マイナビグループである株式会社エーピーシーズは、給与前払い福利厚生「速払いサービス」を10年以上運営しており、現在、導入企業から日々お預かりしている従業員の勤怠データは月間で約20万人、給与となる勤務実績金額は約160億円分にのぼります。

今回は派遣社員として働く従業員の勤怠データを基に、2019年・2020年の3月〜8月分における稼働人数・勤務実績金額を比較し、職種分類ごとの非正規雇用者の就業実態について調べました。

派遣社員全体

稼働人数の推移

派遣全体-稼働人数

勤務実績金額の推移

派遣全体-勤務実績金額

稼働人数は3月以降前年を下回っていますが、勤務実績金額は3月時点はまだ104.3%と前年を上回っていました。総じて、稼働人数の減少幅に対し、勤務実績金額の減少が少ないことから、短時間労働者の稼働が減り、勤務時間の長いフルタイマーで働く労働者の稼働が維持されていることが想定されます。また、新型コロナウイルス感染症の影響による、新規採用の停止や単発・短時間案件の減少などが考えられます。

稼働人数・勤怠実績金額ともに5月までは減少傾向にありましたが、緊急事態宣言明けの6月には回復の動きがみられます。しかし、7月・8月には勤怠実績金額が再度減少していることから、感染拡大の第2波が懸念され始めたタイミングで勤務時間短縮などの対策が再実施されたと考えられます。

業種・職種分類①ブルーカラー

稼働人数の推移

派遣ブルー系-稼働人数

勤務実績金額の推移

派遣ブルー系-勤務実績金額

工場の製造スタッフや建築の作業員、物流業の運送スタッフなどブルーカラーでは、緊急事態宣言前の3月時点で稼働人数が前年比の89.0%と、前年を下回っていました。オレンジカラー・ホワイトカラーと比較し、早くから新型コロナウイルス感染症の影響を受けているとみられます。海外の拠点と連携している製造業などで、3月の早い段階から海外での感染拡大の影響を受けていたと考えられます。

6月には稼働人数・勤務実績金額ともに回復傾向がみられましたが、稼働人数は80%台のままほぼ横ばいとなっており、7月・8月の勤務実績金額にいたっては前年比の90%台と5月の水準まで落ち込んでいます。8月はお盆の影響も考えられますが、感染拡大の第2波が懸念されたことによる感染拡大の防止策などで一人ひとりの勤務時間が短くなっていると考えられます。

業種・職種分類②オレンジカラー

稼働人数の推移

派遣オレンジ系-稼働人数

勤務実績金額の推移

派遣オレンジ系-勤務実績金額

営業や販売、接客などオレンジカラーでは、ブルーカラーと異なり3月時点では稼働人数・勤怠実績金額ともに105%超えと前年を上回っていましたが、5月には稼働人数が73.4%、勤務実績金額が65.4%と大きく落ち込んでいます。緊急事態宣言によって対面式の接客を伴う店舗の休業が相次ぎ、稼働停止を余儀なくされた派遣社員も多数いたと考えられます。

6月以降は回復がみられますが、7・8月は稼働人数・勤務実績金額ともに前年比の80%台と同じ水準で推移しています。自粛ムードの中での対面営業の短縮・時短勤務の影響が表れていると考えられます。

業種・職種分類③ホワイトカラー

稼働人数の推移

派遣ホワイト系-稼働人数

勤務実績金額の推移

派遣ホワイト系-勤務実績金額

コールセンターや事務職などホワイトカラーでは、5月を除いて稼働人数・勤務実績金額ともに前年比では上回っています。企業によっては出勤停止やコールセンターの営業縮小といった対応も見られましたが、給付金関連の臨時相談窓口などコールセンター特需の恩恵を受けたケースもあり、ホワイトカラー全体ではマイナスの影響は比較的抑えられていたようです。

まとめ

派遣社員全体として新型コロナウイルス感染症の影響を受けてはいるものの、領域によって特徴がわかれたことがデータからみてとれます。特にホワイトカラーにおいては、給付金関連での特需により前年を上回る状態で影響を抑えられていることがわかりました。

まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響は続いていますが、東京都での感染レベルの引き下げや都外への外出自粛解除など自粛が緩和されつつあるため、各領域での新型コロナウイルス感染症の影響が軽減されることを祈るばかりです。

非正規雇用者の就業実態レポート
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