新型コロナウイルスの感染拡大により、2021年1月に2度目の緊急事態宣言が発令されました。今回は飲食店に対する営業時間の短縮要請がメインの内容となっており、飲食業界の受ける影響は大きそうです。

マイナビグループである株式会社エーピーシーズは、給与前払い福利厚生「速払いサービス」を10年以上運営しており、現在、導入企業から日々お預かりしている従業員の勤怠実績データは、月間で約20万人分、給与となる勤務実績金額は約160億円分にのぼります。

このお預かりしている勤怠実績データを基に、今回は飲食業で働くアルバイト・パート従業員の2020年3月~12月における稼働人数、勤務実績金額を前年と比較し、2度目の緊急事態宣言が発令される前までの飲食業界の就業実態の変化についてデータをまとめました。

飲食業全体

稼働人数の推移

勤務実績金額の推移

飲食業全体で見ても、2020年4月・5月は1度目の緊急事態宣言の影響を大きく受け、特に5月は稼働人数・勤務実績金額ともに前年比50%以下まで急落しています。

2020年7月以降は、感染拡大の第1波が過ぎ去り、各種GoToキャンペーンの運用も徐々に開始され、稼働人数は前年比80%弱、勤務実績金額は前年比70%台の水準まで戻り、少し落ち着いた状態になっているように伺えます。(ただし12月の勤務実績金額は、数値自体は微増を続けているものの、元来繁忙期のため数値の水準が高く、前年比でみると70%を割り込んでいます)

業態別①レストラン・カフェ

稼働人数の推移

勤務実績金額の推移

レストラン・カフェ業態では稼働人数・勤務実績金額ともに、7~12月も前年比65%前後での推移となっています。店内の飲食・客席利用を主とした営業スタイルの店も多く、業態別では居酒屋・ダイニングバーに次いで2番目に苦しい状況となっています。

業態別②居酒屋・ダイニングバー

稼働人数の推移

勤務実績金額の推移

酒類の提供がメインの居酒屋・ダイニングバーでは、5月に底を打ってから6月に多少の回復を見せましたが、以後も大幅な復調はなく稼働人数は前年比50%台、勤務実績金額は前年比50%を割っている状態が続いています。

大都市では度々「酒類の提供を行う飲食店」に対して営業時間の短縮が要請されており、大人数はもちろん飲み会自体の自粛ムードが続きました。年末にかけ新型コロナウイルスの感染が再拡大したことで、例年なら宴会が多く稼ぎ時の12月については、稼働人数・勤務実績金額ともに前年比の割合が全業態の中で最も低下しています。

この度の2度目の緊急事態宣言・時短要請では、20時までの営業では意味がない、と休業する企業の声も多く聞かれます。1月は稼働人数・勤務実績金額ともに、2020年4月・5月のような落ち込みが予想されます。

業態別③ファストフード

稼働人数の推移

勤務実績金額の推移

稼働人数・勤務実績金額ともに、1度目の緊急事態宣言の影響を受けた4・5月は目に見えて落ち込んだものの、7月以降は前年と同等またはそれ以上の水準まで持ち直しています。

各種GoToキャンペーンの実施や一時的な感染者数の減少から外出する人が増えたこと、テイクアウト需要が低下せず高止まりしていることも影響していると考えられます。

業態別④デリバリー

稼働人数の推移

勤務実績金額の推移

デリバリー業態は他業態とは異なる動きを見せています。1度目の緊急事態宣言下であった4月・5月は中食需要が高まったことによる「特需」が発生、勤務実績金額が前年を上回って以降、前年超える高い水準を維持しています。10月以降は「Go To Eat(イート)キャンペーン」などで食事の選択肢が増えた影響もあってか少し落ち着いていますが、それでも稼働人数・勤務実績金額とも前年比100%前後で推移しています。

まとめ

いかがでしたか?

飲食店への営業時間の短縮要請がメインとなった2度目の緊急事態宣言の中、飲食業界で働くアルバイト・パート従業員の就業実態の変化を調査していくため、今回は発令前となる2020年12月分までの稼働人数・勤務実績金額の前年比較データを公表いたしました。

テイクアウト需要もあるファストフードでは回復がみられる一方、レストラン・居酒屋などの店内利用がメインとなる業態ではまだまだ回復に時間がかかりそうです。

この厳しい状況には終わりが見えず、心配している方も多いと思います。必要な対策を講じながら、先を考えていかなければなりません。

このレポートは1月以降も順次、発信していく予定ですので、是非ご確認ください。