- 給与前払いサービスの概要やメリット・デメリットを知りたい
- 給与前払いサービスに関する法律も知りたい
この記事は上記のような思いを抱えている方に向けて、給与前払いサービスの概要や種類、導入のメリットやデメリットを簡単に解説していきます。
最後に関連して押さえておくべき法律についても触れていますので、是非最後までご確認ください。
給与前払いサービスとは
まずは給与前払いサービスの概要や種類、注目される背景について見ていきましょう。
給与前払いサービスの概要
給与前払いサービスとは、定められている給料日よりも前に、従業員が既に働いた分の給与を受け取れるサービスのことです。
例えば15日締めの25日払いだとして、1月16日〜31日まで働いているとします。
この場合、従業員は2月25日まで該当分の給与はもらえませんが、前払いサービスであれば先に挙げた期間分の給与をもらうことができます。
このようにあくまで実際に働いた分の給与が前払いの対象となるため、扱いとしては賃金に該当します。
対して従業員が将来の労働を担保として企業からお金を借りる「前借り」は融資となり、給与前払いサービスとは根本的に異なるという点は理解しておきましょう。
給与前払いサービスの種類
給与前払いサービスの種類としては、大きく以下の二つの種類が設けられています。
種類①:立替払い型
給与前払いサービスを提供する事業者に前払い用の資金を立て替えてもらい、従業員に給与を前払いする形になります。
事前に前払い用の資金を準備する必要はなく、キャッシュフローを圧迫することなく運用することが可能です。
種類②:自社払い型
あらかじめ前払い用に資金を集めておき、従業員からの申請に応じて、その資金から支払っていくタイプのものです。
直接支払いタイプと資金移動業者に預託するタイプに分けられます。
<直接支払いタイプ>
<預託するタイプ>
給与前払いサービスが注目される背景
給与前払いサービスが注目されている背景についても押さえておきましょう。
背景①:働き方の多様化
現在働き方が多様化したことに伴い、労働者側の「給与をもらいたいタイミング」も多種多様となりました。
そのため月給だけでなく、日払いや週払いといった支払い形態にも対応する必要が生じ、そういったニーズに給与前払いサービスが合致したと言えるでしょう。
背景②:人材獲得競争の激化
生産年齢人口が減少し続けている日本では、正社員からアルバイトに至るまで、人材獲得競争は激化しています。
その競争を勝ち抜くためには、労働者が働きやすい環境を構築することが求められ、その対策の一つとして給与前払いサービスが注目を集めています。
給与前払いサービスのメリット
ここからは給与前払いサービスのメリットについて、3つのカテゴリに分けて紹介していきます。
採用におけるメリット
給与前払いサービスを導入することで採用力の向上が期待できます。
人材獲得競争が激化している状況下では、あらゆる企業が採用力の向上という課題に向き合わなければなりません。
給与前払いサービスは、その大きな課題への解決策の一つとして活用できるのです。理由としては以下の点が挙げられます。
理由①:若い世代に選ばれやすい
10代後半から20代の若い世代は働いている期間が短いため、貯蓄額が少なく、現金がいざ必要になっても給料日まで待つことが厳しい場合があります。
しかし給与前払いサービスが導入されていれば、いざという時の金銭的なニーズに応えることができるため、若い世代からも選ばれやすいでしょう。
理由②:応募者が増加する
ディップ株式会社が2022年11月に公表した、アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」のフリーワードランキングによれば、「日払い」は全エリアで2位以上にランクインしているというデータがあります。
そのため給与前払いサービスを導入し、日払いでの対応も可能とすれば、アルバイトやパートにおいて応募者の増加が見込まれるでしょう。
理由③:採用コストが削減できる
また採用コストを削減することも可能です。後ほど紹介しますが給与前払いサービスが導入されていれば、人材の定着率が向上します。
そのため退職に伴う人材確保の必要性が減少し、採用に掛けていたコストを削減できます。
人材定着におけるメリット
次にご紹介するのは人材が定着しやすいという点です。
人材不足という課題を耳にすると、大抵どのように新しい人材を確保するかに思考が縛られがちですが、今雇用している人材にどれだけ長く働いてもらえるかも、重要な観点と言えます。
給与前払いサービスの導入は、以下のような理由から人材定着率の向上に繋げられるでしょう。
理由①:福利厚生として活用できる
給与前払いサービスは福利厚生として提供できます。
若い世代を中心とした労働者は、日払いや週払いといった柔軟な支払い形態を望んでいる人も多いため、福利厚生として提供することで、長く働いてくれるようになるでしょう。
理由②:従業員満足度が向上する
給与前払いサービスが導入されていることで、労働者は「いざというときにお金がない…」といったストレスから、解放されやすくなります。
その分、従業員満足度やロイヤルティ(忠誠度)も高まり、長く安定的に働いてくれることが期待できるでしょう。
理由③:従業員の金銭的リスクを防止できる
いざという時に現金を用意できない労働者は、消費者金融などで借金をする可能性があります。
しかし給与前払いサービスを導入すれば、労働者が必要な時に支払うことができるので、借金などの金銭的リスクや、それに起因した退職などを未然に防ぐことができるでしょう。
運用面でのメリット
続いて、運用する上でのメリットについてご紹介します。
メリット①:前払い関連の業務負荷を削減できる
自社単独で前払い業務を行う場合、給与計算や振込といった業務の負荷が都度生じます。
しかし給与前払いサービスを導入すれば、システムによる自動化や委託によって、前払い関連の業務を削減・効率化でき、別の作業に時間を充てることができるでしょう。
メリット②:法に準拠した対応が取れる
詳しくは後述しますが、労働基準法には賃金支払いの五原則と呼ばれるものがあり、給与前払いを行う際も、当然この原則に準拠した対応を取る必要があります。
給与前払いサービスを活用することで、この五原則に則った対応ができるでしょう。
従業員側のメリット
ここまでは企業側のメリットを見てきましたが、ここで従業員側のメリットについても、簡単にお伝えします。
メリット①:利息は掛からない
必要な時に現金を用意できるという点は当然として、利息が掛からないという点は大きなメリットと言えるでしょう。
先にお伝えした通り給与前払いはあくまで賃金支給であるため、前借などの融資とは違い、利息は掛かりません。
メリット②:審査不要で利用できる
融資を受ける場合、返済能力があるかどうか審査が必要になります。
しかし給与前払いサービスの場合、あくまで働いた分を給料日よりも前に支給してもらうだけなので、審査は不要です。
給与前払いサービスを導入する際のデメリット・注意点
最後に給与前払いサービスのデメリット・注意点として、コストと法律面について押さえておきましょう。
手数料・運用コストが掛かる
デメリットとして挙げられるのは、導入時や運用にあたって、ある程度コストが掛かる点です。
当然のことながら導入費用が掛かり、運用が始まってもシステム利用料や手数料が発生する上、従業員や勤怠に関するデータ連携作業の工数も生じます。
また給与前払いを行うためには、労使協定を締結する必要があったり、給与明細に「前払い金額」と「前払いサービスの利用料」を控除する欄を追記する必要があったりと、諸々の準備が必要であることは留意しておきましょう。
サービスによってグレーなものもある
注意点としては、サービスによってグレーなものがある点が挙げられます。
給与支払いサービスには立替払い型と自社払い型の二つがあるとご紹介しましたが、立替払い型は、先に挙げた労働基準法における賃金支払い五原則に抵触する恐れがあります。
また自社払い型でも預託するタイプの場合は抵触する恐れがあるので、利用を検討する場合はこういった点を考慮し、法的なリスクがないサービスを選ばなければなりません。
【補足】賃金支払い五原則について
労働基準法第24条では、賃金は以下にて支払わなければならないと規定されています(賃金支払い五原則)。
- 通貨で
- 直接労働者に
- 全額を
- 毎月一回以上
- 一定の期日を定めて
立替型と預託型の場合、以下の観点からこの原則に抵触する可能性があると言えます。
立替型のリスク
立替型の場合は、給与前払い申請が合った際、サービス事業者が一時的に立て替えて申請した労働者に給与を支払います。
そのためそもそも給与を支払っている主体が雇用主ではなく、直接払いの原則に抵触する可能性があると言えるでしょう。
預託型のリスク
賃金支払い五原則における通貨払いの原則には、労働者本人の同意を得た場合、銀行振り込みが可能という例外があります。
しかし預託型の場合、賃金移動業者のATMから引き出しているだけなので、通貨支払いや銀行口座振り込みには該当せず、通貨払いの原則に抵触している可能性があると言えるでしょう。
そのため給与前払いサービスを活用する場合は、自社払い且つ直接払い型のサービスを選び、賃金支払い五原則に則った形で運用しましょう。
まとめ
今回は給与前払いサービスの概要からメリット・デメリットを解説してきましたが、いかがでしたか。
当社はアルバイト・パートや派遣スタッフの給与受け取りが、さらに自由・便利になる社会を実現すべく、給与前払いサービス「速払いサービス」を提供しております。
本記事でも紹介した自社払い・直接払い型であるため、賃金支払い五原則に則った運用が可能となっており、法的なリスクも心配する必要はありません。
また導入検討から運用、導入後に至るまで、充実したサポートメニューもご用意しております。
もし給与前払いサービスの導入をご検討の場合、是非お気軽にお問い合わせください。
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