アルバイトの採用に取り組んでいるものの、定着率やコスト面など様々な課題を抱えている。

本記事は上記のような採用担当者の方に向けて、友人紹介制度をご紹介します。

制度の概要や注目される背景などを踏まえつつ、メリットや成功のポイント、成功事例までまとめて解説しているため、ぜひご一読ください。

アルバイト採用に有効な友人紹介制度とは

まずは友人紹介制度の概要について確認しましょう。

アルバイト採用における友人紹介制度の概要

アルバイト採用における友人紹介制度とは、すでに雇用しているアルバイト従業員から友人や知人を紹介してもらい、採用に繋げる手法です。

いわゆるリファラル採用とも呼ばれる採用手法であり、ミスマッチや採用コストを抑えやすいという点で、昨今取り組む企業も増えています。

アルバイト採用の場合、対象者が学生となることも多いため、同じ大学や専門学校に通っている友人などに声をかけてもらうことが多くなるでしょう。

アルバイト採用で友人紹介制度が注目される背景

日本で深刻化している少子高齢化により、そもそも学生や若手労働者の総数が減少しているため、アルバイトの採用難易度は高まっている状況です。

そのため従来の求人媒体のみを活用した採用手法では、必要な人材をなかなか確保できなくなっていると言えるでしょう。

またアルバイトは正社員よりも雇用関係の性質上、どうしても離職率が高い傾向にあるため、せっかく採用しても定着してくれないといった課題に悩む企業も多くあります。

こういった状況のなか、精度の高い採用手法として注目を集めているのが友人紹介制度による採用と言えます。

アルバイト採用における友人紹介の実態

そもそもアルバイトの就業経路として、友人や知人による紹介は相対的に多い傾向にありました。

2019年にディップ株式会社が調査した内容によると、アルバイトの就業経路として友人・知人の紹介は、求人サイト・アプリに次いで多い状況であることがわかります。

引用:アルバイト・パートの就業経路 第2位 「知人・友人の紹介/リファラル採用」  学生は全体より「就業の割合」「今後の就業意向」が高い傾向 | ディップ株式会社

また今後アルバイトとして就業するにあたり、友人・知人からの紹介で就業したいと考える労働者も多く、特に学生は36.1%が希望すると回答しています。

引用:アルバイト・パートの就業経路 第2位 「知人・友人の紹介/リファラル採用」  学生は全体より「就業の割合」「今後の就業意向」が高い傾向 | ディップ株式会社

このようにアルバイト採用において、友人紹介制度は他の採用手法と比較して、成果を上げやすい環境にあると言えるでしょう。

アルバイト採用に友人紹介制度を導入するメリット

次にアルバイト採用において友人紹介制度を導入するメリットについて、ご紹介します。

メリット①:定着率の向上

アルバイト採用における友人紹介制度は、ミスマッチのリスクを抑えやすいという特長があります。

友人紹介制度では、業務内容や風土などをよく理解した既存の従業員から、「適性がある」と判断した知人や友人を紹介してもらえるためです。

また新しく入社したアルバイト従業員も、友人がいることによって安心して働くことができ、早期離職なども生じにくく、定着率の向上が期待できます。

メリット②:採用コストの低減

アルバイト採用に友人紹介制度を導入した場合、採用コストの低減を実現できます。

友人紹介制度は、求人媒体や紹介エージェントのように数十〜数百万円といった費用の発生はなく、紹介してくれた従業員に対して、数千円〜数万円程度のインセンティブを支払う程度の負担で取り組めます。

また既存のアルバイト従業員のコネクションで採用に繋げるため、自社からスカウトなどを打つ必要もなく、採用活動自体の工数も抑えやすいと言えるでしょう。

メリット③:採用精度が高い

友人紹介制度によるアプローチを行った場合、求職者は既存従業員を介して職場や業務について聞いた上で選考に臨むため、自社への信頼感もはじめから一定以上醸成されていることが多くなります。

また友人・知人を介するという特性上、その時点で明確な採用競合がいないケースもあり、他の採用手法と比較して採用できる確率も高い傾向にあると言えるでしょう。

アルバイト採用に友人紹介制度を導入するデメリット

一方でアルバイト採用に友人紹介制度を導入する場合、以下のようなデメリットが生じます。

デメリット①:不採用時のフォローが必要

既存のアルバイト従業員から紹介された人を不採用とする場合、求職者本人だけでなく、紹介してくれた従業員に対してもフォローが必要です。

もしこの点を疎かにすると「せっかく紹介したのに」と不満を抱え、最悪紹介してくれた従業員が退職するなどの事態に繋がりかねません。

そのため通常の採用手法よりも、心理的に不採用と判断しにくくなる点には留意しましょう。

デメリット②:計画的な採用には適さない

友人紹介制度による採用活動は、いつどれくらいの人数を紹介してもらえるかは既存のアルバイト従業員次第になるため、計画的な採用には適しません。

こちらから紹介してほしい旨を積極的に伝えたとしても、紹介したい友人・知人がいなかったり、そもそも紹介したいと思われていなかったりした場合、紹介を受けることができないためです。

そのため、もし決まったタイミングでの計画的な採用が必要であれば、紹介エージェントや求人広告なども併せて活用する必要があるでしょう。

デメリット③:芋づる式に離職するリスクがある

友人紹介制度では芋づる式の離職に注意する必要があります。

友人紹介制度で就業を決めたアルバイト従業員は、友人・知人がいるからこそ入社を決めたケースも多いと言えます。

そのため紹介者である既存のアルバイト従業員が退職した場合、その従業員の紹介で就業したアルバイトが芋づる式に離職してしまう恐れがあるでしょう。

アルバイト採用の友人紹介制度を成功させるポイント

ここからはアルバイト採用における友人紹介制度を成功させるポイントとして、以下の点をご紹介します。

ポイント①:社内の環境を整備する

既存のアルバイト従業員に友人・知人を紹介したいと思ってもらうには、社内の環境を整えることが重要になります。

適正な給与制度を構築することは勿論、教育制度の充実や柔軟なシフト制度、社員登用制度といった社内環境を整備することで、紹介したいと思ってもらえる確率を高められるでしょう。

友人紹介制度では「インセンティブを支払えばいい」と考えがちですが、大切な友人・知人を紹介する上では金銭的な報酬以上に、「紹介するに足る企業」であるかが重要になります。

ポイント②:中長期的に取り組む

アルバイト採用において友人紹介制度を導入しても、一朝一夕で効果が得られるとは限りません。

既に既存従業員との間に良好な関係が築けており、かつ社内環境も整備できていれば、比較的短期間で成果を挙げられる可能性はあります。

ただし、これから紹介を見据えた関係構築や環境整備などに取り組むとなると、すぐに成果は現れず、ある程度中長期的な期間がかかることは理解しておく必要があるでしょう。

ポイント③:社内への告知を徹底する

アルバイト採用における友人紹介制度を導入しても、既存の従業員が制度の存在を認識していなければ、紹介してもらうことはできません。

そのためアルバイトの採用において友人紹介制度を導入していることは勿論、紹介することでどのようなインセンティブがあるのかなどについて、社内への告知を徹底する必要があります。

紹介者本人だけにしかインセンティブがないのか、それとも入社した友人・知人にもインセンティブがあるのかなど、紹介することのメリットを明確に伝えましょう。

その上で定期的に紹介してほしい旨を従業員に伝えていくことが重要です。

ポイント④:面接ではなく社内見学などを実施する

友人紹介制度で紹介された求職者に対しては、いきなり面接を行うのではなく、まずは社内見学などを実施することをおすすめします。

友人紹介制度を介して採用選考に参加した求職者は、先述のとおり不採用と判断しづらくなります。

スキル不足など明確な理由があれば別ですが、人物面などパーソナルな部分に起因する場合、特にその傾向は強くなります。

そのため、まず社内見学やミートアップなどを実施し、双方の相性を見極めた上で、選考フローに進めるかどうかを判断すべきでしょう。

ポイント⑤:職業安定法への抵触に注意する

アルバイト採用に限らず、友人紹介制度を導入する場合は職業安定法に抵触しないように注意しなければなりません。

本来人材を紹介して報酬を得る行為は、職業安定法第30条の規定における許可を得た事業者以外は禁止されています。

もしインセンティブの金額が著しく高い場合や紹介頻度が多い場合は、紹介が生業として扱われ、職業安定法へ抵触する恐れがあります。

そのため友人紹介制度においては、あくまで情報提供に対する手当のような形で、報酬などを設計する必要があるでしょう。

すかいらーくに学ぶ友人紹介制度の成功事例

参照:https://crewrecruiting.skylark.co.jp/friends/

最後に友人紹介制度の成功事例として、ファミリーレストランブランドを多数展開する株式会社すかいらーくホールディングスの取り組みをご紹介します。

すかいらーくでは、アルバイトを多数活用していた中、求人サイトでの採用効果が減少してきたことを踏まえ、リファラル採用を取り入れ始めました。

取り組み当初は全店舗のスタッフに対してメッセージを発信していたものの、数名程度の応募しかなく、結果は芳しくありませんでした。

その後、社長による情報発信や、リファラル採用での紹介率の高い店舗マネジャーを表彰する制度などを構築し、社内浸透を図っています。

また社長からの感謝状が届く制度の構築や、「友人紹介を促進する声かけ方法」や「求職者に伝えたい内容」などをまとめたノウハウ集を作成するなど、地道な取り組みを継続しました。

その結果、年間7,000名の採用に成功するなど、しっかりと成果を得られる友人紹介制度を実現しました。

参考:年間数名だった紹介数が年間7,000人に。リファラル採用を成功させたすかいらーくの事例 |HR NOTE

まとめ

採用競争の激化に伴い、従来の求人媒体を用いた採用活動では成果を得ることが難しくなってきています。

こういった状況の中でアルバイト採用を成功させるには、友人紹介制度の導入が効果的です。しっかりとした友人紹介制度を構築できれば、採用競争が激化する中でも着実に人材を確保できるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、友人紹介制度の構築や導入に取り組んでいただければ幸いです。

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