:各採用担当者の役割が明確になる

各採用担当者の役割が明確になる点も見逃せません。

採用KPIがない場合、採用に関わる業務を適切に分担できず、各担当者の役割や業務が重複してしまうリスクが生じます。

その点採用KPIを設定し、各担当者にそのKPIを割り振ることで、担当者それぞれの役割を明確にでき、無駄な工数の発生などを防止することが可能です。

採用KPIの設定手順

ここからは採用KPIの設定手順について以下のステップに分けてご紹介します。

ステップ①:採用KGIの設定

採用KPIを設定する上で、まずすべきことは採用KGIの設定です。

先述のとおり採用KPIは採用KGIを達成するための指標であるため、そもそもの目標値が明確になっていなければ設定できません。

またKGIが変われば設定すべきKPIも変わります。

例えば「3か月で5人を採用する」という採用KGIと、「1か月で1人を採用する」という採用KGIでは、取るべきアクションやスケジュール感などは異なり、当然そこに紐づく採用KPIも変わってくると言えるでしょう。

そのため、まずは採用活動における目標を採用KGIとして明確にしましょう。

ステップ②:採用フローと手法の設定

採用KGIが固まった後は、採用フローと手法を設定します。

一般的な採用フローは「求人募集⇒書類選考⇒面接⇒内定⇒入社」という流れを取りますが、企業によっては、インターンや体験入社などを挟むケースもあるでしょう。

いずれにせよ採用KGIを達成する上で、どういった採用フローが必要かを考えることがポイントになります。

また募集段階において人材紹介サービスを活用するのか、それともダイレクトリクルーティングやリファラル採用を活用するのかといったように、どういった採用手法を取るのかも明確にしておきましょう。

ステップ③:採用KPIツリーの設定

採用フローと手法を確定した後は、採用KPIツリーを設定します。

たとえば採用フローにおけるKPIとしては、以下のように設定することになります。

  • 応募数:100件
  • 書類選考通過数:20件
  • 面接設定数:18件
  • 内定数:8件
  • 内定承諾数:6件

また募集段階において複数の採用手法を活用している場合は、以下のように手法ごとにKPIを設ける必要があるでしょう。

  • 人材紹介サービス経由での応募:20件
  • ダイレクトリクルーティング経由での応募:15件
  • リファラル経由での応募:5件
  • 求人媒体からの応募:40件
  • 自社採用ページからの応募:20件

KPIを設定する際は実態とあまりにもかけ離れた数値にならないように、過去の採用活動における歩留まり率(各採用フローを進んだ人の割合)などを参考にすることがポイントです。

採用KPIを設定・運用する際のポイント

最後に採用KPIを設定・運用する際のポイントをご紹介します。

採用KPIを設定する際のポイント

まずは採用KPIを設定する際のポイントから確認しましょう。

ポイント①:「SMARTの法則」を前提に設定する

一つ目のポイントは「SMARTの法則」を前提に採用KPIを設定するという点です。

SMARTとは以下の言葉の頭文字を取ったものです。

  • Specific:具体的な
  • Measurable:測定可能
  • Achievable:達成可能な
  • Relevant:(KGIと)関連した
  • Time-bound:期限を定めた

これらの5つの要素はKPIを設定する際に意識すべきこととして挙げられ、どれか一つでも欠くとKPIとして十分に機能しなくなります。

採用KPIを設定する際は、SMARTが網羅されているかを常に考えて設定しましょう。

ポイント②:各KPIの定義を明確にする

次に挙げられるポイントは各採用KPIの定義を明確にするという点です。

採用KPIを設定しても、その採用KPIに対する認識にバラつきがあれば、採用活動の精度が高まることはありません。

そのため各採用KPIの定義はあらかじめ明確にしておき、採用関係者でしっかりと共有しておくことが重要になるでしょう。

ポイント③:重要なKPIに絞って設定する

重要なKPIに絞って設定するという点もポイントとして挙げられます。

採用KPIになりうる指標は数多くあるものの、全てをKPIとして設定してしまうと、それらの数値を追うこと自体に手間が生じてしまい、採用活動の効果も減じてしまうでしょう。

効果的かつ効率的な採用活動を実現するには、採用KGIを前提に重要な採用KPIだけに絞って設定しなければなりません。

ポイント④:必要に応じてサブKPIを設ける

続いて挙げられるのは、必要に応じてサブKPIを設けるという点です。

採用KGIを達成するために必要な中間指標である採用KPIは、具体的なアクションに直結しなければなりません。

しかしKPIの中には具体的な行動まで落とし込みにくいものも出てきます。

たとえば採用サイトからの応募数をKPIとしていても、そのKPIを達成するためのアクションまではイメージしにくいと言えるでしょう。

そういった場合は、設定した応募数を達成するためのサブKPI(サイト流入数や求職者向けコンテンツ投稿数など)を設け、具体的なアクションがイメージできるレベルまで落とし込む必要があります。

ポイント⑤:各KPIのオーナーを決める

採用KPI設定におけるポイントとして最後に挙げられるのは、各KPIのオーナーを決めるという点です。

採用KPIは採用KGIを目指す上で重要な指標となりますが、各KPIの達成責任の所在が曖昧になれば、採用関係者の達成への意識が低下してしまいます。

そのため採用KPIを設定した際は、各KPI達成におけるオーナーを決めることで、責任の所在を明らかにし、各オーナーに担当KPI達成をコミットしてもらうことが重要になるでしょう。

採用KPIを運用する際のポイント

続いて採用KPIを運用する際のポイントをご紹介します。

ポイント⑥:数値把握と改善を継続する

採用KPIを運用する際は、数値把握と改善を継続することが重要になります。

設定した採用KPIに対する進捗はリアルタイムで確認しながら、進捗具合が芳しくない場合は、アクションや施策を改善するなど、柔軟な対応が求められるでしょう。

採用KPIとの差分を定期的に確認し、そこから課題を導き出した上で、改善まで繋げるといった一連の流れを繰り返すことで、はじめて効果的な採用活動を実現できます。

ポイント⑦:KPI達成が目標にならないように注意する

KPI達成が目標にならないように注意する点もポイントとして挙げられます。

採用KPIの数値にこだわり過ぎると、KPI達成自体が目標にすり替わり、本質を見失う恐れがあります。

そのため、あくまでKGI達成のための採用KPIであるという意識を常に持ち、数値だけに囚われない柔軟な対応が必要である点は押さえておきましょう。

ポイント⑧:実数と大きな差がある場合はKPI自体を見直す

ポイントの最後に挙げられるのは、実数と大きな差がある場合は採用KPI自体を見直すという点です。

採用KPIと実際の成果に大きな乖離がある場合、そもそものKPIの数値設定自体が適切でない可能性が高いと言えます。

そういったケースでは、KPIに紐づく行動や施策を修正する前に、採用KPI自体を見直した方がよいでしょう。

まとめ

今回は採用KPIをテーマに、概要やメリット、設定手順などをまとめて解説しましたが、いかがでしたか。

人手不足が加速し、採用難易度が上がっている中では、採用活動の精度を如何に高めていくかが重要な課題になることは言うまでもありません。

採用活動の課題を正確に把握し、精度を高めていくには、適切な採用KPIの設定が不可欠です。

ぜひこの記事を参考に採用KPIの設定に取り組んでください。

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