まかないを提供する際に注意すべき点について知りたい。

本記事では上記のような方に向けて、まかないの概要や食事補助との違いを踏まえつつ、提供時の注意点やメリットをわかりやすく解説します。

まかない提供を検討している飲食業界の担当者は、ぜひ最後までお読みください。

まかないの概要

まずはまかないの意味や食事補助との違いなど、基本的な内容についてご紹介します。

まかないとは

まかないとは、余った食材などを利用して、勤務中の従業員に提供する食事です。

レストランやカフェなどの飲食店を中心に提供することが多く、従業員の満足度向上や健康維持などに繋げています。

まかないは無料で提供するケースと有料で提供するケースがあります。各詳細については、後ほど注意点の項で解説します。

まかないと食事補助の違い

ここでまかないと類似した制度である食事補助との違いを確認しましょう。

食事補助は、従業員割引といったように食事代の一部を負担する制度です。

通常顧客に提供しているメニューを割引価格で出したり、食堂で割安価格で食事を提供したりするケースが多くなります。

食事面での費用負担を軽減する点では共通しますが、まかないは通常メニューではなく、まかない担当がその時に余っている食材で、都度オリジナルメニューで提供する点で異なると言えるでしょう。

まかないを提供するメリット

続いてまかないを提供するメリットをご紹介します。

メリット①:採用活動のアピールポイントになる

まかないの提供は採用活動において有効なアピールポイントになります。

職場で健康的、かつ美味しいまかないを食べられる点は、多くの求職者にとって魅力的な要素となります。

従業員の食事における費用負担も軽減でき、生活面の支援にも繋げられるため、求人活動においてアピールすることで、母集団の形成に有効に作用するでしょう。

メリット②:従業員の定着率を高められる

まかないを提供することで、従業員の定着率向上も期待できます。

まかない制度を取り入れることで、従業員の食事面での負担軽減や健康への貢献により、従業員の満足度を高めることが可能です。

そのためまかないを提供していない企業と比較し、定着率を高めやすいと言えるでしょう。

メリット③:フードロスを防止できる

フードロスを防止できる点も、まかない提供のメリットです。

フードロスとは「食べられる食品や食材を捨てること」を指し、食材の調達費用の浪費や環境への負荷が問題となっています。

まかないは通常メニューの料理で余った食材などを利用して作ることができるため、フードロスを防止しながら、従業員満足度などの向上を実現できるでしょう。

メリット④:従業員の育成に繋がる

まかない制度の導入は、従業員の育成に繋がるケースもあります。

まかないは、その時手元にある食材を使って調理することが求められるため、まかないを担当する従業員の調理能力やメニュー考案力を高めることが可能です。

調理スタッフでまかない担当を順番に受け持つことで、店舗全体の能力を底上げできます。

メリット⑤:新メニューの開発に繋げられる

新メニューの開発に繋げられる点も見逃せないメリットです。

新メニューの試作としてまかないを提供することで、従業員の意見を取り入れながら、よりよい新メニューの開発に繋げられます。

実際にまかないから人気メニューが生まれるケースもあり、効果的なメニュー開発方法という一面があると言えるでしょう。

メリット⑥:従業員の健康維持に貢献できる

まかないを提供することで従業員の健康維持に貢献できます。

たとえ一食であっても、まかないとして栄養バランスのよい食事を提供することで、従業員の健康維持や促進に役立つことが可能です。

従業員が健康的になれば、病欠や体調悪化による離職を防止でき、より安定して働いてもらうことができます。

まかないを提供するデメリットは?

まかない提供には数多くのメリットがありますが、まかない担当者の負担が高まるというデメリットがあります。

まかないはその時余っている食材で作る必要があるため、まかない担当者がその都度メニューを考え、調理しなければなりません。

そのため特定の従業員にまかない担当が集中した場合、負担が高まり、逆に満足度の低下や離職などに繋がる可能性があるでしょう。

まかないを提供する際の注意点

最後にまかないを提供する際の注意点について解説します。

注意点①:無料のまかないは現物支給に該当する

一つ目の注意点は、無料のまかないは現物支給に該当するという点です。

現物支給とは、通貨以外で提供される給与を指します。給与であるため、課税所得の対象として扱わなければなりません。

無料でまかないを提供した場合、直接的な食事費用は軽減できますが、まかない調理にかかった費用に応じて、納付しなければならない所得税額が増加します。

そのため従業員側の所得税負担が高まる点は留意しておきましょう。

【補足】まかないを無料提供しても非課税になるケース

まかないを無料提供しても非課税になるケースがあります。

残業や宿日直を行うときに従業員に提供する食事については、無料で提供しても給与として課税されません。

また深夜勤務者に対して現金で食事代を補助する場合は、300円以下であれば同じく非課税として扱うことが可能です。

注意点②:福利厚生として提供するには特定ルールを守る必要がある

福利厚生として従業員に提供するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 役員や使用人が食事代の価格の半分以上を負担している
  • 以下の金額が1か月あたり3,500円(消費税及び地方消費税の額を除く)以下である
    • 食事の価額-役員や使用人が負担している金額

仮に食事価格が500円、役員や使用人の負担金額が300円で設定されており、月に20回提供した場合、「(500×20)-(300×20)=4,000円」となるため、福利厚生として提供できません。

一方で役員や使用人の負担金額が350円である場合は、「(500×20)-(350×20)=3,000円」となるため、福利厚生として扱うことが可能です。

【補足】食事価格の定義

ここで重要になるのが食事価格の定義です。国税庁は食事の価格として、以下のように定義しています。

  1. 弁当などを購入して支給する場合は、業者に支払う購入金額
  2. 食堂などで自社が作った食事を提供する場合、材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計金額

福利厚生として提供する場合は、上記の定義を踏まえて企業側と従業員の負担額を適切に設定する必要があるでしょう。

注意点③:まかない提供のルールを決めておく

注意点の最後に挙げられるのは、まかない提供のルールを決めておくという点です。

福利厚生としての提供条件を満たす金額設定や提供回数は勿論、従業員の支払い方法(給与天引きや徴収)や提供する時間帯など、提供時のルールを決めましょう。

定めたルールは従業員に対してもしっかりと周知しておくことで、適切なまかない制度の運用を実現できます。

参考:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

まとめ

まかない制度は従業員の満足度向上や求職者へのアピールなど、様々なメリットが得られるため、飲食店を中心に多くの企業が導入しています。

しかし提供時のルール次第では福利厚生として提供できず、課税所得として扱われることになり、従業員側の所得税負担が高まるケースがある点は注意しなければなりません。

福利厚生としてまかないを提供したい場合は、ぜひこの記事を参考にルール策定や制度構築に取り組んでください。

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