ATSについて聞いたことがあるものの、具体的に何ができるのか、どういったメリットがあるのかわからない。
本記事は上記のような採用担当の方に向けて、ATSの概要や基本的な機能、導入するメリットなどについてわかりやすく解説します。
ATSの選び方やおすすめのATSについてもご紹介しているため、ぜひご一読ください。
ATS(採用管理システム)の概要
まずはATSの概要や注目されている背景、導入すべきケースなどをご紹介します。
ATSとは?
ATS(Applicant Tracking System)とは、採用における各プロセスを効率化させる機能が搭載されたシステムです。採用管理システムとも呼ばれます。
求人や応募者情報の一元管理をはじめ、選考日時の調整や内定者へのコンタクトなどができます。
システム内に蓄積された採用データも分析できるため、上手く活用することで採用活動の改善に繋げられるでしょう。
ATSが注目されている背景
1995年以降生産年齢人口が減少している日本では、あらゆる業界において採用競争が激化し、従来のアナログな採用活動では成果を得にくくなりました。
また様々な採用手法が登場するに伴い、採用活動自体が複雑化したため、採用担当者の負担も増加しています。
こういった状況下では、採用活動の効率化とデータに基づいた精度向上が成否のカギを握ることは言うまでもありません。
そのためATSを導入する企業も増えてきていると言えるでしょう。
ATSを導入すべきケース
以下のようなケースに当てはまる場合、ATSを導入すべきと言えます。
- 採用規模が大きい(数百名規模の採用を行うなど)
- 採用担当が少ない
- 専任の採用担当がいない
上記のような状況から採用リソースが不足していたり、採用活動の精度が低くなっていたりする企業は、ATSを導入することで大きく改善できる可能性があります。
ATS(採用管理システム)の基本機能
続いてATSに搭載されている基本的な機能についてご紹介します。
1.求人・案件管理機能
求人作成は勿論、連携している求人媒体などへの公開ができます。
現在公開している求人案件ごとに、記載内容や募集状況などを一元的に管理できるため、効率の良い求人管理や募集業務を実現できるでしょう。
2.応募者情報管理機能
公開中の求人に応募してきた候補者の履歴書や職務経歴書などをデータ化して、一元的に管理できる機能が搭載されています。
システムによっては、登録している応募者の中から特定条件を持った人材を抽出できるため、スクリーニングなどの初期選考作業も効率化できるでしょう。
3.選考管理機能
各応募者の選考状況の進捗データを管理でき、さらにメールやLINE、カレンダーアプリなどと連携させることで、システム内で面接日程を調整することも可能になります。
また各応募者の面接後の評価を記録できるため、所属先部門への情報共有に役立つ点も見逃せません。
4.内定者管理機能
内定通知書の作成や通知ができる上、内定者にイベント連絡や定期コンタクトといったフォローも実施可能です。
これらの機能を用いて的確に内定者フォローを行うことで、内定辞退率の低下に繋げることができるでしょう。
5.採用データの分析機能
各求人の応募率や面接設定率、求人媒体ごとの反響状況といったデータを蓄積でき、これらをレポート化できます。
レポートを参照しながら各採用プロセスにおけるデータを分析することで、アプローチやチャネルごとの課題や問題点などを把握できるでしょう。
6.その他の機能
外部システムからのデータインポートや連携、採用ページ作成などができるATSもあります。
カレンダーアプリやWeb会議システム、チャットツールなどと連携させることで、応募者と効率的にコミュニケーションを図ることができるでしょう。
また採用ページ作成機能を使えば、サイト制作の知識がなくても簡単に自社採用サイトを作成できます。
ATS(採用管理システム)を導入するメリット
次にATSを導入するメリットについてご紹介します。
メリット①:採用プロセスの効率化
ATSでは募集状況や応募者情報、選考の進捗といった各種採用データについて一元管理できるため、採用担当と現場間の情報共有や情報管理業務を効率化できます。
またシステム内から応募者や内定者とのコンタクトもできるため、わざわざ別の連絡ツールを活用する必要もなくなります。
その他、応募者のスクリーニングや連絡作業も自動化できるケースもあり、採用担当者の業務負荷を大きく軽減できるでしょう。
メリット②:採用精度の向上
ATSは採用精度の向上にも繋げられます。
分析機能を利用すれば、連携している求人媒体ごとにどれくらいの反響があるのか、また求人ごとの応募率や面接移行率など、各採用プロセスにおける状況を可視化できます。
これらのデータに基づきどこに課題があるのかを分析し、改善策を立てることで採用アプローチの最適化を実現可能です。
その結果、応募者の増加や親和性の高い母集団の形成など、採用活動の精度を高めることができるでしょう。
メリット③:採用コストの最適化
ATSの導入は中長期的に採用コストの最適化に繋がることが多くなります。
導入時に費用がかかるものの、ATSの利用によって採用活動の効率が良くなることで、採用担当者の工数を抑えられるため、残業に伴う人件費などを削減できます。
また採用施策のデータを分析することで、成果の出ない無駄なアプローチに追加で費用やリソースを投入せずに済むため、採用コストを最適化できるでしょう。
メリット④:情報共有や対応を円滑化できる
情報共有や対応を円滑化できる点も大きなメリットと言えます。
ATSを利用することで応募者情報や求人の応募状況などを、採用担当と現場で簡単に共有できるため、現場の意見を適切に取り入れながら選考や求人内容の調整が可能です。
また応募者や内定者とのコミュニケーションについても、各応募者の選考状況をシステム内で把握できるため、対応漏れなど防ぎながら的確に進められるでしょう。
ATS(採用管理システム)を導入するデメリット
デメリットについても確認しましょう。
デメリット①:費用対効果が悪くなるケースがある
ATSは採用プロセスの効率や精度を高める上で役立つシステムですが、あらゆる企業において有効とは限りません。
例えば定期採用をしておらず、採用しても1〜2名程度といった採用規模が小さい企業は、ATSを導入しても大きな効果を得にくく、費用対効果が悪くなりやすいと言えます。
またATSを導入しても、従業員が使いこなせず放置されてしまえば、導入費用や運用コストだけが浪費されることになるでしょう。
デメリット②:業務プロセスの再構築が必要
ATSの導入前後では、採用プロセスやフローにおける各作業や業務が大きく変わります。
例えば、ATS導入前の「求人の反響状況を確認する」という業務は、各求人媒体の管理ページにそれぞれアクセスする必要があるところ、導入後はATSにアクセスするという作業に代わります。
このように細かな作業内容などが変わるため、ATSが組み込まれた採用プロセスを再構築し、業務マニュアルなども併せて整備しなければなりません。
ATS(採用管理システム)の選定ポイント
ここからはATSを選定する際に確認すべきポイントをご紹介します。
ポイント①:搭載機能
ATSと一口に言っても搭載されている機能は三者三様です。
求人管理や応募者管理といった基本機能のみを搭載したシンプルなものから、AIによって面接日程を自動化したり、独自のWebアンケートフォームを作成できたりするATSもあります。
自社の採用課題や導入目的などのニーズと照らし合わせながら、これら多様なATSの中から、必要な機能が搭載されているものを選びましょう。
ポイント②:操作性
ATSのUI(ユーザーインターフェース:操作画面)などを、実際に採用担当者に見てもらいながら、使いこなせそうかを確認しましょう。
また求職者側もアクセスするタイプのATSの場合、求職者目線での使いやすさや見やすさなども考慮に入れるべきと言えます。
資料やベンダー担当者の説明だけで操作性を判断しきれない場合は、無料トライアルがあるシステムを選ぶのも一つの方法です。
ポイント③:サポート体制
ATSの導入効果を得るには、現場の採用担当者がどれだけ使いこなせるかにかかっていると言っても過言ではありません。
しかし自社だけでATSのトレーニングに取り組んでも、その効果には限界があります。
その点、ATSベンダーがトレーニングや操作に関する相談窓口といったサービスを設けていれば、導入後の立ち上がりが安定するでしょう。
ポイント④:導入事例
各ATSベンターに、自社と近い規模感や業種、課題などを抱えている企業の導入事例はないかを確認すると良いでしょう。
自社に近い導入事例をチェックすることで、導入後の流れや成果などをイメージしやすくなり、採用担当者に対する導入説明もスムーズに実施できます。
もしATSベンダーのWebサイトなどに事例情報がなければ、ベンダー担当者との打ち合わせで確認してみましょう。
ポイント⑤:セキュリティ体制
ATSには求職者に関する個人情報が多く蓄積されるため、セキュリティ面も確認すべきポイントです。
もしセキュリティ対策がずさんである場合、ATSを通じて個人情報が外部流出してしまい、トラブルや企業イメージの低下などに繋がる恐れがあります。
そのためATSベンダーがPマークやISMSなどを取得しているか、SSO認証やIPアドレス制限などが可能かを確認しましょう。
おすすめのATS(採用管理システム)3選
続いておすすめのATSについてご紹介します。
1.HRMOS採用
一つ目にご紹介するのは、即戦力人材の中途採用支援などを行う株式会社ビズリーチが提供する「HRMOS採用」です。
HRMOS採用は、求人の自動生成や求人媒体との連携、面接日程の自動調整といった基本的な機能から、選考における傾向分析やコスト分析といった分析機能も豊富に搭載されています。
またビズリーチの持つ採用ノウハウの提供や、専任コンサルタントによる支援も受けられるため、採用精度を確実に高めていくことが可能です。
Pマークを取得していることは勿論、SSO認証やIPアドレス制限などがあるため、セキュリティ面も安心と言えるでしょう。
参考:採用できる採用管理システム「HRMOS(ハーモス)採用」
2.タレントパレット
続いてご紹介するのは、マーケティングやHR領域でITソリューションを提供する株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供する「タレントパレット」です。
タレントパレットには、エントリーフォーム作成機能や応募者管理機能、求人作成機能、LINEと連携させたコミュニケーション機能などが搭載されています。
タレントパレットはATS機能を持ったタレントマネジメントシステムであるため、採用だけでなく、入社後の人材発掘や育成なども最適化できる点に特長があります。
採用から入社後の人材活用までを効果的に運用したい場合は、有力な選択肢になるでしょう。
3.ジョブカン採用管理
最後にご紹介するのは、クラウドサービス事業などを展開する株式会社DONUTSが提供する「ジョブカン採用管理」です。
ジョブカン採用管理は、はじめてシステムを利用する人でも簡単に使えるシンプル設計が強みです。
また業界においても最安値クラスの価格帯となっている上、無料お試しなどもできるため、気軽に運用を試すことができます。
機能としては採用サイト作成や応募者情報の管理、会社説明会の参加予約ページ作成、求人媒体との連携など、基本的な内容を一通り網羅しています。
ATS(採用管理システム)導入を成功させるポイント
最後にATS導入を成功させるためのポイントをご紹介します。
ポイント①:導入目的を明確にする
採用活動において抱えている課題や目的によって、ATSに求められる機能や特徴は変わります。
例えば母集団形成に課題を抱えているのであれば、募集業務に関する機能が豊富に搭載されているATSが望ましいでしょう。
このように「なぜATSが必要なのか、どういった課題を解決するために導入するのか」といった導入目的を明確にすることで、最適なATSを選定できるという点は押さえておきましょう。
ポイント②:社内理解を事前に得ておく
ATSに限らず、新しいシステムの導入には多かれ少なかれ現場からの反対意見が出ます。
そういった状況で一方的に導入しても、結局使われることなく放置され、導入にかけた費用や時間が無駄になってしまうでしょう。
そのため、あらかじめ採用現場の従業員に対して、ATSの導入目的やメリットなどを丁寧に説明した上で、理解や納得を得ておくことが重要になります。
ポイント③:導入支援サービスを積極的に活用する
いくら優れた機能を持つATSを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。
そのためATSベンダーが提供しているトレーニングメニューなど、導入支援を目的としたサービスは積極的に活用することが望ましいでしょう。
これら導入支援サービスをフル活用することで、ATSの浸透を促すことができ、効果を発揮するまでの期間も短縮できます。
まとめ
人口減少の波は採用現場にも確実に影響を及ぼしており、採用部門に豊富なリソースを確保できる企業はそう多くありません。
そのため多くの企業にとって、採用活動の効率化は重要な課題となっています。
また採用競争が激化する中で新たな人材を確保するには、精度の高いアプローチを行うことが欠かせません。
こういった採用活動の効率化や精度向上に対して、ATS導入は有効な一手となります。
ぜひこの記事を参考にATS導入をご検討ください。
<給与前払い福利厚生制度でスタッフの採用力アップ!>