外国人アルバイトの雇用には、一定の制限があることをご存じでしょうか。

この記事では、そもそもアルバイトとして雇用できる外国人の種類を踏まえつつ、外国人アルバイトの就労制限の内容や罰則などをわかりやすく解説します。

外国人アルバイトを雇用する際の注意点もご紹介するため、ぜひ最後までご確認ください。

アルバイトとして雇用できる外国人の種類

外国人アルバイトの就労制限について確認する前に、まずアルバイトとして雇用できる外国人の種類について押さえておきましょう。

種類①:身分系在留資格を持つ外国人

アルバイトとして雇用できる外国人として、まず挙げられるのは身分系在留資格を持つ外国人です。

身分系在留資格とは、以下の在留資格のことを指します。

  • 永住者:法務大臣が永住を認める者
  • 日本人の配偶者等:日本人の配偶者や特別養子、日本人の子として出生した者
  • 永住者の配偶者等:永住者の配偶者または、永住者の子として出生し在留している子
  • 定住者:法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者

これらの在留資格を持つ外国人には就労制限が設けられていません。

そのため他の在留資格では禁止されている単純労働を含め、あらゆる業務での就業が認められており、日本人と同じように雇用できます。

またアルバイトだけでなく、派遣や契約社員、正社員とあらゆる雇用形態での就業が可能です。

種類②:資格外活動許可を得た外国人

身分系在留資格を持つ外国人以外で、アルバイトの対象となるのは、資格外活動許可を得た外国人です。

資格外活動許可については後ほど詳述しますが、資格外活動許可でのアルバイトの対象となるのは、主に以下の在留資格となります。

  • 文化活動:収入を伴わない学術や芸術上の活動
  • 短期滞在:日本に短期滞在して観光や親族の訪問、会合への参加などを行う活動
  • 留学:日本の大学などの学術機関に留学する活動
  • 研修:日本の機関に受け入れられて行う技能などを習得する活動
  • 家族滞在:高度専門職などの在留資格で日本に滞在する者の、配偶者や子として行う日常的な活動

これらの在留資格は原則として就労が認められていませんが、資格外活動許可を得た場合は、一定の範囲内で就労が認められます。

資格外活動許可と就労制限

ここからは先ほど触れた資格外活動についてより詳しく解説しつつ、資格外活動で働く外国人アルバイトの就労制限についてご紹介します。

資格外活動許可とは

資格外活動許可とは、現在保有している在留資格に属さない「収入を伴う活動」に従事する際に必要な許可のことです。

資格外活動許可には、以下の2種類が設けられています。

包括許可

週28時間以内の就労に従事する際に必要な資格外活動許可であり、アルバイト雇用の場合は基本的にこちらが対象となります。

個別許可

包括許可を有する外国人や、その他の就労系在留資格(高度専門職など)を持つ外国人が、他の就労系在留資格に該当する活動を行う際に、必要な資格外活動許可となります。

例えば留学生が、週28時間を超えるインターンシップに従事する場合などは個別許可が必要です。

これらの資格外活動許可を得るには一定の要件を満たした上で、出入国在留管理庁まで申請を行う必要があります。

要件や申請方法などは、以下のページを併せてご確認ください。

資格外活動許可について|出入国在留管理庁

資格外活動における就労制限

外国人アルバイトを雇用する場合は、資格外活動許可の中でも包括許可の対象となるため、週28時間以内という就労制限が設けられます。

資格外活動許可を得たとしても、あくまで本来の在留資格の活動を主として行うべきであり、アルバイトはその主となる活動に影響が出ない範囲に収めるべきと言えます。

そのため週28時間までという制限が設けられたのでしょう。

またこの週28時間というのは、全てのアルバイト活動の就労時間を合算したものになるため、アルバイトごとに28時間働けるというわけではない点は注意が必要です。

留学生の場合、長期休暇中は就労制限が緩和される

資格外活動許可でアルバイト活動を行う外国人の内、在留資格「留学」を持つ外国人に関しては、長期休暇中における就労制限が緩和されます。

具体的には、所属している教育機関が設けている長期休暇中、週28時間という制限がなくなり、1日8時間・週40時間まで就労可能です。

夏季休暇や冬期休暇中は本来の目的である学業が休みとなるため、資格外活動の時間が増えても支障はないと判断され、就労制限が緩和されるのでしょう。

【補足】資格外活動許可でも雇用できない業務

ここまで資格外活動許可についてご紹介してきましたが、仮に資格外活動許可を得ている外国人でも雇用できない業務があります。

資格外活動許可で雇用できない業務は以下のとおりです。

  • 風俗営業
  • 店舗型性風俗特殊営業
  • 無店舗型性風俗特殊営業
  • 映像送信型性風俗特殊営業
  • 店舗型電話異性紹介営業
  • 無店舗型電話異性紹介営業

様々な種類を記載しましたが、基本的に「風俗関連業務は資格外活動許可でも雇用できない」とご認識いただければ問題ありません。

外国人アルバイトの就労制限に違反した場合

次に外国人アルバイトの就労制限に違反した場合の罰則について、企業側と外国人側に分けて確認しましょう。

企業側の罰則

外国人アルバイトの就労制限に違反した場合、雇用主である企業は不法就労助長罪に問われます。

不法就労助長罪は、その事実を認知していたかどうかに関係なく適用されるため、意図せず就労制限を超えてしまった場合でも適用されることになるでしょう。

不法就労助長罪に該当した場合、入管法第73条により3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、または懲役と罰金が併科されます。

外国人アルバイト側の罰則

資格外活動許可に違反した場合、企業だけでなく外国人側も当然罪に問われます。

外国人アルバイトが就労制限を超えて働いた場合、入管法第70条により、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはそれらが併科されることになります。

これらに加えて入管法第22条や24条の規定により、在留資格の取り消しや退去強制の対象となり、日本に在留できなくなるでしょう。

外国人アルバイトを雇用する際の注意点

最後に資格外活動許可によって、外国人アルバイトを雇用する際の注意点として、以下の5点をご紹介します。

注意点①:在留カードと資格外活動許可を確認する

一つ目の注意点は在留カードと資格外活動許可を確認するという点です。

採用前の面接時に、在留カードと資格外活動許可を確認し、そもそも就労が認められた外国人であるかを確認しましょう。

また昨今、偽造在留カードによる不法就労の事例も見られるため、以下のページを参考にして、しっかりと見極めることが重要になります。

不法就労防止にご協力ください。|出入国在留管理庁

注意点②:アルバイトを掛け持ちしているか確認する

続いて挙げられるのは、アルバイトを掛け持ちしているかを確認するという点です。

先述のとおり資格外活動許可の場合、全てのアルバイト先の労働時間を合わせて週28時間という制限があります。

そのため掛け持ちしているアルバイトが無いかを確認し、掛け持ちがあった場合は、残りの労働時間などを把握した上で雇用する必要があるでしょう。

注意点③:留学生の場合、大学や長期休暇期間を確認する

雇用予定の外国人アルバイトが留学生である場合は、所属大学や長期休暇期間を確認する点も忘れてはいけません。

留学生の場合、長期休暇期間は就労制限が緩和されます。

しかし正しく休暇期間を把握していなければ、知らない内に長期休暇が終わっており、結果として就労制限を超えてしまったという事態に繋がりかねません。

そのため本人に長期休暇期間を確認するとともに、所属大学にも照会しておき、適切に就労制限の緩和を活用する必要があるでしょう。

注意点④:勤怠管理を適切に行う

次に挙げられる注意点は、勤怠管理を適切に行うという点です。

週28時間以内という就労制限を厳守するには、対象となる外国人アルバイトの勤怠を適切に管理する必要があります。

しかし紙で勤怠管理を実施している場合、計算間違いなどによって就労制限を超えていたといった事態にも繋がりかねません。

そのため、可能であれば勤怠管理システムやアプリを導入し、勤怠管理を適切に行い、不法就労助長罪に問われないようにしましょう。

注意点⑤:外国人雇用状況届出を忘れずに提出する

また外国人雇用状況届出を忘れずに提出する点も押さえておきましょう。

外国人雇用状況届出は、外国人の雇用時と退職・解雇時にハローワーク宛に提出しなければなりません。

就労制限とは直接関係がないものの、届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金が科されるため注意しましょう。

まとめ

今回は外国人アルバイトの就労制限をテーマに、具体的な内容や罰則などを解説してきましたが、いかがでしたか。

少子高齢化が進み、人口が減少していく日本において、人手不足はあらゆる企業にとって課題となっています。

そんな中で外国人活用は人手不足の解決策として注目されており、様々な企業が活用し始めていると言えるでしょう。

とはいえ、就労制限のように日本人を雇用する場合とは違った注意点もあるため、外国人雇用の知識を正しく理解して、雇用に取り組む必要があります。

ぜひこの記事を参考に、外国人アルバイトの雇用をご検討ください。

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