派遣スタッフの急な離職や、現場の本音が掴めずに悩んでいる人材派遣会社も多いでしょう。派遣スタッフの定着率向上に向けた有効な手段として、近年注目を集めているのが「パルスサーベイ」です。
パルスサーベイとは、月1回程度の短いサイクルで、従業員に対して簡易的な質問を繰り返し実施する調査手法のことです。高頻度で実施するため、現場のリアルタイムな状況や従業員の心境の変化をいち早く把握できるメリットがあります。
本記事では、派遣会社がパルスサーベイを導入するメリットや活用のステップを詳しく解説します。パルスサーベイの導入事例も紹介するので、効果的なフォロー体制を構築するための参考にしていただけますと幸いです。
パルスサーベイとは?エンゲージメントサーベイとの違い

パルスサーベイ(Pulse Survey)は、従業員の就業状況や本音を把握し、離職防止やフォローに活かすためのアンケート調査です。
パルスサーベイのほかにエンゲージメントサーベイと呼ばれる調査手法もありますが、両者は目的と実施頻度が異なります。パルスサーベイはリアルタイムな状況把握を目的に、月1回などの短いサイクルで実施する調査手法です。一方で、エンゲージメントサーベイは中長期的な組織課題を把握する目的で、年1回程度実施されるのが一般的です。
どちらか一方のみを使うのではなく、役割を分担させて併用することでより効果的な組織改善につながります。
派遣会社向け|パルスサーベイの導入メリット

スタッフ間で職場が異なる派遣特有の環境下において、パルスサーベイは状況を把握するための有効なツールになります。ここでは、派遣会社がパルスサーベイを導入するメリットを見ていきましょう。
離職の予兆をリアルタイムで検知できる
パルスサーベイを導入することで、派遣スタッフの離職リスクを早期に発見できます。パルスサーベイは短いサイクルで定期的に実施するため、スタッフの心境の変化をデータとしてリアルタイムに検知できる点が特徴です。
従来の年1回の調査や、多忙な営業担当者による散発的な面談では、派遣スタッフの「辞めたい」という気持ちが芽生えたタイミングを見逃しがちです。一方で、パルスサーベイなら、スコアの急落やネガティブな回答の連続といった予兆にいち早く気づけます。
パルスサーベイを通じて手遅れになる前に先回りしてフォローを入れられると、派遣スタッフの離職を未然に防げるようになります。
フォローの優先順位を最適化できる
データに基づいて客観的に対応の優先順位をつけられることも、パルスサーベイのメリットです。多くの派遣スタッフを抱える状況下でも、スコアを参考にすれば本当にケアを必要としている人物を特定できます。
人材派遣会社では一人の担当者が数十人から百人以上のスタッフを担当しているケースもあります。この場合、全員に対して手厚いフォローを行うことは物理的に不可能です。結果として、自ら声を上げている人への対応が優先され、静かに不満を溜め込んでいる人のケアがおろそかになりがちです。
パルスサーベイがあれば、限られた人的リソースの中でも離職リスクの高いスタッフを見極め、ピンポイントで時間を割けます。
派遣先企業へのエビデンスとして活用できる
パルスサーベイの結果は、派遣先企業との交渉にも活用できます。派遣スタッフの不満を主観的な意見としてではなく、数値化された客観的なデータとして提示できるからです。
例えば、「現場の雰囲気が悪い」「業務量が多すぎる」などを訴えるだけでは派遣先も動きにくいですが、「特定の部署だけスコアが著しく低い」「満足度が他社と比較して低い」といったデータを示すことで説得力が増します。
エビデンスを持った具体的な提案ができるようになることは、派遣スタッフの環境を守るだけでなく、派遣会社としての信頼性向上にもつながります。
派遣会社向け|パルスサーベイの設問例
パルスサーベイを効果的に運用するためには、設問が重要です。派遣スタッフの離職要因となりやすい3つの視点から、具体的な設問例を紹介します。
人間関係に関する項目
派遣先での人間関係は、派遣スタッフの定着率に直結する要素の一つです。孤立感やコミュニケーション不足によるストレスを早期に把握するため、以下のような設問を用意しましょう。
- 派遣先での人間関係にストレスを感じていないか
- 業務上の不明点を質問・相談できる人はいるか
- 派遣先の上司(指揮命令者)とのコミュニケーションは円滑か
- 職場で孤独を感じることがないか
これらの回答からネガティブな兆候が見られた場合は、フォロー面談を実施し、派遣先への働きかけを検討する必要があります。
労働条件に関する項目
契約内容と実際の業務にギャップがあると、派遣スタッフの不満につながります。業務量や職場環境が適切かどうかを確認するためには、以下のような設問がおすすめです。
- 現在の業務量は適切だと感じるか
- 契約時の業務内容と実際の業務にギャップがないか
- ワークライフバランスはとれているか
- 現在の職場環境(設備や労働時間など)に満足しているか
派遣スタッフの職場環境に対する満足度を定期的にチェックすることで、労働環境の改善につなげられます。
企業に対する満足度に関する項目
パルスサーベイでは、派遣会社および派遣先企業に対する総合的なエンゲージメントを測ることもポイントです。モチベーションの低下や自社への不信感をいち早く察知するために、以下のような設問を用意しましょう。
- 現在の派遣先での仕事を今後も続けたいと思うか
- 現在の仕事を知人や友人に勧めたいと思うか
- 仕事を通じて自身の成長を実感できているか
- 派遣会社のサポートに満足しているか
これらのスコアが低い場合、仕事のやりがいを感じられていないか、サポート体制に不満がある可能性が高いと考えられます。
派遣会社向け|パルスサーベイを実施する際のポイント

パルスサーベイは導入して終わりではなく、継続的に運用することが大切です。以下で、パルスサーベイを実施する際のポイントを解説します。
調査方法や回答形式を工夫する
パルスサーベイは、派遣スタッフの利便性を最優先に設計し、調査方法や回答形式を工夫する必要があります。月1回のような高頻度で実施するアンケートは、「面倒くさい」と思われた瞬間に形骸化してしまうからです。
具体的には、以下の点を意識しましょう。
- 休憩時間や通勤中に答えられるよう設問は5〜10問程度にする
- 自動で集計・分析してくれる専用ツールを導入する
- 選択式(5段階評価など)を中心に質問を選定する
- 自由記述は任意にする
ほかにも、スマートフォンで完結させたり、ログイン不要または簡単ログインを採用したりすることも工夫の一つです。回答への心理的・物理的ハードルを下げることで、パルスサーベイの継続的な活用につながります。
月1回を目安に実施する
パルスサーベイは、月1回程度の実施がおすすめです。週1回では派遣スタッフへの負担が大きくなりマンネリ化を招きやすくなります。一方で、数か月に1回では現場での突発的なトラブルや心境の変化を見逃す可能性が高まります。
実施の際は、契約サイクルや業務特性に合わせて月次の勤怠締めや給与明細を渡すタイミングなどでアンケートを配信すると、無理なくルーチン化が可能です。担当者や派遣スタッフの負担と状況把握のバランスを最適化できるよう、月1回を目安に実施しましょう。
回答へのフィードバックとフォローをセットで考える
パルスサーベイを効果的に実施するためには、回答へのフィードバックと個別フォローをセットで行うことがポイントです。アンケートを聞きっぱなしにすると、派遣スタッフが「回答しても何も変わらない」と不信感を招き、逆効果になりかねません。
結果がどのように活用されたかをニュースレターやメールで全体へフィードバックしたり、離職の予兆が検知されたスタッフには個別にアプローチしたりして対応しましょう。派遣スタッフに「自分の声が届いている」という実感を持たせることが、回答率の維持とエンゲージメント向上につながります。
派遣会社向け|パルスサーベイ後の4つの対応ステップ

パルスサーベイで回収したデータを改善につなげるためには、適切な対応が不可欠です。派遣会社向けにパルスサーベイ実施後の4つの対応ステップを解説するので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
1.スコアの急落・低迷者をリストアップする
まずは集まったデータの中から、フォローが必要な派遣スタッフを抽出します。優先的にリストアップすべきは、以下のような人です。
- スコアが急落している
- スコアが長期にわたって低迷している
- 自由記述欄に具体的な悩みや不満を書いている など
なかには、設定した基準を下回ると自動でアラートを発する機能が搭載されている専用ツールもあります。スモールステップで始めるなら無料ツールも手軽ですが、対象者を正確かつ効果的にリストアップするなら、管理機能が充実した専用ツールの活用がおすすめです。
2.仮説を立てて連絡する
リストアップした派遣スタッフに連絡する前に、手元のデータや過去の履歴を確認し、なぜスコアが低下したのか仮説を立てます。仮説を持つことで連絡時の第一声や質問の質が変わり、派遣スタッフが安心して本音を話しやすくなります。
仮説を立てる際は、具体的に以下について確認しましょう。
- 勤怠状況(遅刻や欠勤が増えていないか、残業が急増していないか)
- 契約状況(更新時期が近いか)
- 環境変化(派遣先での部署異動や指揮命令者の変更があったか)
- 過去の面談記録(以前から懸念していた事項がないか)
必要な情報を事前に確認し、データに基づいた仮説を立てておくことで、派遣スタッフに寄り添った的確なフォローが可能になります。
3.対話を通じてアプローチする
仮説を持ったうえで派遣スタッフにアプローチする際は、本人の口から状況を語ってもらうように促します。「スコアが悪かったけど大丈夫か」と結果をストレートに突きつけると、派遣スタッフに「評価に響くのではないか」「監視されている」と警戒されてしまう可能性があるため注意が必要です。
パルスサーベイの結果はあくまで対話のきっかけとして使い、自然なコミュニケーションの中で本音や悩みを引き出すよう心がけましょう。結果の数値を直接問いただすのではなく、対話を通じて派遣スタッフに寄り添う姿勢を大切にすることがポイントです。
4.対策を実施してモニタリングする
面談で課題が明らかになったら、具体的な対策を講じ、その後のパルスサーベイのスコアを継続してモニタリングします。具体的な対策として、以下のような対応を検討しましょう。
| 派遣先への働きかけ | ・業務量の調整依頼 ・人間関係のトラブル相談 ・環境の改善提案 など |
|---|---|
| 派遣スタッフへのケア | ・キャリア相談 ・スキルアップ研修の案内 ・話を聞くことによるストレス軽減 など |
| 配置転換 | ・契約終了 ・他現場への移動 など |
対策実施後は、翌月以降のパルスサーベイの結果をモニタリングし、スコアに改善が見られなければ、別のアプローチが必要です。パルスサーベイを活用してPDCAサイクルを回し続けることが、離職防止と定着率向上のための職場環境の整備につながります。
【導入事例】パルスサーベイの実施で得られる効果
ここでは、パルスサーベイの導入事例と得られる効果を見ていきましょう。
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 具体的な取り組み | ・一部の対象者に月1回のパルスサーベイを実施 ・スコアが低下傾向にあるスタッフを中心に面談を実施 | ・月1回アンケートを配信 ・ケア対象者全員への対応ができるよう人員を配置 |
| パルスサーベイの効果 | ・少ない工数で効果的なフォロー体制を構築できた ・感覚的なアプローチからデータに基づく的確なアプローチに変化した | ・ケア対象者全員への対応ができるようになった ・四半期あたりの休職者が5〜6人から1〜2人に減少した |
パルスサーベイでスタッフの状態を可視化し、データに基づいた的確なアプローチを行うことで、限られたリソースでもフォロー体制を構築できます。
まとめ
派遣スタッフの離職を防いで定着率を高めるためには、一人ひとりの状況把握と細やかなフォローが欠かせません。
パルスサーベイは、現場の本音をリアルタイムで拾い上げ、効率的にフォローするために役立つツールです。パルスサーベイを実施する際は、派遣スタッフに「面倒くさい」と思わせないよう工夫し、継続的に取り組める体制を整えましょう。
本記事では、派遣会社向けにパルスサーベイを導入するメリットや、対応のポイントをまとめました。自社の課題解決に向けて、ぜひパルスサーベイの導入を検討してみてください。
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