マイナビグループである株式会社エーピーシーズは、給与前払い福利厚生「速払いサービス」を10年以上運営しており、現在、導入企業から日々お預かりしている従業員の勤怠データは月間で約20万人、給与となる勤務実績金額は約160億円分にのぼります。
今回は飲食業で働くアルバイト・パート従業員の勤怠データを基に、2019年・2020年の3月〜8月分における稼働人数・勤務実績金額を比較し、業態ごとの非正規雇用者の就業実態について調べました。
飲食業全体
稼働人数の推移
勤務実績金額の推移
国内での新型コロナウイルス感染症の感染拡大が目立ち始めた3月から、稼働人数・勤務実績金額ともに減少傾向にあり、緊急事態宣言下であった4月・5月は稼働人数・勤務実績金額ともに著しく減少しています。
6月以降は回復傾向にあるものの、稼働人数は前年と比較しまだ75%前後と完全回復には至っていません。勤務実績金額においても70%前後までの回復に留まっており、8月には再び60%台に落ち込んでいます。
全体的に稼働人数よりも勤務実績金額の減少幅が大きく、回復が遅いことから、時短営業などの要因によりアルバイト・パート従業員一人ひとりの勤務時間が減少していると考えられます。
業態別①カフェ・レストラン
稼働人数の推移
勤務実績金額の推移
カフェ・レストランでは、緊急事態宣言のさなかである5月に稼働人数・勤怠実績金額ともに最も落ち込んでいます。稼働人数よりも勤務実績金額への影響が大きいのも特徴で、稼働があっても勤務時間が短くなる時短営業によるものと考えられます。特に勤務実績金額は3月時点ですでに60%台でしたが、4月には16.9%にまで急落、5月はさらに下がって10%以下となり、営業自粛による影響の甚大さが伺えます。
緊急事態宣言が解除された6月以降も稼働人数・勤務実績金額ともに前年比50~60%台の状況は続いており、回復に苦しんでいます。店内の客席利用がメインであるカフェ・レストランは、飲食業の中でも大きな影響を受けているようです。
業態別②居酒屋・ダイニングバー
稼働人数の推移
勤務実績金額の推移
居酒屋・ダイニングバーといった酒類の提供がメインの飲食店は、稼働人数・勤務実績金額ともにカフェ・レストランと似た推移で、4月〜5月に大きく影響を受けているのが見て取れます。減少幅はカフェ・レストランより若干少ないように見えますが、6月以降はカフェ・レストランよりも回復が遅く、稼働人数は前年比の50%台に止まり、勤務実績金額は50%を割っている状態が続いています。
都内においては8月上旬〜9月にかけて「酒類の提供を行う飲食店」に対し営業時間の短縮が再要請されており、大人数はもちろん飲み会自体の自粛ムードが続いています。回復にはまだまだ時間がかかることが予想され、最も大きな影響を受けている業態と言えるでしょう。
業態別③ファストフード
稼働人数の推移
勤務実績金額の推移
稼働人数においては、前年と比較し4月以降は多少減少しているものの、7月・8月は99%と前年とほぼ同人数のアルバイト・パート従業員が稼働できていることがわかります。
勤務実績金額は3月・4月・5月と稼働人数よりも減少傾向にあり、レストランや居酒屋と同様に従業員一人ひとりの勤務時間が短縮されたと考えられます。
稼働人数・勤務実績金額ともに前年よりも減少はしていますが、6月以降は90%台後半まで持ち直してきており、テイクアウト需要の増加などによりある程度までは回復できていることがわかります。
業態別④デリバリー
稼働人数の推移
勤務実績金額の推移
デリバリーに関しては、新型コロナウイルス感染症の影響がプラスに働いており、3月の稼働人数を除き前年を上回る結果となっています。4月・5月の緊急事態宣言下では、中食需要が高まったことでデリバリーの利用者が増加し、従業員人数・勤務時間を確保する必要があり、勤務実績金額が前年比を大幅に上回ったと考えられます。
まとめ
同じ飲食業のアルバイト・パート従業員であっても、テイクアウト・デリバリーに対応できているかどうかで、影響の受け方も大きく異なることがわかりました。
新型コロナウイルス感染症の影響がまだまだ長引くなか、会社主催の大規模なものも含めた宴会の自粛が続いており、居酒屋など「酒類の提供を行う飲食店」の完全回復はまだまだ厳しそうです。